[S耐向上委員会Vol.19]野上達也選手「スーパー耐久ならではの特長をもっと発信していくべき」
スーパー耐久をもっと盛り上げるために、いろいろな方がお持ちの想いやアイデアをお届けするGAZOO.comのコンテンツ「S耐向上委員会」。
第19弾はST-5クラスに参戦するTEAM NOPROの野上達也選手です。
チームの母体でありロードスターを中心にマツダ車のカスタムやパーツを販売するノガミプロジェクトとともに育った野上選手。子供の頃からクルマは好きだったそうですが、実際にレースに参戦し始めたのは社会人になってからだと言います。
ロードスターのパーティレースに始まり、スーパー耐久には村上モータースが参戦を開始する際にノガミプロジェクトのエアロを装着した繋がりもありCドライバーとして参戦、翌2013年からはTEAM NOPROが立ち上がりデミオでの参戦を開始しました。
その後も2015年にデビューしたNDロードスターではなく、1.5Lクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 1.5」を搭載したデミオにスイッチし、加えてディーゼルエンジンを積むアクセラでST-2クラスにも参戦しています。
デミオファン、マツダファンからの応援を背に、スーパー耐久としても欠かせない個性的なチームの中で、ドライバーにメカニックにチームの中心として活躍しています。
そんな野上選手に、スーパー耐久が盛り上がるためのアイデアを伺いました!
スーパー耐久の速度差は世界一? でもそれほど危険とは思わない
スーパー耐久はレース時間が長くて本当にいろいろなことが起こるので、サバイバル力や判断力が鍛えられるレースですよね。
ST-XからST-5クラスまですごく速度差があって、事故が起きるんじゃないかという話も聞きますが、僕はとしては走っているドライバーよりも見ている人が言っていることが多い気がします。
ST-Xクラスはすごく速いですが、その分ミラーに映ったらすぐに抜いていくなと計算できますし、ST-Zクラスは場所によってはST-TCRクラスの方が速かったり、コーナリングではST-3クラスの方が速かったりするので、それほど危ないと思うこともありません。
抜く方も抜かれる方もいい意味でお互いに我慢が必要ですし、「抜けるだろう」「こないだろう」という“だろう運転”がダメなことはレースも公道も同じです。順位争いしていることがピットからの情報で把握できていれば譲りますし、そのあたりのコミュニケーションも大切かなと思います。
世界的に一番速度差があるレースかもしれないですけど、GT3車両が走り始めてから今まで重大な事故は起きていないですし、その速度差があるレースをきちんと走り切ることが、スーパー耐久に参戦するドライバーの仕事だと思います。
スーパー耐久を盛り上げるためにST-4クラスの台数が増えて欲しい
今年のST-5クラスは、車両規定に加えいろいろな特認もありますが、速さのバランスは取れていると思います。
そのST-5クラスは参戦台数が多いですし、ST-XとST-Zクラスも台数が増えていますが、自分達でクルマを作るクラスであるST-1~3クラスは少し増えたり減ったりで、ST-4クラスの台数は少ないですよね。僕は、特にST-4クラスの台数を増やすことがスーパー耐久を盛り上げるのに必要だと思っています。
現在のスーパー耐久はN1とN2の間の規定ですが、もう少しN2寄りのクルマも参戦できたらエントラントが増えるかもしれません。
例えば、ST-5クラスのロードスターに、ロードスターRFの2Lのエンジンを搭載させて、重さが1tを下回って来ると、GR86といい勝負ができる可能性があります。
またGR86に対して旧型86が戦えるように特認が認められたりすると面白いと思います。
技術的なチャレンジをしたい人はいると思いますし、そうした人が現状ではS.T.Oさんと参戦についてコミュニケーションも取れていないんじゃないかと思います。
S.T.Oさんとしては、調整がとても大変になるかと思いますが、ST-4クラスの中でもN1に近いマシンとN2に近いマシンが共存できると、参戦台数が増えるのかなと思います。
<ざっくり言うと>
※N1規定:市販車をベースとし改造範囲が限定された限りなく市販車に近いレーシングカーの車両規則
※N2規定:N1規定の改造範囲に加え、エンジン、ブレーキ、サスペンションなどの改造、車幅の拡大やエアロパーツの追加なども可能
また他のスポーツでもそうですが、観客を増やすのってすごく難しいことですし、何か新しいことを始めてもすごく増えるような時代ではないですよね。
ですので、今いるファンをいかに大事にするか、また減らさないようにすることが一番大切なことかと思います。
そして、スーパー耐久としての特長を分かりやすく発信することで、それに興味を持ってくれた人をちゃんとファンにしていけたらいいんじゃないかと思います。
今はレース中継を無料で観られたり、えすたいすぱーくというキャラクターやグッズも定着していると思います。
スーパー耐久はスーパー耐久の良さをちゃんと発信して、スーパーGTを観ているようなモータースポーツのファンの中からスーパー耐久を観に来てもらう人を増やしていきたいですね。
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本業でもあるノガミプロジェクトでカスタム業界に身を置く野上選手らしいご意見ですよね。
ST-Qクラスだけではなく、それぞれのクラスでもいろいろな目標に挑戦でき、その挑戦が本業にフィードバックされるという流れができると、スーパー耐久がカスタム業界、ひいてはクルマ業界の盛り上げにさらにもう一役買うことができるのかもしれません。
ファンのみなさんも、ご自身が思うスーパー耐久ならではの特長を、レースに興味のありそうな方に教えてあげてくださいね。
(文:GAZOO編集部 山崎 写真:折原弘之、GAZOO編集部)
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