【大学自動車部】自由すぎる雰囲気がスバラシイ -立教大学編-
全国の大学や専門学校などの自動車部におじゃまして、日ごろの活動風景やご自慢の部員を紹介するこのコーナー。
今回おじゃましたのは立教大学の自動車部。
部員数は少ないですが、そこには小所帯ならではの「やりがい」と、アットホームな魅力がありました。
★立教大学体育会自動車部プロフィール
●部員数:男子9名 ※部員数は2014年9月現在
部員紹介ページ
●部車:ホンダ インテグラ、いすゞ・ジェミニほか
●活動内容:毎週土曜日の10時から「暗くなるまで」、埼玉県富士見市の立教大学 富士見総合グラウンド内のガレージにて部車の整備を行う(夏休み期間中は毎週水曜日と土曜日)。大会前はサーキットなどでスピード競技の走行練習を行う。目標は全日本および全関東各大会での上位入賞、優勝。
●活動実績:2013年度 第17回関東学生対抗軽自動車6時間耐久レース 学生の部5位
2011年度 第15回関東学生対抗軽自動車6時間耐久レース 学生の部 優勝
部員は9人!大会では一人二役は当たり前
今回おじゃましたのは立教大学体育会自動車部。東京都の池袋と埼玉県の新座市にキャンパスを構える立教大学は、アメリカ聖公会の宣教師チャニング・ムーア・ウィリアムズ主教が1874年、東京・築地に開いた聖書と英学を教える私塾「立教学校」が源流となる、キリスト教系の大学です。「キリスト教に基づく教育」を建学の精神とし、創立以来、知性、感性、身体のバランスを配慮したリベラルアーツ教育に力を入れてきました。またグローバル教育にも要点を置き、「専門性に立つグローバル教養への育成」を掲げています。
同校の体育会自動車部は、2013年に創部80周年を迎えた歴史ある部。全日本学生自動車連盟に所属し、ジムカーナやダートトライアル、フィギュア競技など、連盟の主催する大会に積極的に参加しています。ただ、現在の部員数は1年生3人と2年生4人、3年生と4年生がそれぞれ1人ずつの計9名と、やや少なめの人数で活動をしています。さて、そんな立教大学体育会自動車部とは一体どんなところなのでしょうか? 主将の川森一弥さん(4年)にまずは聞いてみました。
「よくいえば非常に“コンパクト”ですので(笑)、何ごとも小回りが利くのはいいところですよね。しかし正直、人数が少ないゆえに大変なこともあります。大所帯であることが多い他大学の自動車部さんは、試合なども余裕ある人数で遠征していると思いますが、ウチの場合は先日の全日本ジムカーナに遠征できた人数は4人で、その前の全関東ジムカーナにいたっては3人。走る人間が、走り終わったそばから整備する人間に早変わりする……という状況ですから、まぁ忙しいですよね」
そういった少人数で大会等に参戦するうえで、主将はどんな工夫をしているのでしょうか?
「とにかく“前もっていろいろな段取りを決めておく”ということに尽きます。大会当日のタイムテーブルを入念に確認し、例えば、いつ、誰が、どうやって車両を誘導するか? また不測の事態が起きたときは、誰がどう対処するか? 等々を考えられるだけ考え、頭の中で入念にシミュレーションし、部員に周知しておく。そうすることで初めて、なんとかこの人数でも回していける……といった感じでしょうか」
もっともっと走りたい、速くなりたい!
そのような工夫の末「なんとか回せている」と言う川森主将ですが、その横で「や、全然回ってないっすよ!」と異を唱える人物がいます。2年生の宮崎邦紘さんです。上級生に、しかも主将に、そんなことを言っていいのでしょうか? まぁとにかく宮崎さんの話を聞いてみましょう。
「や~、主将が大変なのはもちろん理解していますが、でも実際、練習量は全然足りてないし。先日の全日本ジムカーナもほとんど、というか完全にぶっつけ本番でしたからね。……僕は、とにかく速くなりたいんです。1年生の4月には、実は自動車部ではなくて軽いサークルに入ったんですよ。いわゆるオールラウンド・スポーツサークルみたいなやつ。でも『……つまらん、燃えない』と思い、辞めました。で、10月に自動車部に入ったんです。自動車のスピード競技というのは自分ひとりでできるものではないですからね。だから自動車部は大好きだし、感謝してるし、川森主将のご苦労もわかります。でも、僕はもっと走りたい。練習がしたいんです。整備だけではなく」
2年生の宮崎さんにつられてか、1年生の冨田成俊さんも口を開きます。
「そうですね。皆さんにはもっともっと過激にスピードを求めてほしいと、実は僕も思っています」
ちなみに冨田さんは少年時代は自転車でのドリフトに熱中し、その後中学生になるとスキーのレースに本格的に打ち込んだという、根っからの“スピード野郎”です。
「やっぱりね、やるからには速くないと面白くないと、僕は思うんですよ!」
そう述べる冨田さんへの反論も出て、議論は白熱します。いちおうインタビュー中なので、こちらを無視しないでいただきたいのですが(笑)。
まぁ冗談はさておき、この自由闊達(かったつ)な雰囲気は正直すばらしいのではないでしょうか。「自由の学府」ともいわれる立教ならではの校風が、現役の学生にもきちんと伝わっているというか、他の大学ではあまり見られないこういった自由すぎる雰囲気は、お世辞でも嫌みでもなく「立教大学体育会自動車部の美点である」と思った次第です。まぁ、こういった元気な部員たちをまとめる川森主将は何かと大変なのかもしれませんが!
普通の学生生活では絶対にできない体験ができる
部員たちのさまざまな意見に苦笑しつつ、主将の川森さんがインタビュアーに答えます。
「ご覧いただいたとおりの意見の相反が部内にありますので(笑)、そのあたりの調整といいますかとりまとめが、わたしとしては大変なところですね。自動車部というのは“競技の結果=リザルトを追求する楽しみ”という要素と、“車両を自分の手で作る楽しみ”という二面性がある部活動だと、常々思っています。わたし個人は子どもの頃から『大人になったらクルマを作りたい』と思っていたクチなので、『自分が作った試合車がちゃんと走ってくれる』という部分に最大の喜びを見いだしています。が、世の中には先ほどの宮崎のようなタイプもいますしね。まぁ、難しいところです」
そういった状況の下、より強い、より楽しい自動車部とするために、川森主将はどんなことを心がけているのでしょうか。
「部員には1年生の早い段階からどんどんクルマに触らせるようにしています。心がけといいますか、人数が少ないため、ぶっちゃけ早く“使える人材”になってもらわないと困りますから(笑)。入部したら即タイヤ交換を覚えてもらい、そこからサスペンションまわり、エンジン関係と、どんどんネジの数が増えていく感じで。走るほうは、1年の夏まではフィギュアの練習を行い、夏合宿からスピード競技のほうを学んでもらいます」
入部していきなり即戦力というのは、何やらベンチャー企業のようでステキですね。
「ベンチャー企業のようかはさておき(笑)、新入部員であっても絶対に“お客さん”にはならない、やりがいのある部だとは思いますよ。もしもクルマや機械が大好きな人であれば、得るものは絶対に多いはずです。あとはまぁ、先ほどの宮崎や1年の冨田が言っていたこともわかりますので、今後は“スペシャリスト”を養成したいですね。タイムを追求する走りのスペシャリストと、わたしのような整備のスペシャリスト。それが可能になれば、われわれはもっと強く、もっと速くなるはずです。……そのためには部員数を増やさなければいけませんね。少なくとも現状の倍の人数にはなってほしい。ですから、男子であっても女子であっても“われこそは!”と思う人は、ぜひ自動車部の門を叩いてみてください。普通の学生生活を送っているだけでは絶対に経験できないスゴいことが、自動車部ならば経験できますから!」
立教大学自動車部の来年のエースドライバーまたはエースメカニックは、もしかしたら今これをお読みのあなたかも? 風通しのいい小所帯ゆえに、やる気があって努力を惜しまない人であれば、頭角を現すのも早いと思いますよ!
(文=谷津正行/写真=ダン・アオキ)
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