チームワークで勝利を狙う!【大学自動車部 -広島大学編-】
全国の大学や専門学校などの自動車部におじゃまして、日頃の活動風景やご自慢部員をレポート。今回うかがったのは全日本選手権でも上位に食い込む古豪、広島大学。部員27名中、6名がロードスターを駆るなど「カープ女子」にも負けない“広島愛”を感じる部員の皆さんにお話を聞いてきました!
★広島大学自動車部 プロフィール
●部員数:男子 22名 / 女子 5名 ※部員数は2014年12月現在
●部車:ホンダ・シビックEG6 ※ジムカーナ用
ホンダ・シビックEG6 ※ダートトラック用
●活動内容:毎週火曜日に部車の整備、打ち合わせ 等を実施。毎週土曜日は、主に走行練習や、エンジンの載せ替えといった大掛かりな整備を集中してやることが多い。事前に学校側に申請すれば部室での泊まり込みも可能とあり、大会前には夜を徹しての作業が日常茶飯事。
●活動実績:平成26年度全日本ダートトライアル選手権 準優勝(団体)
平成26年度全日本フィギュア女子 5位(個人) など
GAZOOのインタビューが主将と副主将の最後の大仕事!?
広島市に隣接する、東広島市にある広島大学。教育・研究施設や体育館のあるエリアと、道路を一本隔てた部活動などの課外活動を行うエリアに大きく分かれています。部活動も盛んな広島大学はとにかくキャンパスが広大!なんでもキャンパス内には、馬術部が競技で使う馬を飼っている馬舎もあるそうで、大学の広大な敷地面積がわかるエピソードの1つです。
課外活動エリア内、相撲部や弓道部と隣接する場所に自動車部の部室はあります。1958年創部という長い歴史があり、1982年に大学が広島市から移転しはじめるより前から熱心に活動を続けていました。広島市にあった当時から練習場も備え、部が所有していたトラックやクルマを使い、まだまだクルマが広く普及していなかった時代に免許を取りたいと考える一般の人に向け運転を教えていたこともあるそうです。
歴史ある自動車部で活動をしているのは1~3年生までの学部生。3年生は12月に引退を迎えます。そして取材に伺ったのは12月のとある土曜日。実はこの日の夕方に2年生から新主将が選ばれる、つまり3年生にとっては実質、引退の日だったのです!数時間後に引退を控えるという貴重な時間を割いて取材に応じて下さったのが、主将・ダート担当/大三直人さん、副主将・フィギュア担当/長田匡平さん、ジムカーナ担当/伊藤大志さん、体育会幹事/枝村拓磨さんの皆さんです。
「今の部員数は27名で、新入生歓迎会では『ぽんこつ』という名の部の活動内容を書いた冊子を配布して勧誘に力を入れています」と大三さん。
そのかいあってか部員数も近年は一定数を保ち、部は非常ににぎやかだそうです。「冊子を作るために、部のみんなで地元の企業さんに説明に行き協賛してもらっているんです」と枝村さん。
そして新歓の一環に行われるのが自動車学校を休みの日に貸し切っての「初心者運転講習会」です。「日頃からお世話になっている、部のOBがいる自動車学校さんでやっています。教習コースを貸し切って、新入生が参加して部員のクルマを運転してもらうんです」と部の皆さん。
クルマを運転したい、免許を取りたいという新入生が集まり当日は10人弱くらいが参加。自動車部の部員が助手席に乗り、教習所で教えられる運転技術をレクチャーします。あくまでも、クルマを楽しんでもらうことが前提なので、厳しくはせずに自動車部の方々がゆるい教官(笑)になり教えているそうです。
スピード競技に入る前に、路上練習(路練)で腕を磨く
2014年5月には山口、鳥取、島根、岡山などから自動車部が参加した全中四国学生ジムカーナ選手権大会で優勝。さらに地元開催となった8月の全日本学生ダートトライアル選手権大会は見事に準優勝を決めました。「全日本ダートは2013年春から勝つことを目標としてきた大会。優勝を逃して悔しいけれど、準優勝はまずまずの成績だったと思います」と大三さんは振り返ります。こうして2014年はジムカーナ、ダート、フィギュアの3つの合計ポイントの結果、広島大学は全日本ランキング6位。ギリギリで入賞を果たしたのです!
また、8月末に鈴鹿サーキットで行われた全日本学生ジムカーナ選手権大会では7位。惜しくも入賞を逃しましたが、悪天候にたたられたハードコンディションのもと、部員のみんなが毎晩、夜中まで整備漬けの日々を送ったそうです。
こうしたレースへの参加の他に、自分たちが開催することで運営の大変さを知ろうと行っているのが「フェニックスジムカーナ」です。自動車部が主催者となって「スポーツランドTAMADA」のカート用コースを貸し切って、他の大学や社会人も参加可能なジムカーナ大会を実施。参加者を募ろうと事前に県内各サーキットにチラシを貼らせてもらったり、前回の参加者に開催案内を送るなど告知活動もしています。2014年こそ台風の影響を受けましたが、それでも毎年50~60台がエントリーするほどの大規模レースだったそうです。
こうした競技大会に向けて、入部した部員が本格的に練習を始めるのは、2年生になる直前、1年生の春休みくらいから。「競技に出るのはタイムの良いドライバー優先で学年は関係ないのですが、経験や練習量から主に3年生がメインで走ることになります。学生は入部したら、競技車に乗る前(1年生の秋~冬)にかけて路上運転練習をするのが慣例です」と枝村さん。
路上運転練習、部員が言うところの「路練」とはどういったものでしょうか?
「スピード競技をする前に基礎を身に付ける練習です。部車を1年生が運転、2・3年生が助手席に座り主に東広島市内の一般道を500kmほど走ります」と大三さん。たとえばレース中に旗が掲示された時に対応するため、標識を見て判断能力をより養うように一般道を走ったり、舵角を一定で曲がったり、ダブルクラッチなども練習します。1年生は助手席に乗り指導してくれる2・3年生と携帯で連絡を取り合い、路練の予定を組んでいきます。「1年生が免許を取得し始める9月頃から2月頃にかけてが、路練で500km走るための期間になります」と枝村さん。「上級生の授業などの時間割を書いた紙があるので、1年生はそれで上級生の予定を把握してスケジュールを抑えていくんです」と長田さん。「練習量は多い部だと思います。2014年もひたすら量をこなしました」という部員の皆さんの声に納得です。
「入部はせんじゃろう」と思っていた女子も入部!
2014年、体育会自動車部では1年生に女子部員が5名も入部しました。数年前から部には女子部員がいなかったそうで、これには上級生も正直、びっくり。「新歓の時期に見学には来てくれているけど、入部はせんじゃろう…と思っていました(笑)」と枝村さんも話すほどです。
取材時にお話をうかがった女子部員は2名。同じく女子の友人と一緒に入部したという三浦さん。そして「モノを作ることが好きで、そんな部活動を探していたんです」という藤原さんは別の友人を誘って入部したそうです。取材時はまだ1年生ということもあり、普段は先輩の整備を見ながら、簡単な部分のお手伝いをしているそうです。「実家の近所にクルマ好きな人が多くて、私の母親もクルマのディーラーで働いていて身近な存在でした」と藤原さんはクルマについて話します。
そんな女性部員が早くも頭角を表している! と3年生は期待を込めています。1年生は中四国と全日本のフィギュアにすでに参戦。中四国大会は広島大学しか出てないものの、記録としては優勝なのです!さらに、三浦さんはこちらも参加人数が少なかったものの、それでも全日本フィギュア5位という好成績をマークしたのです。これには他の大学自動車部の女子部員から「あの子たちは1年生だけど速い。2年後くらいはヤバイ」という声も聞かれたほどだとか。主将の大三さんも「5人の女子部員がみんな一生懸命に大会をサポートしてくれて心強かったですね」とドライバーとしてのスキル以外にも、大会面でのサポートでも大いに助けられたと振り返ります。
ちょうどこの記事がアップされる頃には、新主将らが部を引っ張っているでしょう。前主将となる大三さんは「みんなで海や雪山に行ったりして遊びもしてきましたが、でも、それ以上に練習、試合ではガムシャラにやりました。そんなメリハリのある自動車部であってほしいですね」と後輩に期待を寄せています。
[ガズー編集部]
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