[S耐向上委員会Vol.25]藤井順子監督「もっとエンジニアやチームの裏側を知ってレースを楽しんで欲しい」

  • 50号車 LOVEDRIVE RACING 藤井順子監督

    50号車 LOVEDRIVE RACING 藤井順子監督

スーパー耐久をもっと盛り上げるために、いろいろな方がお持ちの想いやアイデアをお届けするGAZOO.comのコンテンツ「S耐向上委員会」。
第25弾はST-5クラスに参戦する50号車 LOVEDRIVE RACINGの藤井順子監督です。

もともとクルマが好きだった藤井監督ですが、運転がうまくなりたい、クルマの限界を引き出して走りたいと思ったことからドライビングレッスンを受け始めたといいます。

ロードスターのパーティレースからレースを始めたそうですが、次第にワンメイクの個人のレースよりも、耐久レースやチーム戦に興味を持つことに。
そして、スーパー耐久に参戦するためにとLOVEDRIVE RACINGに移籍しドライバーとして参戦していましたが、今年から監督兼ドライバーとしてチームの指揮を執っていらっしゃいます。

そんな藤井監督に、スーパー耐久をもっと盛り上げるアイデアについて伺いました。

コース上で他のマシンと意思疎通することは醍醐味

外から観ても華やかですし、一般の方たちが走っているクルマを応援する身近さが魅力で、大きなレースの割には、ドライバーやRQなど、みんな接しやすいのではないかなと思います。

私は普段からロードスターに乗っていますし、S耐用のロードスターにも乗っていますが、操作性だったりフィーリングなんかも同じなんです。特別なクルマではないからこそ、ロードスター乗りの方は身近に感じて応援していただきやすいのではないかと思います。

ST-5クラスは一番遅いクラスで7、8割は後ろを見ながら走っているので、いかにロスなく抜かされるかというスキルを身につけることは大変でした。でも慣れてくると、上手く抜かされることも楽しくなってきますよ。
自分たちもバトルをしているので、「ここでは来ないで」とか「ここで抜いて」といった意思をクルマの挙動で示して、他のマシンと意思疎通をすることも楽しいですね。

また単なる速さや予選の順位だけではなく、決勝での戦略やチームワークが重要になってきます。その辺りも、どこか1つのチームに入れ込んで、ガッツリ応援しながら観てもらったりすると、より楽しめるのではないかと思います。

あと、富士での24時間レースは、花火にBBQやキャンプなど、観戦の仕方も自由ですし、普段なかなか見られない夜のサーキットの雰囲気も楽しんでもらえます。
普段のレースとは一味違って、とにかくみんなで完走しよう!みたいな雰囲気とか、全員で完走を称え合うようなお祭り気分を味わってもらえるのは、すごく面白いと思います。

監督になってレースの見方がすっかり変わりました。ドライバーの時は、自分のわがままを優先させがちでしたが、今はチームの運営にも携わっているので、何かやりたいことがあればスポンサーについていただくなど、考えなくてはいけないことがたくさんあって大変になりましたね。

エンジニアの仕事が分かるとレースがもっと楽しくなる

  • 50号車 LOVEDRIVE ロードスター

    50号車 LOVEDRIVE ロードスター

もっとファンの方にサーキットに来て欲しいので、家族連れで楽しめるイベントとかレースに関係ないイベントとかを併催してもらえたらいいと思っています。

私たちのチームとしては「自動車産業で活躍する人の育成」という目的があって、ドライバーだけに限らず、エンジニアとかメカニック、マネージャーなどを育てるプログラムを行っています。
そうしたプログラムの1日体験とか、そこまでではなくてもピットツアーとかもあると面白いですね。

いつもは観ているだけのレースも、エントラント側に入り込んで見るからこそ分かる面白さが沢山あったり、チームの一員となってレースを体験すると全然見え方が変わってきます。

特にエンジニアにフォーカスするような企画があるとうれしいですね。メカニックは育成のための学校がありますが、エンジニアを育成するプログラムってないんです。
LOVEDRIVE RACINGでは将来エンジニアを目指す学生さんなどにチームに加わってもらい、走行のロガーデータを見ての解析の方法とか、燃費計算のやり方とかを教えたりしています。

エンジニアはレースを動かす大切な役割で、実はすっごい細かい計算をしていて、どのタイミングでピットに入れるとか、タイヤを換えるかとか、ガソリンをどれくらい入れるのかなどの作戦を立てています。
ですので、エンジニアの仕事が分かったり、見えたりするとレースが面白くなると思います。

そういったエンジニアのお仕事とはみたいな簡単なツアーを行ったり、ピットウォークの時にモニターを出してレースエンジニアとはこういうものだよと紹介したりすることはできるかもしれないですね。
また、レース後に答え合わせ的に、○○の時は△△の理由で◇◇という作戦を選んだということを伝えられると、分かりやすいかもしれません。

あとは、お話したようなチームの裏側を、YouTuberやライバーのような人達が、チームに入り込んで、リアルタイムにピットの現状などを配信してくれると、もっと分かりやすく伝わるのかなと思います。
実は、以前私もやろうとしたんですが、忙し過ぎて手が回りませんでした。なので配信専門の人に来てもらいたいですね(笑)

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いかがだったでしょうか。

レースを純粋に楽しむだけではなく、未来の自動車産業で活躍する人を育成するということも、ST-XからST-5クラスまでいろいろな速さのマシンがあるように、最高峰の技術を持った職人から、業界で活躍する夢を見る学生まで、いろいろな参加者がいるスーパー耐久ならではの取り組みでしょう。

最後に「ドライバーだけではなくこんなにたくさんの人がこんなに頑張っているんだよっていうことを知ってもらえたら、レースを観ていてもっと楽しくなると思うんですよね」と話していただいた藤井監督の表情は、真剣に取り組んでいるが故の真の楽しさが感じられる素敵な笑顔でした。

(文:GAZOO編集部 山崎 写真:折原弘之、GAZOO編集部)

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