[S耐向上委員会Vol.23]鳥羽豊選手「もっとチームのファンに向けた情報配信や触れ合いも大切」
スーパー耐久をもっと盛り上げるために、いろいろな方がお持ちの想いやアイデアをお届けするGAZOO.comのコンテンツ「S耐向上委員会」。
第23弾はST-Xクラスに参戦する62号車 HELM MOTORSPORTSの鳥羽豊選手です。
20代前半のころバイクが大好きでよく走り回っていたという、ジェントルマンドライバーの鳥羽選手。
2022年にFIA F4選手権のインディペンデントクラスで最年長、最速、最多ポイントでのチャンピオン、そしてスーパー耐久でもST-Xクラスのチャンピオンを獲得しましたが、実は本格的にレースを始めたは2020年というから驚きです。(2015年にロータスカップに参戦経験はあり)
レースを再び始めるきっかけとなったのはモナコで観たF1で、そのお祭り騒ぎに感銘し、自身もクラシックF1に参戦する夢を持ったそうです。
そのクラシックF1に出場するためのライセンス取得に向けてサーキットでの練習を重ね、2020年にFIA F4に参戦します。1度表彰台には登るものの思うようなシーズンが送れず、悔しい気持ちを晴らすため、そしてレースというものをもっと理解するためにFIA F4への参戦を継続します。
その2年目からは現在スーパー耐久でも所属するHELM MOTORSPORTSから参戦し、「おじさんの扱いがすごく上手(笑)」という平木湧也選手、玲次選手からいろいろ教わりレースの引き出しも増えていったといいます。
その2021年の途中にスーパー耐久に、HELM MOTORSPORTSがST-3クラスで戦っているのを観戦して、「チームとしてみんなで走って勝利を分かち合うというのもすごい楽しそうだな」と感じスーパー耐久への参戦も決意。
やるからには一番上のクラスでやりたい! ということで今年GT-RとともにST-Xクラスに参戦、デビューイヤーで富士24時間での勝利に加え、シリーズチャンピオンも獲得しました。
そんな鳥羽選手が考える、スーパー耐久がもっと盛り上がるためのアイデアを伺いました!
スーパー耐久は常に切磋琢磨が必要なレース
スプリントレースに対して、平均的にずっといいタイムを出していかなくてはいけないうえに、他のクラスのマシンを安全に抜いていく必要があって、最初は戸惑いました。こんなに速度差のあるマシンがいて、よくぶつからないなというのが最初の頃の印象ですね。
アクセルの踏み方やハンドルを切ったことでどれだけ曲がるのかとか、反応がダイレクトなフォーミュラの世界でやってきたので、最初はもっさりしているように感じていました。
でも自分がアジャストできるようになってくると、ちゃんとフォーミュラでもGTカーでもクルマの運転はすべて通ずるところがあるんだなと思いましたね。
スーパー耐久は外から観ていた時は、フォーミュラのレースと比べてお祭り感が強くて、誰が1位なのかも分かりにくいし、モニターに1位と表示されていてもピットの関係で1位じゃなかったりだとか、ウエイトハンデのこととかも分からないうちは、正直面白くないという思いもありましたね。
ただマシンの爆音には惹かれましたし、耐久レースやST-Xクラスなどいろいろ説明を受けたことで面白さが分かってきました。面白そうだからこそ、これは観るものではなくやるものだなということで始めましたし、本当にやればやるほど面白くなってきています。
自分のタイムだけじゃなくて、チームメイトのタイムも重要ですし、接戦になればなるほどジェントルマンドライバーのタイムも重要になっていきます。ですので、もっと自分も向上していくために、今まで以上にデータも動画も見て分析するようになりました。
コンマ1秒削るのって本当に大変なんですが、それをやっていかないとチームに迷惑がかかるので、ドライバーとして常に切磋琢磨が必要なレースだなと、やってみて気づかされましたね。
チームのファンや企業との結びつきを大切にしたい
チームごとにファンが付いていて、チームからの発信を楽しみにしたりコメントを書いてくださるファンの方ってたくさんいらっしゃるじゃないですか。
そういう方にもっと楽しんでもらうために、今ある映像をもっと開放してもらいたいですね。例えばHELMファンとして登録すると、その車載映像がずっと見られたりとか、チームの無線のやり取りを聞けたりすると、もっと状況が分かったり臨場感が増すんじゃないかと思います。
コロナがもっと落ち着けば、そういったチームのファンとピットウォークとかで交流したり感謝を伝えられたりしますし、小さいお子さんだったら運転席に乗せてあげるとめちゃくちゃ喜んでくれるんですよ。
そういった、もっとチームがファンを取り込むための施策があればあるほど、もっと盛り上がると思います。
あと、モータースポーツは企業との結びつきが大切で、そこからいろんなスポンサードが出てくるのだと思います。
クルマに興味を持ってもらい、モータースポーツの中から事業の発展、販売につながっていくことが大切ですし、そこをリンクさせられる何かがあれば、僕たちももっと協力できると思います。
例えば、チームには日産のディーラーさんの若手メカニックが参加しています。その店舗でお客さんたちがレースや若手メカニックの活躍を見ることができて、ファンになってもらうことができれば、クルマの販売につながったりだとか、リクルートに使ってもらえる環境ができていくかもしれません。
さらに、そうしたディーラーの方やそのお客様が遊びに来てもらえるように、もう少しホスピタリティのスペースがもらえたりだとか、他のスペースにホスピを置くことができる環境をもらえたりだとか、そういうことが緩和されていくとおもしろいアイデアが試せるのかなと思います。
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最後は、ビジネスマンらしいお話も伺うことができた鳥羽選手へのインタビュー。「下手したらSUPER GTよりも人気が出るなんてこともあるんじゃないかと思っています」と、遠くを見つめる目線の先には何か見えるものがあったのではないかと感じられました。
スーパー耐久は、レース以外でも成功を収められたジェントルマンドライバーの方が多く参戦するレースですので、そうした成功体験の中にも、スーパー耐久がより魅力的になる新たなアイデアがあるのかもしれませんね。
(文:GAZOO編集部 写真:折原弘之、GAZOO編集部)
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