[S耐向上委員会Vol.27]高木真一選手が考えるレースの楽しさを広めるための方法とは?
スーパー耐久をもっと盛り上げるために、いろいろな方がお持ちの想いやアイデアをお届けするGAZOO.comのコンテンツ「S耐向上委員会」。
第27弾はST-Xクラスに参戦す888号車 Grid Motorsportの高木真一選手です。
小学生の頃に、先に免許を取得したお兄さまにサーキットに連れて行ってもらったことがきっかけで、クルマ好き、レース好きに目覚めたといいます。
そこから雑誌やテレビでレースを見続け憧れを募らせていった高木少年は、ご自身でも免許を取得してから早速レースを始めたといいます。
1990年の20歳の時に鈴鹿フレッシュマンレースでレースデビュー、海外での武者修行をしたり、ディーラーメカニックとして働きながらフォーミュラ・トヨタの西日本シリーズでタイトルを獲得(しかも全勝!)するなど、着実に実力をつけていきました。
そして1998年に全日本GT選手権に初参戦、その後SUPER GTとなっても2022年まで25年間参戦し続け、通算21勝を挙げている名ドライバーです。
そして、ご自身が代表を務めるBionic Jack Racingやチームメイトとなった若手ドライバーなどの育成での定評もある高木選手に、スーパー耐久をもっと盛り上げるアイデアについて伺いました。
スーパー耐久は親近感があってプロフェッショナルなレース
名前の通り耐久レースですので何人かのドライバーで協力し合って出るレースです。僕も参戦しているST-Xクラスでは1人はジェントルマンドライバーを組み込んで戦うので、アマチュアドライバーもプロドライバーも一緒に一つのレースを優勝に向かって戦うということが、すごく面白いレースだと思います。
SUPER GTは完全にプロのレースですが、それに対してスーパー耐久がレベルが低いかというとそうではなくて、ジェントルマンドライバーのみなさんも練習量が半端ないので、本当に速いんです。プロと1秒も変わらないようなタイムで走ってきますし、そういうジェントルマンドライバー同士の戦いも非常に面白いですよね。
もともとは4クラスしかなかったんですが、今ではST-XからST-5までクラスがたくさんあったり、水素エンジンのクルマが研究開発で走っていたり、いろんなクラスで同レベルのいろんなクルマ同士が戦っている、その車種のバラエティさは楽しみの一つなんじゃないかと思います。
僕も、アルテッツァとかランサーエボリューション、ラリー仕様の4WDのセリカ、MT車のポルシェだったり、GT-Rやメルセデス、ポルシェなどのFIA GT3マシンとかいろいろ乗ってきました。
一時は参加台数も減ってしまった時期もありました。そこからST-5クラスやST-X、ST-Zクラスができて台数も増えましたが、速度差があることをみんながきちんと理解していて、大きな事故も起きていないので、そういう意味ではプロフェッショナルなレースですよね。
あと、24時間レースは、それこそチーム一丸となって総合力が問われるレースですし、スプリントレースとかよりメカニックとの関わりが多いので、チームとの親近感はすごく湧きますね。
地道にレースの楽しさを広めていきたい
先日もお台場でJAFモータースポーツジャパンが開催されましたが、レーシングカーをポンと置いておいても好きな人は見るんですけど、一般のお客さんにとってはかけ離れすぎていて、どっちかって言うと身近な市販車の方に目線が行ったりしていますよね。
レースが好きな人は自分で観てくれますが、そんな環境にいない人たちに向けた、レースってこんなに面白いんだよというイベントとかメディア配信は大切かなと思います。
僕も兄に連れていってもらったからレースが好きになりましたからね。
スーパーに来たついでに何かやってるぞって感じで、一般の公園とか駐車場とかでのイベントが継続的にあったらいいですよね。でもただやっているだけではなく、行ってみたくなるような仕掛けも必要でしょうし、その中で体験型のコンテンツも必要だと思います。
以前オートバックのチームでSUPER GTに参戦していましたが、その頃はオートバックスの店舗でも子供向けのカート体験をやっていましたし、店舗の近くのショッピングモールの駐車場でイベントとかトークショーをやったりしていました。
そういった地道な活動をもっとやって、そこでチケットを配ったりしたら、サーキットから遠いエリアでもせっかくだから観に行ってみようかっていう気持ちになってもらえるかもしれないですね。
最初にも言いましたけど、かっこいいレーシングカーでもあまりかけ離れていると興味が湧かないようですが、スーパー耐久は普段みなさんが乗っているクルマがレーシングカーとして活躍しているので身近ですし、同じクルマに乗っていたら応援したくなるんじゃないかなと思います。
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いかがでしたでしょうか。依然としてコロナ対策は必要ながら日常が戻りつつある中で、ぜひともこうした体験イベントがまた行われるようになって欲しいですよね。
インタビューさせていただいた中でも多くの方が、モータースポーツの盛り上げには地道な活動が必要とお話いただいており、カッコよさと身近さを持ち合わせるスーパー耐久だからこそ伝えられることもあるのかもしれません。
今シーズン通してたくさんの方にお話しを伺ってきたこの「S耐向上委員会」も高木選手で最後となります。参戦しているみなさんが本当にスーパー耐久を楽しんでいること、そしてもっとファンのみなさんと一緒に盛り上がりたいと思っていることを感じていただけると幸いです。
また、まだS耐を観戦したことながないみなさんがサーキットに足を運んでみたい、ドライバーさんやスタッフさんに話しかけてみようなかなと思ってもらえたらうれしいです。
(文:GAZOO編集部 山崎 写真:折原弘之、GAZOO編集部)
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