スーパーGTファンの青年が初の愛車に選んだ86。サーキットでの目標タイムに向けてウデを磨く

  • トヨタ・86とオーナーのやじさん

トヨタのZN6後期型86を相棒に、タイムアタックシーズンになると休日の趣味としてスポーツ走行を楽しんでいるという『やじ』さん(26才)。

「小6のころに地上波でスーパーGTのダイジェストを放送していた『激走!GT』を観るようになって、その様子を見ていた両親が現地観戦に連れて行ってくれたんです。たしか2005年のツインリンクもてぎ戦だったと思います」

やじさんの実家のトヨタ・86

当時からやじさんがどれだけスーパーGTへの憧れを抱いていたかというのは、実家で母親が乗るクルマとして86を提案したというエピソードからも伺える。

「2012年に86が登場した当時、ちょうど母親のクルマが買い換え時だったこともあって、ボクがプッシュするようなカタチで86を選んでもらったんです。オートマでしたが、そのころには母親もクルマに興味を示してくれるようになっていました」

やじさんが成人式のときに一緒に記念撮影したという母親の愛車は、BBS製ホイールなどカスタムが施されている様子も窺える。

  • トヨタ・86の左リア

スーパー GTでは観戦当初から脇阪寿一選手のファンになり、自然と脇阪選手が乗るトヨタのマシンやチームを応援するようになったというやじさん。

「高校、大学とクルマ好きの友人が増えていきましたが、彼らから他のメーカーを推されるというよりは、どちらかというと自分がトヨタを布教する側でしたね(笑)」

もちろん、母親に86をプッシュしたのもそういった経緯があったからだ。

高校を卒業するとすぐに普通免許を取得。京都にある大学に進学し、在学中はマイカーを持たない生活を続けるいっぽうで、群馬の実家に帰った際には母親の86を借りてドライブなどを楽しむカーライフをスタートさせた。

さらに、サーキット走行にも興味があったことから、富士スピードウェイのショートサーキットなど、ミニサーキットを中心とした走行会にも参加するようになっていったという。

  • トヨタ・86の右フロント
  • トヨタ・86のホイールとブレーキ
  • トヨタ・86のBRIDEシート

そして、初めて自分の愛車となる86を手に入れることができたのは2019年。就職が決まって大学を卒業するタイミングだった。

「一番憧れていたのはポルシェの911 GT3だったんですが、まずは運転技術の向上と、サーキットを走ることも考えて、スポーツカーの中でも古い車体より現行型のほうが維持費もかからず価格も抑えられるだろうと86を買うことにしました。もちろん、ずっとトヨタを応援してきたというのもありますね」

そんななかで見つけた車体が、2017年式の86 GTリミテッドハイパフォーマンスパッケージ。上位グレードのGTに大径のブレンボブレーキやザックス製のダンパーを備えたスポーツモデルだ。

「インターネットの中古車情報を見つけたんですが、意外とほかのグレードと見比べても価格に違いがなかったんです。サーキットを走るならブレーキの強化は必須なので、純正でブレンボ付きというのも魅力でした。正月に京都から実家に帰省したタイミングで家族といっしょに埼玉まで現車をチェックしに行って、その場で決めました」

  • トヨタ・86の運転席に座るやじさん
  • 鈴鹿サーキットを走るトヨタ・86
  • モビリティリゾートもてぎのストレートに並ぶトヨタ・86

こうして、めでたく社会人になった4月から、勤務先の大阪を拠点に86でのマイカー生活がスタートした。

「この86で最初にサーキットへ行ったのは10月でした。鈴鹿サーキットの本コースで、ライセンスを取得して一人で行くフリー走行に初めてチャレンジしたんです。

鈴鹿を走ったことのある知り合いから『難しいコースだよ』と言われていたんですが、まさにその通りでしたね。でも走りがいがあるというか、こんなに走って楽しいコースがあるのかと感動しました。GTはもちろんF1も開催されるような国際サーキットで走ることができた、というのも嬉しかったです」

現在は転勤で千葉に住んでいるものの、いまでも鈴鹿での自己ラップタイム更新を目指して走り込んでいるというやじさん。近郊のモビリティリゾートもてぎ、袖ヶ浦フォレストレースウェイでも走行を重ね、秋から春にかけてのタイムアタックシーズンでは月に1~2回のペースでスポーツ走行を楽しんでいるという。

  • トヨタ・86のエキゾースト
  • トヨタ・86のGR Garageロゴ

サーキット走行を重ねるのと並行して、購入当初はTRDのオプションエアロのみが装着された状態だった車体にも、タイム更新を狙って様々なカスタムを加えてきたという。

「最初に交換したのはマフラーでした。よりスポーツカーらしい音を求めて、純正マフラーからレボリューション製のものに換えてあります」
またリヤバンパーはデザインがお気に入りだというトムス製に変更されている。

そういったパーツ選びやメンテナンスの相談は、地元群馬にあるGRガレージ高崎で行うことがほとんどで「車高調も地元のメーカーでGRガレージからもおすすめされた、クスコのスポーツRを選びました」とのこと。

また、タイヤはブリジストンのラジアルタイヤフラッグシップモデルのポテンザRE-71RSをチョイス。ホイールは17インチのTWS T66Fで、信頼できるモータースポーツブランドの鍛造軽量モデルということで選んだ品物だ。

  • トヨタ・86のエンジンルーム
  • トヨタ・86のフロント右側
  • トヨタ・86のリヤスポイラー

樹関系についてはFA20型エンジンの泣き所である油温対策としてHKS製のオイルクーラーを追加。水温のほうはノーマルラジエターでも十分なほど冷えるとのことだ。

登場から10年が経過し、グリップ強化のためのワイドボディ化や、ボルトオンターボなどのパワーチューンなど、カスタムの方法も豊富になってきた86 だが、やじさんがそういった仕様にしないのにはひとつの理由が。

「自分の鈴鹿サーキット目標タイムとして、86/BRZレースのアマチュアクラスの予選タイムを基準にしているんです。クルマのほうは自分なりにそれに合わせた仕様にしていて、今は自分の腕でタイム短縮を狙ってチャレンジしているところです」

  • トヨタ・86の横に座るオーナーのやじさん

やじさんが目指す目標タイムまではあと2秒といったラインまでやってきているとのこと。この記事が掲載されるころには、今年の冬のタイムアタックシーズン開幕に向けての準備が着々と進んでいることだろう。

取材協力:フェスティバルウォーク蘇我

(文:長谷川実路 / 撮影:堤 晋一)

[GAZOO編集部]

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