教習車ベースの限定モデルにタクシーカスタムまで!?遊び心満点のトヨタ・コンフォートGT-Zスーパーチャージャー(SXS13Y)
トヨタ・コンフォートという名前を聞くと「初めての教習車がこれだったなあ」とか「都内ではなかなか見かけなくなったけど、地元のタクシーはまだコンフォートが多いなあ」といったイメージを思い浮かべる人も多いのではないだろうか。
そして、そんな初代コンフォートをベースにTRD(トヨタテクノクラフト)がカスタムを施し、受注生産のコンプリートモデルを販売していた過去があるのをご存知だろうか。
生産台数は先行試作車もあわせてわずか60台と言われる希少なトヨタ・コンフォートGT-Zスーパーチャージャー(SXS13Y)を、愛車として所有しているのが白根さん(55才)だ。
「オートサロンで発表されたときは興味があって、少し欲しいなとは感じたんですが、5人家族で3人の子供が小さくてまだ手もかかる年代だったので、そのときは見ているだけでしたね」
そう、このコンフォートGT-Zスーパーチャージャーは、カスタムカーの祭典として有名な東京オートサロンでお披露目されたことも、当時の話題となったのだ。
3S-FEエンジンを搭載する教習車向けのコンフォートをベースに、小倉クラッチ製のルーツブロワ式TX07スーパーチャージャーを追加することでパワーアップを実現。
さらにスポーツモデルらしい5速マニュアルはもちろんのこと、専用のエアロパーツやマフラーを装着するなど、まさにベース車両から改造内容まで何もかも異例づくしだ。
そんなメーカーカスタムの極みとも言える車両は、東京オートサロン2003のチューニングカー部門の受賞車として選ばれるに至り、その後、期間・地域限定の受注生産モデルとして販売されたのだった。
そんな当時、白根さんが乗っていた愛車はというとトヨタの最上位クラスミニバンとして人気を博したトヨタ・グランビア。18インチのホイールへインチアップするなどスタイルにもこだわりつつ、5人家族でベビーカーや荷物もたっぷり載せられるファミリーカーとして活躍していたという。
「その前はホンダオブアメリカの初代アコードワゴンに乗っていました。ちょうどステーションワゴンが流行していて、それにエアロパーツを付けたりして乗っている人が多かったですね。
アコードは結婚してすぐに子供ができるタイミングで乗り換えて、もう少し広いクルマをということでグランビアに乗り換えたんです」と白根さん。
さらに独身時代を遡ると、20才で初めて購入したのはBMC製のミニ。
「たしか昭和60年ころで、まわりはみんなAE86とかを選んで乗っていたんですが『他人とカブらないクルマがいいな』という性格だったのでミニを選びました」
ミニのあとはホンダ・シティのカブリオレに乗り換え、アコードワゴン、グランビア、そしてコンフォートへと乗り継いできたという。
そんな白根さんの愛車遍歴を伺っていると、コンフォートGT-Zスーパーチャージャーが発売された当時、5人家族とはいえコンフォートを購入する選択肢も十分考えられたように思えるのだが、そうしなかったのは当時の市販車ラインナップが大きな理由のようだった。
「教習車ベースのコンフォートにスーパーチャージャーを付けて、TRDのフルエアロというスタイルはカッコいいなとは思ったんですが、それらのフルオプションを付けると購入価格は350万円くらいでした。
でも当時のトヨタには似たような価格でツインターボの1JZエンジンが載ったマークIIがあったんですよね。家族での使い勝手もそうですが、冷静に考えて、もし当時独身だったとしても新車で買っていたかと聞かれるとちょっと自信がないです(笑)」
この理由を聞くと、受注生産の限定モデルというのは必然だったのだろうと納得してしまう。そして、販売から時間が経過し、台数が少ない上に『今なら絶対にあり得ない仕様のクルマ』という郷愁をが“手に入れてみたい”と感じさせる付加価値を生むのかもしれない。
そんな白根さんがこの愛車を迎え入れたのは、販売から7年が経過した2011年ころ。子供の成長とともにファミリーカーはグランビアから5ナンバーサイズのミニバンであるトヨタ・ノアへ乗り換え。
また趣味の1台として所有していたハーレーダビッドソンのオートバイを売却すれば、まとまった費用も捻出できるという状況だったこともあり、念願だったコンフォートGT-Zスーパーチャージャーを探し始めたという。
「最初は中古車雑誌を見ていたんですが、台数が少ないのでまったく情報が出てこなくて。そこで、気になって以前から閲覧していたコンフォートオーナーが運営する個人サイトの掲示板で『購入したい』と投稿をしたところ、売ってくれるというオーナーさんが現れたんです」
これにより、幸運にも希少車のオーナーになることができた白根さん。前オーナーが購入する際にカタログから選べたオプションパーツをほとんど装着した車両であったことも嬉しい点だったという。
「LSDが付いてるのが珍しいのと、TRDのシートまで残っている個体は少ないので、オーナー同士で集まるときも注目されますね」
スタイリッシュな追加スポイラーはもちろんのこと、このクルマのために作られた専用サイズのRSワタナベ製エイトスポークホイールもトピックのひとつだった。
そして、前オーナーよりも長い11年間という年月の中で、このコンフォートには白根さんの遊び心も追加されている。
「このモデルのベース車は教習車ですけど、コンフォートといえばタクシーだと思って、後部ドアを自動開閉できるようにしたんです。
業者さんからは『コンフォートには付けたことがあるけど、マニュアルにはやったことがない』と言われました。タクシーはみんなオートマだけど、これは教習車なのでマニュアルだから、フロアトンネルの作りが違うらしく、現車を見て試してみないと分からないと言われました」
タクシーなどに自動ドアの装備を後付けする専門業者をインターネットで探し、電話で相談することからスタートしたというこのカスタム。
専門業者の技もあって取り付け作業は無事に完了。右手のレバーからワイヤーを通じて後部ドアを自動開閉できるようになり、コンフォートGT-Zスーパーチャージャーとしても珍しい、まさに教習車とタクシーのいいとこ取り(!?)な仕様ができあがったという。
「家族から『運転するのをやめて』と言われる年齢になるまでコンフォートに乗り続けたいです。それと、GT-Zじゃなくてもコンフォートオーナーなら入れるグループがあるんですけど、興味があるオーナーがいればぜひ参加してほしいですね」
平成を代表するコンフォートをあえて自家用車として所有し、令和にも残していこうというオーナー仲間の存在も、この愛車に乗り続けて行きたいという心の支えになっているのかもしれない。
取材協力:フェスティバルウォーク蘇我
(文:長谷川実路 / 撮影:堤 晋一)
[GAZOO編集部]
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