【大学自動車部】目指すは“勝利”の2文字のみ! -東海大学編-
全国の大学や専門学校などの自動車部におじゃまして、日ごろの活動風景やご自慢の部員を紹介するこのコーナー。
今回は東海大学の湘南校舎体育会自動車部を訪問。
「今年は勝つ!」と豪語する彼らの取り組みに迫ります。
★東海大学湘南校舎体育会自動車部 プロフィール
●部員数 :男子16名 ※部員数は2015年3月時点
部員紹介ページ
●部 車 :ホンダ・シビック、ホンダ・インテグラ
●活動内容:毎週月曜から金曜日の17~20時、湘南キャンパス内の部室およびガレージにてミーティングと各種作業を、不定期で土曜、日曜日はコースを借りてジムカーナおよびダートトライアルの走行練習を行う。フィギュアの大会が近い時期は日曜日、校内で練習を行う。
●活動実績:2014年度 全関東学生ダートトライアル選手権大会 女子の部 個人 優勝
2014年度 全関東学生ダートトライアル選手権大会 男子の部 個人 2位
2013年度 全関東学生ダートトライアル選手権大会 2位
目標は優勝!……ただしフィギュアは除く?
東海大学の歴史は、その源流となる学園が1942年(昭和17年)に創設され、翌1943年(昭和18年)、当時の静岡県清水市に同校の航空科学専門学校が開設されたことに始まります。
現在はメインキャンパスとなっている平塚市の湘南キャンパスのみならず、北海道の札幌から九州の阿蘇まで、10のキャンパスに23学部99学科を擁する総合大学に発展。2014年5月時点での学生数は、東海大学だけで2万9025人。短大などの関連校を含めると2万9816人の学生が、日々勉強や研究、そしてスポーツや各種文化活動に打ち込んでいます。
そんな東海大学に自動車部ができたのは1958年(昭和33年)のこと。現在、湘南キャンパスで活動しており、部員数は全16名、2015年度の目標はズバリ各大会での「優勝!」とのこと。フィギュアはやや苦手ということで、全日本学生自動車連盟の総合杯獲得だけは早くもあきらめているそうですが(笑)、スピード競技であるジムカーナとダートトライアルについては「全日本の、団体も個人も両方取りにいきますよ!」と、指導(主将代理のような役職とのこと)の澤口拓人さんはきっぱり断言します。
……大丈夫なんでしょうか? といいますのも、東海大学自動車部は昨年および一昨年、個人の部では突出した結果を残した選手もいましたが、団体としては上位校の中に食い込めないでいたのが現実です。それなのに「少なくとも3位入賞を目指します」ではなく「優勝します!」と豪語してしまって、勝算はあるのかな?
「……もちろん絶対の勝算があるわけではありませんし、正直、学校からいただく予算も少ないため、試合車の製作や練習回数確保などの面ではかなり苦労しています。でもなんと言いますか、学年を問わず現役部員の総意として“今年こそはやってやろう!”というムードが盛り上がっているんですね。なので……とにかく今年は言い訳を一切せず、てっぺんを目指そうと決意しています」
“てっぺん”を取るため、試合車のエンジンはそれまでの1.6リッターから1.8リッターに載せ替え、エンジン以外の部分もよりブラッシュアップ。そして昨年よりも走行練習の回数を増やすなどして「日本一!(ただしフィギュアを除く)」を目指しているのが、2015年度の新生東海大自動車部なのです。
「何か起こしてくれるかも!?」と思わせる前向きな姿勢
勝負事の結果というのはフタを開けてみないことにはわかりませんので何とも言えませんが、取材班としては「2015年度の東海大は、もしかしたら本当に旋風を巻き起こすかも!?」と肌で感じました。そう感じた理由は、つい先日まで最下級生だった新2年から、最上級生となった新4年までの全員に共通する「メリハリのある明るさ」です。
もちろん体育会の部活ですからピシッと締めるべきところは締められていますが、現在の東海大自動車部には過剰な上下意識みたいなものは一切見られません。その代わりにあるのがメリハリなのです。
新2年生はさすがにまだちょっと固いですが、新3年生は新4年生に堂々とツッコミを入れますし、「それは違う」と思えば反論もします。そして新4年生はそれを笑顔で受け入れる度量を持っており、同時に、「勝つ!」ということに対し妥協のない厳しい姿勢を、言葉ではなく行動全体で下級生に示しているように見受けられました。この風通しのよさと、それと同時にある規律は、何か大きなことを成し遂げるうえでの原動力になりそうな気がします。
しかし、当然ですがそういった“雰囲気”だけで何かが変わるわけではありません。2015年度、スピード競技2種目での全国優勝を狙うために具体的に必要なものは「技術移転」だと、市川哲平さん(新4年)は語ります。
「正直、僕個人としては十分、2015年度の全日本ダートトライアルで優勝できる可能性はあると思っています」
1年生のときの全日本ダートトライアルで個人23位、そして昨年は個人9位へと大きくジャンプアップした市川さんは、自分の走りに確かな手応えを感じているのでしょう、非常に力強い目で静かにそう語ります。
「でもうちの部はこれまで、他の選手への“技術移転”が十分ではなかったのかなと思います。誰か一人がたまたま速いだけではなく、その技術を『ココをこうすれば必ずこうなる』というような形で伝えていかないと、部全体としては速くなりませんよね。2015年度はそこを徹底したいですし、逆に言うとそこさえできれば、澤口が掲げている目標は決して夢物語ではないと思っています。つまり東海大のジムカーナとダートラにおける団体優勝は十分可能である、と」
下級生の成長をうながす、上級生の心遣い
もちろん「速いドライバーがいればそれだけで勝てる」というわけではありません。“勝てるクルマ”を作れないことには戦う土俵にすら上がれないのが大学自動車部の大会というもの。そのあたりについて、新4年の山本 拓さんが語ります。
「先日の新人戦で試合車の一台が壊れてしまい、今は下級生たちがそれを直している最中なのですが、あれをソッコーで直せるぐらいの技術力がついていることが、今年度勝つための絶対条件でしょうね。今は彼らが壊れたクルマをどう直すか、いつまでに直せるかを見守っている状態です」
下級生たちといつも冗談を言い合ってばかりいる「明るくて楽しい優しいセンパイ」的なイメージが強い新4年生たちですが、どうやらその明るさや優しさの半分は「素」なんでしょうが、残りの半分は「意識してやっていること」なのかもしれません。実際、ムードメーカー的雰囲気をもつ新4年生の飯田 輝さんは以下のように語ってくれました。
「……人間というのは何らかの理由で萎縮してしまっては伸びないし、本来持っているはずの力も出せないと思うんですよ。なので僕らの代は、あえてこういう感じのざっくばらんなスタイルで下級生たちに接していこうと決めたんです。おかげさまで本当にいい雰囲気の部になってきたと思いますので、2015年度はイケると本気で思ってますよ」
1年生の平佐遼太郎さんも、そんな新4年生たちの深謀遠慮を知ってか知らずか、のびのびと、しかし真剣に打ち込んでいるようです。
「最初見学したときは正直『つまんないな……』と思ったんですが、そのうち自動車部の“深さ”みたいなものが面白くなってきました。自分が整備したクルマをほかの人が乗るわけですから絶対にミスはできないし、緊張感もあります。でも、それが無事に走りきったときにはかなりの達成感があります。……うん、ホント面白いです!」
東海大学湘南校舎体育会自動車部は、当然ですが長い歴史を持つ自動車部です。でも、なんとなく今があらためての創部期といいますか、伸び盛り、上り調子の“若い”部であるように感じられました。今年の活躍に、ぜひ注目したいと思います。
(文=谷津正行/写真=荒川正幸)
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