【大学自動車部】33人の大所帯で飛躍を目指す –千葉工業大学-

全国の大学や専門学校などの自動車部におじゃまして、日ごろの活動風景やご自慢の部員を紹介するこのコーナー。今回は千葉工業大学の体育会自動車部を訪問。その活動の様子をリポートします。

千葉工業大学体育会自動車部プロフィール

●部員数
33名 ※部員数は2015年9月現在 
部員紹介ページ
​●部車
トヨタ・スターレット、ホンダ・シビック ほか
●活動内容
毎週月曜19:30~ガレージにてミーティングを行う。その他曜日は随時整備作業を行い、土曜・日曜はサーキットなどでの練習走行や大会にも参加。全日本学生自動車連盟が主催するダートトライアルやジムカーナなどの公式戦に参戦し、全日本での団体優勝を目指す。
●活動実績
2015年度 全日本学生ダートトライアル選手権大会 男子団体の部 3位
2014年度 全関東学生ダートトライアル選手権大会 男子団体の部 5位
2014年度 全関東学生ジムカーナ選手権大会 男子団体の部 5位
2013年度 全日本学生ダートトライアル選手権大会 男子団体の部 2位

学生でも本格的なモータースポーツができる

今回訪問したのは千葉工業大学。その源流は1942年(昭和17年)東京府南多摩郡町田町本町田(現東京都町田市本町田)で創立された「興亜工業大学」です。同大学は1946年(昭和21年)に東京から千葉県君津市に移転。その後、1950年(昭和25年)に新制千葉工業大学となり、現在は1~2年生が学ぶ新習志野キャンパスと、3~4年生および大学院生が学ぶ津田沼キャンパス、それに研究活動を通じて生まれた先端技術を一般向けに展示する東京スカイツリーキャンパスなどの施設を擁する工業大学となっています。

千葉工業大学の津田沼キャンパス(左)と新習志野キャンパス(右)。赤レンガでできた津田沼キャンパスの通用門は、国の登録有形文化財に指定されている。

体育会自動車部のガレージがあるのは、新習志野キャンパス近くにある「茜浜運動施設」。かなり広大といえるこの施設の一角に、これまた大学自動車部としてはかなり大きな自動車部のガレージがあります。

前身となる「興亜工業大学」の創立と同時に創部された歴史ある自動車部は、現在の部員数が33人というなかなかの大所帯。数ある大学自動車部のなかでも非常に活気にあふれ、「元気いっぱい」に見受けられます。

「茜浜運動施設」の一角に位置する自動車部のガレージ。もとは大学の実習施設だった場所を二輪部とシェアして使っているという。

冒頭のデータのとおり、ここ数年の公式戦では確実に上位に入るという実力も伴っているもよう。千葉工業大学自動車部の元気と実力の源について、まずは主将の石橋悠人さん(3年)に、入部のいきさつを含めて聞いてみました。

「工業系の大学ということで必然的に部員数が多いというのがまずはあると思います」

そう語る石橋主将は入学時、実は自動車部に入る気はさらさらなく、体育会二輪部のほうに入ろうと思っていたとか。

「友人に連れられてたまたま自動車部を見学に来た時点でシビレてしまいました(笑)。学生でもこんな本格的なモータースポーツができるんだ……と。子供の頃からF1が好きでしたので、これを機会にモータースポーツをやってみたい! ということで迷わず入部を決めました」

今回の取材に対応してくれた、主将を務める3年生の石橋悠人さん。モータースポーツがやりたくて自動車部に入部したとのことで、今ではすっかりダートトライアルにのめりこんでいる。

最初は入る気がなかった自動車部に入部してみて約3年、どうでしたか?

「いやホント入部してよかったとしか言いようがありません! 競技車両でダートを疾走するとか、普通に生活していたら絶対に経験できないことじゃないですか? それを学生の身分で本気でできるというのは、ちょっと言いようがないほど面白いといいますか、感動できる体験なんです」

2015年8月に行われた、全日本学生ダートトライアル選手権大会の様子。千葉工業大学は3位に入る活躍を見せた。

大切なのは車両の製作と整備にミスがないこと

そんな石橋主将が現在目指しているのは「ダートラ(ダートトライアル)での日本一」とのこと。

「ほかの競技をおろそかにするわけではなく、そちらのほうでも当然優勝は狙っています。しかし限られた予算のなかで日本一を狙うには、やはりある程度目標を絞る必要がありますからね。部一丸となってしっかりと競技車を仕上げ、そして走行練習に励み、必ずやダート日本一になる所存です」

全日本学生ダートトライアル選手権大会での千葉工業大学のテントの様子。左に見える白い車両は女子の部で石井与詩乃さんがドライブしたトヨタ・スターレットだ。

そう熱く語る石橋主将ですが、前主将であり現在は副将を務める大田和佳樹さんはやや違う意見をお持ちのようです。

「僕はジムカーナのほうの選手なんで、ジムカーナのほうを頑張りたいところですが(笑)、石橋が言っていることもよくわかります。集中せずに勝てるほど甘くないですからね。いずれにしましても今、部内の雰囲気は非常にいいので、良い結果が出るだろうと僕も思っています」

ダートトライアルに力を注ぐという石橋悠人さん(写真左)に対し、4年生で副将を務める大田和佳樹さんは「自分はジムカーナの選手なので、ジムカーナもがんばりたい」とのこと。

勝つために、そして日本一になるために大田和副将が心がけていることは?

「僕個人が、というわけではないのですが、部として心がけているのは『とにかく車両の製作と整備にミスがないように』ということですね。速い選手がいようがなんだろうが、試合車両の状態が悪ければ絶対に結果は出ません。ですから、とにかくミスのないよう、細心の注意を払って作業するよう下級生に、そして僕自身にも、徹底しています」

競技用車両にロールバーを組み付ける作業の様子。競技車両の出来栄えや整備の差も、大会での成績を大きく左右するという。

そう語る大田和副将の入部のきっかけは「先輩方との会話がとにかく楽しかったから」とのこと。

「新入生歓迎のときにいろいろな部やサークルを片っ端から見てみましたが、自動車部のガレージの広さには本当に驚いたというか感動しました。で、当時の先輩方と話をしてみたら、自分が大のクルマ好きということもあって、とにかく楽しかった。それでまずは入部してみたんですが、その後は完全にハマり(笑)、しまいには自前で競技用車両を買ってしまいました」

最初はホンダ・インテグラの4ドアモデルを購入した大田和さんだが、その後完全ジムカーナ仕様のインテグラ タイプRに買い替え。​現在は千葉工大自動車部員として学生連盟の大会に出場するだけでなく、自分のタイプRでJMRC千葉・東京ジムカーナシリーズにも参戦。「いや~、一般社会人の速い人には全然かないませんよ!」と謙遜していました。

千葉工業大学自動車部の活躍を支える競技用の部車。手前がジムカーナ用のホンダ・シビックで、奥がダートトライアル用のトヨタ・スターレット。

切磋琢磨して成長する、個性豊かな部員たち

入部後、地道なトレーニングを重ねて「速さ」を手に入れた石橋主将と大多和副将ですが、2年生ながらいきなり速い部員もいるようです。一人は、森戸亮生さん(2年)。

「高校時代はお休みしていたんですが、中学の1年から3年生にかけて僕、本格的にレーシングカートをやっていたんですよ。なので、自分で言うのもなんですが、新人の頃からそれなりの結果を出すことができました。そのため周囲の同期などからも頼られる感じで、まぁ率直に言って鼻高々という感じではありました。でも……」

でも?

「この土屋がですね、いきなり速くなりまして……。うかうかしてられないというか、実際かなり焦ってます……」

部員紹介用のアンケートに答える部員たち。この日は33人の部員のうち、26人に集まってもらった。

森戸さんがいう「この土屋」というのが、森戸さんと同じく2年生の土屋亮太さん。

「いや~、クルマは子供の頃から本当に好きで、大学に入ったからにはもう自動車部しかない! ということで入部したんですが、単なるクルマ好きでしたので競技経験はまったくのゼロでした。ま、ゲームはやってましたが(笑)」

才能もあったし、そして努力もしたのでしょう。競技経験ゼロだった土屋さんは今、ある意味モータースポーツのエリート教育を受けた森戸さんを脅かす存在に。「いやホント焦りますよ!」という森戸さんですが、その顔はどこか楽しそう。こうやって各人が切磋琢磨(せっさたくま)しながら、部全体の実力が底上げされていくのでしょうね。

千葉工業大学自動車部の期待の新星がこちら。右が森戸亮生さん、​左が土屋亮太さん。ともに2年生だ。

また千葉工大自動車部では現在、2名の女子部員も選手として活躍しています。4年生の伊藤 彰さんは「普通に考えて素人がゼロからモータースポーツを始めるのはほぼ不可能。しかし自動車部に入ればそれが可能になる」との論理的というか、いかにも理系な(?)考えに基づいて入部。現在は「1年生のときのあの選択は大正解でした。なにせ“一生遊べるもの”を手に入れられましたから!」とご満悦。2年生の石井与詩乃さんも「毎日が充実しすぎていて困ります(笑)」と。走るのも楽しいが、整備もかなり楽しいとのこと。「あの達成感がたまらないんですよ!」

女子部員のふたり。右が「自動車部に入って、人と語れる趣味ができた」という伊藤 彰さん。左が「一番の思い出は、ダートトライアルで横転したこと」と語る石井与詩乃さん。

このような感じで和気あいあいと、しかし日本一を目指して真剣に努力している千葉工業大学体育会自動車部。最後は主将の石橋さんにしめてもらいましょう。

「普通に学生生活を送っていたら絶対にできない経験を、自動車部では体験することができます。チャレンジしたい人、そして何か新しい道に踏み込んでみたい人は、ぜひ自動車部ガレージを訪ねてみてください」

本当に楽しそうなこの自動車部、取材班も同じく一度は訪ねてみてほしいと思いますので、興味のある人はぜひ!

(文=谷津正行/写真=ダン・アオキ)

ジムカーナ用のシビックの前で、「先輩直伝のサイドターン」について語り合う森戸亮生さん(手前)と石井与詩乃さん(奥右)、1年生の斉藤和輝さん(奥左)。​

[ガズー編集部]