大学自動車部ってどんなところ? -関西学院大学編-
全国の大学や専門学校などの自動車部におじゃまして、日頃の活動風景やご自慢部員をレポート。今回は、関西学院大学自動車部を訪問。聞くところによると、同大学の自動車部には、何やらスゴ腕の女性ドライバーがいるとのこと。
★関西学院大学自動車部プロフィール
●部員数:男子 10名 / 女子 1名 ※部員数は2014年3月現在
●部車:ホンダ インテグラ(ダート用、ジムカーナ用各1台)
●活動内容:平日はミーティングや部車の整備作業を行い、土曜日は整備の続きや、サーキットに繰り出して練習を実施。年に8回開催される学生大会に出場し、ジムカーナ、ダートトライアル、フィギュアの全種目での上位入賞が目標。
●活動実績:平成24年 全関西学生ジムカーナ選手権大会 男子団体の部 準優勝
●平成25年 全日本学生ダートトライアル選手権大会 女子の部 優勝
●平成25年 第二回全関西学生ジムカーナ選手権大会 女子の部 優勝
など
関西学院大学自動車部 唯一の女性ドライバー
今回訪れた関西学院大学は、キリスト教主義に基づいた教育理念を掲げ、幼稚園から大学院までを擁する総合学園。創立120余年の歴史を誇り、多彩な学部を設置。中でも西宮上ケ原キャンパス内は、シンボリックな時計台や芝生が広がる美しい環境も自慢です。
関西学院大学自動車部の活動拠点は、西宮上ケ原キャンパスの南側にあります。主な活動は、ミーティングや部車の整備、休みの日にはサーキットの練習走行を実施。自動車部の歴史は、創部80年を迎えた古豪で、昨年には記念式典も行われ、OGB会から記念の競技車両が贈呈されるなど、現役部員とOGB会とのつながりやサポートも手厚い。
そもそも自動車部は男子学生が多いイメージですが、こちらには女性ドライバーの末岐華穂(すえきかほ)さんが在籍しています。
末岐さんがまずクルマに興味を持ったきっかけは「父の影響」とのこと。家族のクルマがスポーツセダンで、華麗にシフトチェンジを行う父の姿に惚れ惚れしていたそうです。そんな父への憧れもあり、受験を終えた末岐さんは運転免許取得のため教習所へ。しかし、彼女は教習所を卒業したら乗車機会がなくなり、運転技術が低下することを危惧していました。そんな時、関西学院大学のホームページで自動車部を発見。その瞬間、彼女のクルマ熱に火がつき、入学後は一目散に自動車部へ。
今でこそ、数々のレースで活躍中の末岐さんですが、レースの練習を始めた頃は、免許を取得して間もなかったため、スピードを出したり、コーナーを攻めることに恐さを感じていた様子。教科書通りの超安全運転で、指導者も困惑気味でした。
しかし彼女は、指導者が見せるコース取りやコーナリングの手本走行を見て、それを何度も実践。トライ&エラーを繰り返しながら、運転技術を磨きました。そして、公式戦3戦目となる、平成25年度第一回全関西学生ダートトライアル選手権大会の女子の部で優勝したのです。
優勝実績は5回!気付けばスゴ腕ドライバー
前述のダートトライアルでの優勝を皮切りに、末岐さんは、全関西学生自動車運転競技選手権大会フィギュア小型貨物の部、全日本学生ダートトライアル選手権大会、全関西ジムカーナ選手権大会など、5大会で優勝(いずれも平成25年度の女子の部)し、学生レーサートップクラスの仲間入りを果たします。
レースで実績を積み上げた末岐さん。彼女はさらに腕を磨きたいと気持ちも一気に上昇志向に。しかし部が所有するクルマの台数は限られています。そこで彼女は効率よく練習に臨むべく、マイカーを購入。7万円で手に入れた「三菱 ミラージュ」号を駆ってサーキットに繰り出し、練習に取り組んでいます。マイカーを持つ自動車部員は珍しくはありませんが、積極的に練習で使う人は比較的珍しいようです。
「自分専用車なので、みっちり練習ができます」とほほ笑む末岐さん。運転席に座ってドライビングポジションを確認すると、今度は満面の笑みに。本当にクルマ好きということが取材陣にも伝わってきました。
改めて今後の目標をたずねると、「全日本大会で優勝したい」と即答。「最初は指導者をガッカリさせるほどの腕だったけど(笑)、今はタイムを縮めるためのテクニックを追求できるようになったり、整備の知識もしっかりついてきました」とレーサーの顔をのぞかせます。「もうひとつの目標として、今年は女子部員を必ず入部させたいです」とコメント。どうやらこちらは切なる願いのようです。
関学自動車部の強さの秘訣は団結力
関西学院大学自動車部は、スポーツ系の部活よりはこぢんまりとしていますが、その分学年の垣根を超越して和気藹々と活動に励んでいます。部のクルマがあるのはもちろん、ガレージは広くハード面での充実さはなかなか。ですが、強さの秘訣はそこではなく、部員の団結力にあります。
昨夏、栃木県で行われた全日本学生ダートトライアル選手権大会でのことです。練習走行で部のクルマが横転し、フロントガラスが破損するなど、レースにエントリーできない状況に。すぐに新しいパーツが必要となりましたが、見知らぬ土地なので、パーツショップの所在などまったくわかりません。そこで部員は一致団結し、急いで周囲に聞きまわったり、スマートフォンでリサーチするなどして、パーツショップを突き止め、都内までクルマを走らせました。
パーツを購入し、栃木に戻ると、今度はそのまま夜中まで整備・修繕にあたり、見事レースレギュレーションを満たすところまでこぎ着けることができました。「団結力の大切さを次の世代にも伝えたい」と末岐さんは熱いまなざしを後輩に送ります。
また、工具片手に車体の下にもぐり込む時間が大好きな男子部員、末岐さんも一目置くドライビングテクニックの持ち主など、頼もしいメンバーが在籍するのはもちろん、免許を持たずに入部した人もチラホラ。「冷やかし大歓迎!」という敷居の低さも見逃せません。今後も持ち味の団結力を活かした関西学院大学自動車部の動向、女性レーサー末岐さんの活躍ぶりに目が離せませんね。
関連サイト
【HP】関西学院大学体育会自動車部
【Facebook】関西学院大学体育会自動車部
[ガズー編集部]
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