世界一速いクルマでなければ意味がない!【学生フォーミュラ –上智大学編-】
今回は、初!全日本学生フォーミュラ大会に参戦する上智大学のSophia Racing(ソフィア レーシング)を訪問。学生フォーミュラの雄は、プロ顔負けのモノづくり意識が非常に高い集団でした。
★上智大学編 Sophia Racingプロフィール
●部員数:男子 18名/ 女子 8名 ※部員数は2014年10月現在
●活動内容:全日本学生フォーミュラ大会、世界大会参戦に向けて日々奮闘中。活動は、ほぼ毎日。
●活動実績:全日本学生フォーミュラ大会 総合優勝5回 など
※活動実績の詳細はこちら
地下研究室で、モノづくり
昨年創立100周年を迎えた都心の文教地区に位置する上智大学。インターナショナルなイメージはそのままに、キャンパスを歩く学生も国際色豊か。そんな洗練された大都会にある上智大学のSophia Racingは、2003年から全日本学生フォーミュラ大会に参戦。拠点は上智大学理工学部の地下実験室の一角にあり、そこを作業場にして大学内で活動をしております。実験室は、レース村でよく知られる静岡県の御殿場市に点在するレーシングチームのファクトリーに似たものがあります。
彼らの活動は大学の授業と密接に関わるもので、これまで取材を重ねてきた自動車部の活動とは異なります。授業で学んだことを生かしながら、モノづくりに没頭。大学を卒業して社会に出た時には、そこで得た技術を直接生かすことができるので、クルマ業界にとっての人材育成の場でもあります。
自動車メーカーに就職される方も多く、学生フォーミュラはリクルートの場でもあることは、周知の事実とのこと。学生時代の経験が直に社会で生かすことができるのは、この上ない幸せではないでしょうか。また彼らは、クルマ好きという方もいらっしゃいますが全体的に共通して言えるのが、“モノづくりがしたい”という野望を持って入部される方が多く、理にかなっていますね。
Sophia Racingのチーム構成は大きく2つあり、車両の設計や製作を担当する「製作チーム」とチームの運営に携わる「企画チーム」に分かれます。さらに、製作チームは車両の骨組みや足回りを担当する「シャシー班」、車両のエンジン周りを設計する「パワートレイン班」、車両のデザインや外観を担当する「エアロダイナミクス班」に分かれます。それらのチームを取りまとめるのがプロジェクトリーダーです。今回は、プロジェクトリーダーを務める相島健太さん(3年生)と、企画チーム渡邊 健さん(4年生)に、お話を伺って参りました。
すべては、全日本学生フォーミュラ大会の為に
全日本学生フォーミュラ大会は年に一度開催され、今年は9月2日(火)~6日(土) エコパ(小笠山総合運動公園・静岡県)に90校の学生さん達が集まりました。
※開催概要は全日本学生フォーミュラ公式サイトをご参照ください
シーズンの流れは大会が終わった9月に、次期車両のコンセプトを決定し、2月までに設計開発を進め、5月までに車両製作。5月からはシェイクダウン、そしてテストを重ね問題点を洗い出し、セッティングを細かく煮詰めます。テストは、支援してくださっているスポンサーのテストコース、カート場、富士スピードウェイの合同テストへ参加し、計200㎞は走行します。
大会の審査の内容は、車検・静的審査・動的審査とありますが、Sophia Racingは走って速いクルマを作るということに主眼を置いて取り組んでいます。なので、1000点満点中300点を占めるエンデュランス(耐久走行)がメインイベント。総合的な点数を獲得すれば勝つことができるけれども「自分たちは世界のレベルに追いつける速いクルマで勝ちたい!」、「遅いクルマで勝つのは意味がない!」と考えているそうです。また、ドライバーは同大学の自動車部の学生が務めることもあり、あくまでもSophia Racingは作る側に徹しています。
イメージ的には男性のみと思いきや、女性も活躍しております。理工学部渡辺菜子さん(3年生)は、エアロダイナミクス班のリーダー。いわゆるリケジョ(理系女子)。入部の動機は、設計から製作まで全部自分でできるところが魅力とのこと。小学校の時は、ロボットキットを組み立てるのが好きであったという所がリケジョっぽいかな?
企画チームは、全国から50校以上もの大学関係者が集まる技術交流会を開催し、交流を図っています。時には、プロの方に講演会をやっていただくこともあるそうです。イベントの開催の他に、全国大会での静的競技の攻略 等が企画チームの役割となります。
とにかく勝ちたい!
リーダーの相島さんは現在3年生、部員が少なかった2年の時からプロジェクトリーダーをやっており、4年生になっても続けたいそうです。その理由は今年の成績が、90台中45位で不本意だったことと、ご自身がリーダーになってから勝利から遠のいていることがあるそうです。チャンスがあと1年あると考えたら、もちろんリベンジしたいですよね。
今年の全日本大会では動的競技のオートクロスの途中で、排気管が割れるトラブルがありました。1人目のドライバーは記録ナシ、2人目のドライバーでも同じトラブルが発生し、タイムは残したものの下位に沈んでしまうという結果。エンデュランス(耐久走行)は、ギリギリ足切りにあわず滑り込んだ所へ、悪天候が災いし出走できず…。その為に足きりを食らうという苦い経験をしたそうで、今後に向けてチームを立て直したいと思っているそうです。
企画チームの渡邊さんはクルマ好きということから、サーキットで偶然にも筆者と出会いました。その時は、彼が大学1年生の時。それまで知らなかったSophia Racingと筆者も出会い、きちんとした組織と初の学生フォーミュラとの出会いに、色々と驚いたことを記憶しております。彼は、ここまで国内外のサーキットでも様々な経験をし、現在4年生に。
最後に、相島さんから。「12月にオーストラリアで開催される世界大会に参戦しようと考えております。世界大会で4位になったことはありますが、それでも1位との差は2秒ありました。世界最速は、ドイツの大学で今のクルマでは7秒もの差があります。日本にいるだけでは、この違いがわからないので、直に勝負して世界との差を肌で感じてみたいと考えております。将来は、Sophia Racingに世界一になってほしいです。卒業してしまい、自分がその場に居ないかもしれないけれども、速いクルマを作るという土台作りをしたいと思っております」
具がいっぱいのSophia Racing!伝統は、脈々を受け継がれ、将来クルマ業界を担う人材がごろごろしていました。世界大会、頑張ってくださいね!
(テキスト:レポーター(お)ねえさん・大谷幸子)
随時、クルマに関する様々なイベント・テーマでレポートしていきます!
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