2024 WRC 第7戦 ラリー・ポーランド レポート

  • 69号車(カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン)

目次

1.スケジュール
2.チーム&ドライバーズ / コ・ドライバーズ
3.ランキング
マニュファクチャラーズランキング
ドライバーズランキング
4.レース 結果&レポート
・第1戦 ラリー・モンテカルロ 結果 レポート
・第2戦 ラリー・スウェーデン 結果 レポート
・第3戦 サファリ・ラリー・ケニア 結果 レポート
・第4戦 クロアチア・ラリー 結果 レポート
・第5戦 ラリー・ポルトガル 結果 レポート
・第6戦 ラリー・イタリア サルディニア 結果 レポート
・第7戦 ラリー・ポーランド 結果 レポート
・第8戦 ラリー・ラトビア 結果 レポート
・第9戦 ラリー・フィンランド 結果 レポート
・第10戦 アクロポリス・ラリー・ギリシャ 結果 レポート
・第11戦 ラリー・チリ・ビオビオ 結果 レポート
・第12戦 セントラル・ヨーロピアン・ラリー 結果 レポート
5.WRCとは

第7戦 ラリー・ポーランド レポート

今年7年ぶりにWRCに復帰することになったラリー・ポーランドのグラベルコースは、スムースでフラットな路面が特長。全体的にかなりハイスピードで、ジャンピングスポットも多いため、WRCの中ではラリー・フィンランドと似たキャラクターのラリーといえる。また、アクセル全開区間が長いためエンジンのパフォーマンスが重要となり、ハイスピードなコースで自信を持ってアタックするためには、スタビリティの高いハンドリングも不可欠。ドライバーとクルマの総合力が求められる、チャレンジングなラリーとなる。
今大会、オジエが火曜日午前中の「レッキ」中に、一般車両との交通事故(事故に関わった全員が既に退院)が発生し、競技への不出場が決定。チームは、当初の出場プログラムに含まれていなかったロバンペラとコ・ドライバーのハルットゥネンに出場を依頼した。
ロバンペラにとって、ラリー・ポーランドは初めて出場するイベントであり、木曜日午前中(DAY1)に行なわれた「シェイクダウン」が、ポーランドでの初走行となっている。

DAY1
午前中に行なわれたシェイクダウン後、ミコワイキでのセレモニアルスタートを経て、夜7時過ぎから競技がスタート。サービスパークのすぐ近くに設けられた「ミコワイキ・アリーナ」で2台同時スタートのスーパーSSが1本行われ、急遽代役出場したロバンペラは首位と2.1秒差の総合7位に。エバンスは総合3位で、勝田は総合4位で順調に競技初日を走り終えた。

DAY2
サービスパークの北側から東側にかけての広いエリアで、3本のステージを日中の「タイヤフィッティングゾーン」を挟んで各2回、一日の最後にはミコワイキで2回目となるスーパーSSを走行する合計距離113.50kmが予定されていた。しかし、数本のステージについては、観客の安全確保に関わる理由によりキャンセルまたは中断されることに。ステージを全開で走行できなかった選手に対しては、ノーショナルタイム(救済のための想定タイム)が与えられることとなった。
この日のグラベルステージは全体的にドライコンディション。選手たちは「タイヤフィッティングゾーン」での簡易的な整備作業およびタイヤ交換をし、午後のステージに挑んだ。路面が比較的軟らかいことから、ライバルの多くは午前中と同じようにソフトタイヤのみを選択して午後のステージに臨んだが、TOYOTA GAZOO Racing WRTは全車がソフトタイヤとハードタイヤを組み合わせて選択。この判断は、タイヤの摩耗に厳しい路面コンディションとなった午後のステージで奏功し、ロバンペラはその後のSS5、最終のスーパーSSでベストタイムを記録し総合2位に順位を上げ、エバンスは総合3位を死守し、勝田は総合8位につけた。

DAY3
サービスパークの北側から東側にかけてのエリアで、3本のステージを、ミコワイキでの「スーパーSS」および「ミッドデイサービス」を挟んで各2回走行。合計7本のステージの距離は124.10kmと4日間で最長。前日夜の段階では降雨も予想されていたが、結果まとまった雨はなく、概ねドライコンディションでの走行となった。
ロバンペラは、オープニングのSS9、続くSS10で連続ベストタイムを記録し首位に、結果7本中6本のステージでベストタイムを記録し、総合1位でこの日を終えた。エバンスは、午後1本目のSS13でタイヤに問題が生じペースダウンしたものの、残る2本のステージでは確実性を最優先して走行し、総合3位の座を堅持。勝田は、ドライコンディションのグラベルラリーでは不利な出走順で走行することになりペースを上げることができない中、忍耐強くステージを重ね前日と変わらぬ総合8位でこの日を終えた。

DAY4
サービスパークの周辺から西側にかけてのエリアで、2本のステージを各2回走行。合計4本のステージの距離は63.06km。最終日も天気は良く、4本のステージともドライコンディションでの戦いとなった。
ロバンペラは、オープニングのSS16で2番手タイムを記録。またSS18で今大会9本目となるベストタイム、最終のパワーステージで3番手タイムを記録し、第3戦サファリ・ラリー・ケニア以来となる今シーズン2勝目を飾った。これによりWRCトップカテゴリーでの優勝回数は13となり、「69号車」をドライブするロバンペラにとって、WRC「69戦目」での勝利は特別なものになった。
エバンスは、オープニングのSS16でミケルセンがタイヤのトラブルにより大幅にタイムを失ったことにより、総合2位に。しかしその後のパワーステージでタイヤから空気が抜け7番手タイムと遅れをとったが、結果として総合2位の座はしっかり守り、今季4回目の表彰台を獲得した。
ラリー・ポーランド初出場の勝田は、総合8位を守りフィニッシュ。パワーステージは5番手タイム、スーパーサンデーでは6位に入り、合計6ポイントを獲得してラリーを終えた。
なお、サミ・パヤリ/エンニ・マルコネンは総合9位に入賞し、サポート選手権のWRC2でも今シーズン2勝目を獲得。GR Yaris Rally2は、ラリー・ポルトガル(ヤン・ソランス/ロドリゴ・サンフアン)、ラリー・イタリア サルディニア(パヤリ/マルコネン)、そして今回のラリー・ポーランドと、デビューイヤーにも関わらず既に3勝を記録している。

≪豊田 章男 (TGR-WRT会長)≫
今回のラリーではレッキ中の事故により17号車 オジエ組が急遽欠場となりました。オジエ、ランデ両選手を含め事故に関わった全員が既に退院していること、改めて私からも報告いたします。

オジエ選手とランデ選手の走りを楽しみにされていたファンの皆さまには大変残念な思いをさせてしまいました。

ポーランドでのWRC開催はトヨタ再参戦の2017年以来です。セブがポーランドの道をトヨタのクルマで走るとどうなるのか?私もとても楽しみにしていたので、欠場の知らせは本当に残念でした。2人にはまた違う道で、私たちファンがワクワクするような走りを見せてもらいたいと思います。

一方、チームからの急なお願いにも関わらず、「チームをサポートしたい」という思いで走ってくれたカッレとヨンネに心から感謝しています。

「優勝を期待しているわけではない…」「少しでもチームの助けになってくれれば…」とヤリ-マティからも伝えられていたはずが、まさかの優勝。短い時間で最大限の準備をしてくれて、結果を残してくれた2人には本当に驚かされました。カッレ、ヨンネ、嬉しい想定外をありがとう!

17号車から69号車への急転換も簡単なことではなかったと思います。それを成し遂げてくれたチームメンバーにも感謝しています。みんな、ありがとう!

そして、エルフィンとスコット、貴重な2位をありがとう!2人のおかげでTOYOTA GAZOO Racingはワンツーフィニッシュを飾れました。

シーズンの折り返し地点となるこのラリーでワンツーフィニッシュを飾れたこと、マニュファクチャラーズタイトルに向けて大きな意味があると思っています。

そして、エルフィンとスコットにとっても大きな意味のある2位だったはず。エルフィンとスコットはホームラリーに強い!2つのホームラリーを含むシーズン後半戦も期待しています!

シーズン後半戦もチームみんなで力を合わせて戦っていきましょう!