広いラゲッジと高い走行性能に魅せられたクラウンエステート「老後はコイツと車中泊旅を」
トヨタが1955年から作り続けてきたロングセラーモデル『クラウン』。高級セダンの代名詞ともいえるこのクラウンをベースに作られたステーションワゴンが『クラウンエステート』。
フロントマスクをはじめとするクラウンらしいデザインはもちろん、高級感や快適な乗り心地を踏襲し、ワゴン車ならではの広いラゲッジスペースも持つことで、販売終了から15年近く経つ現在でも仕事やレジャーなど幅広い用途で人気の高い1台と言えるだろう。
そんなクラウンエステートを3台も乗り継いできたというのが群馬県在住の棚橋伸之さん(56才)。棚橋さんを虜にするクラウンエステートの魅力とは、一体どんなものなのだろうか?
棚橋さんが現在のエステートをネットオークションで見つけて購入したのは4年前の2018年7月のこと。
「僕はこのエステートの前にも2台のエステートに乗っていました。1台目は事故で全損して動かなくなったので乗り換えようと次のクルマを探したものの、エステート以上に乗りたいと思ったクルマがなかったんです。それくらい僕にとって乗っておもしろいクルマだったし、1台目に装着していたパーツも活用できるので、次も同じモデルにしました。
2台目のエステートは19万キロまで走ったんですが、ボンネットとか屋根のクリアが全部はげてしまったんです。それを修復するなら別に新しいクルマを買ったほうが安いかも…と。そこで2台目のときには欲しくても見つけられなかった、サンルーフ無しの純正カラーのこの1台にたどり着いて購入したんです。夜行バスで大阪まで取りにいったのを覚えていますよ」
棚橋さんが購入したクラウンエステート(JZS175W)は、最終型の2007年式でNAの2JZエンジンを積んだオートマ仕様。
もともとはチューニングまで手がけるクルマ屋さんだったという棚橋さんが、購入後に手間暇かけて現在の状態まで仕上げたということで、クラウンらしい上品さを損なわないスタイリングにスポーティーさが加わった、シックで大人な1台となっている。
「アングルでいうなら、お尻からみたラインがなんかいいんですよね。エアロはユーロというブランドのハーフバンパとサイドステップを使っています。純正っぽくしたかったのでホイールは社外ホイールに純正のホイールキャップを小さく削り込んで装着していて、ブレーキキャリパーもセルシオ用に換えています。
あとはマフラーもノーマル形状を30mm伸ばしたワンオフもので、メンバーブレースはアルテッツァのTRD用です。足まわりはテインの柔らかめの車高調を思い切り締め上げて使うことで、しっかり感と乗り心地を両立していますよ」
純正らしさを維持しつつも、走って楽しい仕様を心がけてイジっているということで、見えない部分にもオーナーのこだわりが伺える。
「エンジルームは高圧洗浄機を使ってキレイにしています。車歴14年目のクルマには見えないと思いませんか? エンジン本体はいじっていないですが、高速道路になるとエアダクトから取り込んだ走行風ですごく速くなるんです。NAだけどスポーツカーだなって」
また綺麗に保たれている内装で注目したいのがハーフのウッドステアリング。
「もともと20年前にオーダーで作ってもらったんですが、レザー部分がボロボロになってしまったので自分で張り替えたんです」という愛用品だ。
「僕はこのクルマの全部を気に入っているんです。トヨタ最後の直6でマークⅡやアルテッツアと共通部分も多いし、乗って楽しくておもしろいスポーツカーですよね。それにクラウンエステートってボディ剛性があってヨレが少ないんですが、これは最終型の後期だから余計にすごい。もうほかのクルマに買い替えようとは思えないんですよ」
「このクルマって惚れ込んでいる人も多いし、いまだに街で乗っている人も結構いるんですよね。それに僕が入っているエステートオーナーズ倶楽部は120人くらいメンバーがいるんですけど、なかには10代の子もいるくらい年齢層も幅広いんです。
にもかかわらず部品がなくなってきているのが困っている点ですね。とりあえずECUなんかはストックして、なにかあったらそれでどうにか乗り切ろうと思ってますが…トヨタさんお願いします!」と、切実にアピールしていたのが印象的だ。
また、棚橋さんのエステートを語る上で忘れてはならないのが、YAZAWA愛。
「フロントグリルの下にYAZAWAエンブレムをつけています。あとリアガラスにわざと厳つくならないように黒フィルムの上にステッカーを貼っているんですよ。ナンバーも“4649(ヨロシク)”になってます(笑)」と、さりげなく矢沢永吉ファンであることのアピールも盛り込まれていた。
現在は週末のワインディングドライブが楽しみだという棚橋さんには、ひとつの目標がある。
「老後にこれに乗って1人で車中泊の旅をしようと思っているんです。だから自分の体が動くうちにクルマを作って、完成させておいて老後は車中泊。霊柩車などにも使われていて棺桶だって積めるこのクルマだからこその目標ですね」
実際、エステート最大の特徴ともいえる広いラゲッジスペースには、常にスナップオンの工具箱が積まれているとのこと。知識のある棚橋さんなら旅の最中にいつ何が起こっても安心だろう。
直列6気筒エンジンを搭載しスポーツカー同等のポテンシャルを持ち、広いラゲッジスペースで車中泊旅の夢まで抱かせる国産ステーションワゴン。
その魅力で棚橋さんを虜にしたレッドマイカのクラウンエステートは、これからの人生になくてはならない大切な相棒として、オーナーと共に過ごしていくことだろう。
『GAZOO愛車広場 出張撮影会 in 千葉市』
取材協力:フェスティバルウォーク蘇我
(⽂: 西本尚恵/ 撮影: 古宮こうき)
[GAZOO編集部]
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