アメ車好きが選んだファミリーカーは『アメリカの風を感じる』1GRエンジン搭載の150ランドクルーザープラド
「僕らが若い頃は、ちょうどローライダーが流行ってたんです。パーキングエリアにそういうクルマが集まりすぎて閉鎖されてしまうこともあったくらいで、それがニュースになっちゃったりとか、世間的にも話題だったんですよ。日本車には無いスケールの大きさや、インパクトがあるデザイン、力強いエキゾーストサウンドなど、目立つしカッコいいなぁって思うんです」と、懐かしそうな表情で語ってくれた粟井さん。
当時、アメ車に憧れはしたものの、故障が多いアメ車に踏み切れなかった粟井さんがはじめての愛車として選んだのは、ホンダがアメリカで生産して日本に輸入していたCB型のアコードクーペ。細かな仕様が日本車とは違い、アメリカっぽさが感じられたアコードに、中古車ショップで一目惚れしたのだという。
当時まだ粟井さんは高校生で免許も取得していなかったため、店長に「必ず買います」とお願いし、免許を取得して卒業するまでの数ヶ月間アコードを取り置きしてもらったのも、今となっては良い思い出だと話してくれた。
「やっと自分名義のクルマになったと思いながら、アコードに乗り込んだ瞬間に“自分だけの空間”に高揚したのを今でも覚えています。こういう気持ちになったからこそ、僕はクルマ好きになったのかもしれないです」
粟井さんをクルマ好きにさせてしまったアコードクーペだが、このクルマが与えた影響はこれだけではない。自分だけの空間を、さらに自分らしくできるカスタムの楽しさを教えてくれたのだ。
こうした若い頃の経験を経て、大人になった今でもアメ車への憧れはずっと変わらぬまま持ち続けてきたという粟井さん。現在の愛車は2011年式のトヨタ・ランドクルーザープラド TX-L(GRJ150W)で、タイヤのみならず、グリルマーカーをはじめ、RBPのアクセル・ブレーキペダル、YAKIMAのラックなど、北米を意識した“USDM仕様”に仕上げているという。
特に気に入っているのがトヨタ・4RUNNERに適合するFLOWMASTERというブランドのマフラーを装着しているところだそうだ。
4RUNNERはかつて日本でも発売されていたハイラックスサーフの北米モデル。アメリカでは現在も人気のミドルサイズSUVとして販売されていて、エンジンは粟井さんのプラドとおなじ4ℓのV6エンジン『1GR-FE』を搭載している。
「エンジン型式だけ考えればFLOWMASTERのマフラーも適応するはずなんですけど、いくら調べてもそういう事例が出てこなかったんです。長さが微妙に足りないとか落とし穴もあるので、誰もやっていないということはダメなのか?とも思ったんですけど、物は試しだと輸入して取り付けたら、これがドンピシャだったんです!だから、プラドの4ℓエンジンにFLOWMASTERのマフラーを付けているのって僕しかいないんじゃないかと密かに思っているんです(笑)」
イチかバチかのUSDM仕様カスタムへの賭けは、無事に粟井さんに勝利の女神が微笑んだというわけだ。
ほかにもさまざまなカスタムをしていると言うが、4インチほどリフトアップした足まわり以外は、だいたい自分でカスタムしているというから驚きだ。最近は、塗装も自分でするようになったそうで「ホワイトを基調にして、フロントバンパーなどをブラックアウト化するために、所々をマットブラックに塗装しているんです」
初めて塗装した時は、下処理工程が不十分で1週間くらいでパリパリ取れてしまうこともあったものの、何度も失敗を繰り返すうちに、今では『LINE-X風』や『ラプターライナー風』など特殊塗装に似せた塗り方などもできるようになったと、楽しそうに話してくれた。
「3人も子供がいると、なかなか思うようにクルマいじりができないこともありますけどね。妻からは冷ややかな目で見られているし、全員女の子だからママの味方ですし(笑)」
多少肩身の狭い思いもしているようだが、家族もプラドのことが大好きだと言ってくれているそうだ。山や海などいろいろな場所に出かけられて、キャンプやバーベキューに必要な荷物もたくさん積めるという使い勝手の良さ。そしてチャイルドシートとジュニアシートを積み、5人が座っても広々座れることも粟井さん一家にとっては重要だという。
車内には子供たちが汚してもだいじょうぶなように防水シートカバーが装着されているところなどからも、家族の賑やかで楽しそうなカーライフを想像することができる。
このプラドに乗る前は、2.7ℓエンジンの『95プラド』に乗っていたそうだが、人や荷物を積載した時のパワー不足に悩まされていた事もあり、現愛車である『150プラド』に乗り換えたのだと教えてくれた粟井さん。
「人や荷物を満載にして高速道路を走っていると、軽自動車に抜かされていくくらい遅かったんです。そんな時に、4.0ℓのエンジンを搭載しているプラドがあることを知りました。とりあえず試乗だけしようと店に行って、車体の状態を一通り見て、エンジンを始動した瞬間…ひと目惚れして即契約してしまったんです」
4000ccの1GR-FEエンジン搭載車は、同じプラドの中でも販売台数が少なく、快適なクルージングができることはもちろん、アメリカで人気のFJクルーザーや4RUNNERと同じエンジンを積んでいることも決め手となったということだ。『エンジンからアメリカの風を感じた』とのことで、運転していると、アメ車の面影があるのだと話してくれた。
さらに、排気量が大きくなったことで、ルーフキャリア、ヒッチキャリア満載、7人乗車でもストレスフリーな移動ができるようになったという。
「キャンプは近場に行っても盛り上がれるし、少しでも子供達のストレス発散になればと思っているので、行く機会もどんどん増えていくと思います。ただねぇ、テントを張るのは僕だけで、設営が終わって料理の時間になると子供たちがママと一緒に参加し始めるんです。友達の子供が男の子なんですけど、パパを手伝っているのを見て『いいなぁ~』と思ったりもします(笑)」
そうは言いつつも、家族を最優先にしているところは、さすが一家の大黒柱というところだろう。
独身時代は乗り心地や使い勝手よりもカッコよさに重きを置いていたそうだが、家族が出来た今は、快適に乗れて、なおかつ自分の好みのスタイルにカスタム出来るクルマを選ぶようになったそうだ。
「今まで乗ってきたクルマはすべて最高のBuddyでした。僕にとってクルマって、そういう存在なんです。だから、プラドも僕のBuddyである限り、もっとアメリカンスタイルの似合ったオンリーワンの愛車に仕上げていきますよ!そして家族とも精一杯カーライフを楽しみます!!」
プラドは粟井さんにとって、アメ車に乗りたいという昔の夢につながる宝物のような存在なのかもしれない。
『GAZOO愛車広場 出張撮影会 in 千葉市』
取材協力:フェスティバルウォーク蘇我
(⽂: 矢田部明子/ 撮影: 平野 陽)
[GAZOO編集部]
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