トヨタ ハチロクが繋いでくれた人との縁! 最高の友人や職人との出会いを産んだ宝物
「親戚の自宅近くのサーキット場に行くのが楽しかった」というふじもんさんにとっての憧れのクルマはハチロクことトヨタ カローラレビン(AE86)。
いつかは乗りたいと思っていたいわば初恋のクルマでしたが……、運命的な出会いで手に入れると、その後はハチロクが繋いでくれた縁で素敵な友人や腕の立つ職人さんに出会い、最高のカーライフを送っているそうです。
そんな、ふじもんさん×ハチロクのお話です。
――ふじもんさんの現在の愛車はAE86ですが、これ以外にはどんなクルマに乗ってきたんですか?
日常の足となるクルマはいろいろ乗っていますが、愛着を持って乗っているクルマと言うとこれだけですね。かれこれ11年くらいこれ1本です。
――そんな愛着のあるAE86を手に入れられた経緯とは?
話したら長くなるんですが……、親戚の家の近くにサーキット場があって、そこでドリフト競技をやっていたんですが、それに中学生の頃から興味を持って見ていたんですよ。
そこで知り合った方がAE86に乗られていたので、以来ずっと憧れていて。高校生の頃くらいから「いつかは乗りたい」と思っていたんですよ。
免許を取った頃、知り合いの家から僕の家までの間にAE86を飾ってあったクルマ屋さんがあったんです。毎回そのお店に飾られているハチロクを見て家に帰っていたんです。
ある時、仲良くしてくれていた先輩が「ふじもん君にピッタリのハチロクを見つけたよ!」と教えてくれたので見に行ったら……そのAE86だったんです。
聞くと、もともとクルマ屋さんのご主人が所有されていたクルマだったんですが、そろそろ手放したいと思っていたみたいで。それで僕に売ってくれることになったんです。
――すごい偶然ですね! ということは免許を取って最初のクルマもこのハチロク?
そうですね。欲しいと思っていたクルマがそのまま手に入った形だったんです。
――きっと感動もひとしおだったと思いますが、冷静に見てクルマのコンディションはどうでしたか?
正直、エンジンは終わっていました(笑)。
ただ、外装はめちゃめちゃキレイだったしエアコンもちゃんと効くし、ロールバーも備えられていたのでエンジンさえどうにかすればすぐに乗れるなっていう感じはしました。
他にもいろいろ直さないといけないところが後から見つかりましたけどね。
――中古車のコンディションとしては決していいわけではなかった感じですね。ちなみに今ならこのハチロク、買いますか?
悩みますが、多分、この状態のハチロクに出会ったとしても同じように買ったと思います。
欲しいと思っていたクルマが手に入ったという不思議な感覚は何物にも代えがたいし、外装がキレイだったのも大きなポイントでした。そもそも僕が12年乗れたということなのでいい個体だったんですね。
――手に入れたとはいえ、最初はエンジンを直してからなので乗るまでには時間がかかった感じですか?
そのころって僕、自動車整備士の学校に通っている時期だったんです。なので自分でできるところは自分でやってという感じで。
ハチロクってホントに教科書になるクルマでいい勉強になりました。今でも自分で手を入れているのですごく愛着があります。
――整備の学校に通っていたということでクラスメートはクルマ好きも多いと思いますが……ハチロクを買ったというと反響はすごかったんじゃないですか?
すごかったですね。ただ、ハチロクって「頭文字D」の主人公のクルマでもあるので、「イニD好きなの?」みたいなことはすごく聞かれました(笑)。
僕はそのマンガを当時は読んでなくて、ハチロクを知る入口がみんなとは違う感じだったんですけどね。
――乗れるようにしたのはいつぐらいだったんですか?
購入して1ヵ月くらいですね。早速サーキットに持っていきました。
――乗ってみての第一印象はどうでしたか?
「乗りやすいクルマ」だなとは思いましたね。僕自身これが自分のクルマが最初のクルマなので比較のしようがないんですが、今思ってもそのイメージが強いです。
サーキットで走るのは最初なので下手くそでしたが、やっぱり楽しいし、うまくなりたいなっていう気持ちが芽生えました。
――このクルマで出かける頻度って増えました?
毎週どこかに行くようになりました。サーキットに限らずドライブもですけど、ホントにいろいろ行きました。
地元の香川県だと五色台とか前山峠というクルマ好きのテッパンスポットはよく行きましたし、他にも目的地を決めないで走るとか、愛媛や高知などの近県にもフラーっと走る感じで出かけていました。
――当時からかなり人気のあるクルマだったので、旅先などでは話しかけられることも?
よくあります。今でもですよ! 「セリカじゃないん?」みたいなことも言われますけどね(笑)。もともと僕が話しかけられやすいキャラみたいで、ちょっと駐車場に停めているだけで声はかけられますよ。
――話かけやすいことはいいことだと思います! 所有されて12年が経つということで不具合が起きたこともあると思いますが、特に覚えているのは?
最初の方ですが、エンジンからオイルが漏れていて、500キロ走ったくらいでエンジンオイル交換をすることになったんですよ。
この時に先輩からハチロクを専門に直しているお店を紹介してもらったんですが、そこのおじいさんがすごく腕のいい方で。今では懇意にしているショップになりましたし、そこのお店でエンジンをかれこれ2回載せ替えています。
――エンジンを何度も載せ替えたりするとある程度お金もかかるし、メンテナンスも大変そうですね……
最初のころは1か所が壊れたら違うところが連続して壊れることが多かったので嫌になりましたけど、手を掛けてちゃんと直していくことで愛着が沸いてきました。
ショップともつながりができたし、友人もできていい環境ができたのでずっと乗っていけるなっていう感覚が出てきたんです。そういう環境や思いにたどり着くまでは時間はかかりましたけどね。
――友人ができるといえば、オフ会には参加しようという思いはありましたか?
僕の年代ではハチロクに乗っている人がほとんどいなくて、サーキットとかで一緒に走るのは年代が上の人でうまい人ばかりだったんですよ。だから6年前くらいですが、同年代のハチロクオーナーに会えたらいいなという思いで参加したんです。
――初オフ会の印象ってどうでしたか?
テンション上がりますよね。ハチロクが一面にズラーッと並ぶのは。僕なんか井の中の蛙みたいな感じで「こんな感じでカスタムするんだ」と感動しましたね。
――ふじもんさん自身は走るのがメインなのでカスタム熱は高くはないような気がしますが、やはり刺激は受けました?
受けましたね。それでちょっとずつカスタムを始めたし、初めてのオフ会で出会った同じ香川で4つ下のNoriakiくんという友人と出会ったことで意識が変わりましたね。彼は運転するよりもクルマをイジるのが好きなタイプで話を聞いていても刺激になりました。
僕も整備士の経験がありますが、この手の仕事をしている人は一般的に自分の知識やテクニックを隠したがるんですが、Noriakiくんは逆に教えてくれるタイプで。
むしろ走りの面では、僕の走っている様子を見て「もっとこうしたらいいんじゃない?」みたいなアドバイスもしてくれて。それでドリフトの大会に出ても好成績を収められるようになりました。
――同年代の知り合いができて意見を交換できるようになったことで運転技術もカスタムの知識も得たんですね。それからは仲良くなった感じですか?
そうですね。下手したら毎日会う感じでしたよ(笑)。同じ香川県に住んではいますが、地元は端っこと端っこで距離はあるし、今僕は香川から少し離れたんですが、それでも毎日クルマのネタでLINEしていて。もう大親友ですね(笑)。
――そこまで仲良くなれるって素晴らしいですね
だからハチロクに乗っていなかったら、どうなっていたかなって思いますよ。ショップにもNoriakiくんにも知り合えなかったわけですからね。
――Noriakiさんとの思い出ってありますか?
今年の5月に同じ大会に参加したんですが、僕らは中級のミドルクラスに出ていて、ハチロクで出ている人が少ないんですよ。シルビアとかのハイパワーなクルマが多い中で、僕は1回戦負けでしたが、Noriakiくんは優勝して。それがやっぱり一番思い出に残っていますね。
基本的に二人で出かける時ってドリフトの大会が多いんですが、僕のクルマが不具合を起こした時にNoriakiくんは自分の順番を気にせずに僕のクルマを直すのを手伝ってくれたりして。その優しさも嬉しかったです。
――そんな出会いをくれたハチロクですが、いろいろとクルマをカスタムされてきたコンセプトは?
カスタムと言うと僕はクルマの動きが中心になるので、カーレースのゲームのように走ってくれたらいいなとは思ってカスタムしているんです。怒られちゃいますけどね(笑)。
エンジンをキャブレターに替えて、カムも入れ替えてドリフトしやすいようにアーム類を変えたりしてという感じでイジってますね。
――ここを見て欲しいみたいな自慢のポイントは?
ショップの方が作ってくれたエンジンですね。ご高齢の職人さんですでに引退されたんですが、最後にこのエンジンを作ってくれたんですよ。以前載せ替えていたからかあらかじめ用意してくれていたみたいで。
エンジンの特徴としては馬力が上がっているというのとキャブレターに換えたエンジンが良く回るのでサーキットを走るにはすごく楽しく走れるのが自慢ですね。
――今後このクルマでやりたいことはありますか?
やっぱりサーキットによく行きますし、今までは2位ばかりなので1位になりたいですね。あとはこのハチロクに出会ってから「頭文字D」もちゃんと読んだし、ゲームセンターにあるゲームで遊んだので、群馬の榛名山などに聖地巡礼はしたいなって。
――では、このハチロクってふじもんさんにとってどんな存在ですか?
ちょっと重複しますが、僕にとっては宝物ですね。やっぱりこのクルマをキッカケにNoriakiくんや職人のおじいさんに出会えたし、いろいろな仲間に出会えた。この出会いはホントに何物にも代えがたいし、まさに僕の宝物ですね。
憧れのハチロクを初マイカーとして手にするというところからはじまったふじもんさんのカーライフ。ハチロクそのものがだいぶ古いクルマになるため、エンジンの載せ替えなどのメンテナンスにも苦労が絶えないようです。
それでもこのクルマで出会った人たちとの縁は代えがたいと熱く語ってくれました。
(文:福嶌弘)
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