【大学自動車部】代々乗り継いできたオリジナルカラーのスターレット -名城大学-

全国の大学や専門学校などの自動車部におじゃまして、日頃の活動風景や自慢の部員をレポート。今回は、スターレットを部車として活用し続ける名城大学を訪問。

名城大学体育会自動車部プロフィール

●部員数
15名 ※部員数は2015年11月現在
部員紹介ページ
●部車
トヨタ・スターレットEP82、マツダ・ファミリアE-BHA3P ほか
●活動内容
毎週土曜午前10時にガレージに集合。大会が近い時は部車の整備を行い、それ以外は愛車整備が中心。活動日以外は個々がサーキットで走行練習。毎年2月頃には名物の名城走という独自の走行会も主催している。
●活動実績
平成26年度 全中部学生ジムカーナ新人戦 男子団体の部2位
平成27年度 全中部学生ジムカーナ選手権大会 男子団体の部4位、同個人の部2位

レースでは常に表彰台を狙うことが使命

2014年にノーベル物理学賞を受賞された赤﨑勇氏が理工学研究科の終身教授を務める愛知県 名古屋市にある名城大学。

本部機能をはじめ、全部で6つの学部と多彩な研究科を有する愛知県名古屋市にある天白キャンパス。そびえ立つ“タワー75”は同キャンパスのシンボルだ

本部および多くの学部が設置されているのは天白キャンパス。そこから車で約30分走った日進総合グラウンドに体育会自動車部の活動拠点があります。立てかけたリアウイングパーツに「自動車部」とペイントされたお手製看板が目立っていたので、広い敷地の中でもすぐにガレージを発見。取材班の姿を見て、主将の小林研三郎さんが部員を集めてくれました。

余ったリアウイングパーツを結束バンドでフェンスに固定して看板を作成。ここから放たれる独特の“味”がおわかりいただけるだろうか

さっそくインタビューを進めると、ちょうど取材日の前週に全中部ジムカーナの新人戦を終えたばかりとのこと。結果は個人4位でした。「大会直後の活動日とあって、いつも以上に和やかムードですね」と小林さん。実は、かつてはガチガチの体育会系だったらしいのですが、いつしか“仲良く、楽しく”がモットーとなり、小林さんが入学した時はすでにそのようでした。

部を代表してインタビューに対応してくれた主将の小林研三郎さん。「運転はもちろん、眺めているだけでもうっとりする」という筋金入りのクルマ好き

とはいえ、各レースでは常に表彰台を狙うという野心に燃えています。今年5月の全中部学生ジムカーナ選手権大会の団体の部では惜しくも表彰台にあと一歩という結果でしたが、小林さんは個人の部で堂々2位。前年秋に開催された同ジムカーナ新人戦も2位と目標を達成しています。

「やっぱり大会で成績を残すということは、活動を活気づけるための大きな弾みになると思うので、後輩たちにも大会の重要性はしっかり伝えていきたいですね」

10数台のクルマが楽に収納できるほど広いガレージ。整備もしやすそうだ

とにかく目立つ紅白カラーのスターレット

ガレージを見渡してみると、ひときわ目立つ紅白カラーのスターレットが!どうやらこれが部車のようです。聞くところによると、名城大ではスターレットを乗り継いできて、いつしかそれが伝統になってしまったとか。部車とは別に、部品取り用のスターレットが1台、さらに1/1スケールのオブジェと化してしまったスターレットが1台あります。

どこかおめでたさを感じる紅白カラーのスターレット。「ただでさえ大会ではスターレットが希少なのに、余計目立ちます」と小林さん

「歴代の先輩方がスターレットを選択した理由はわかりません。仮に僕らが別メーカーのクルマを購入すると、部品をオークションなどでイチから調達する手間が発生します。その点、同じクルマを迎えれば部品取りが容易にできるので、整備が何かと楽なんです」

大会では、トヨタ車の勇姿は珍しいそうで「全日本では紅一点的に僕らのスターレットが注目を浴びていました。撮影されることもあって、ちょっと気分がいいですね」と小林さんはうれしそう。

ダッシュボードは、切り出した板状のアルミを取り付けて無骨なイメージに。各種スイッチの名称は手書きというラフさもおもしろい

紅白カラーの塗装は、部員皆で手がけたのですが、塗る前は渋いゼロ戦カラーで、平成24年頃まで部車として活躍していました。その後に白黒スターレット(部内での通称はモンスター)を他大学から譲り受け、いったんゼロ戦カラーが予備車両に。そしてモンスターが平成26年秋にエンジン不調とオイル漏れを起こし、再びゼロ戦カラーがメイン車両に。その際塗り替えて2015年度仕様の紅白スターレットに再生したというわけです。

どこかで見たことあるようなロゴのパロディ。こちらは、紅白スターレットの前に活躍していた部車

「ホームセンターでありったけの缶スプレーを買って、『よし、やっちゃえー!』と。とにかく勢いで塗ってしまいました」と苦笑いの小林さん。ライトなノリで塗装した割には部員の中でも好評で、部車への愛着度は皆高い様子です。

「とても目立ちますからね。だからこそ、成績も伴わないと、ちょっと恥ずかしいです(笑)」

ガレージが広い分、タイヤもたくさん保管しておける。「本当は新品のタイヤを揃えたいんですが、予算が…」。どの部も抱える悩みは同じだ

1年生にもレースドライバーになれるチャンスがある

紅白スターレットは、ブーストアップを施しましたが、確かな効果が実感できておらず、まだまだ性能向上の整備を追求したい考え。今はステアリングの重さが気になるようなので、より軽くして操作性を上げ、コーナーやスラロームでタイムが縮められるようになればと考えています。

部車には目立った故障がないとはいえ、オイル交換やファンベルトチェックなど、いわゆる日常点検はマメに済ませている

「車両の性能を上げるのもレースに勝利するためには欠かせませんが、やはり実践練習を積んでドライビングテクニックを磨かないと。僕たちは普段の活動日以外に個々がサーキットに出て、走行練習に励むことが多いです。金銭的な負担を考慮すると、毎週というわけにはいきませんが、月1〜2回のペースでサーキットに繰り出しています」

バンパー修理作業のひとコマ。ずっとカメラを向けていたが見事な集中力でスムーズに作業を終えた

「勉強と同じで、やればやった分だけ身になる」と力説する小林さん。腕を上げれば1年生でもドライバーになれるチャンスがあります。秋の新人戦はその名の通り、1年生を中心とした若手がステアリングを握る大会なので、努力すれば入部後約半年で新人戦のドライバーに抜擢されるのです。やはりレースで走ることが大きな醍醐味の自動車部。小林さんは「多くの部員とサーキットを走る楽しさを共有したいですよね」と目を細めながら語りました。

マイカーの整備であっても、互いが自然に手伝い合う。思わず話し込んで手が止まってしまうこともしばしばだ

ちなみに、小林さんの愛車はマークⅡツアラーV。せっかくの機会ということでトヨタ車の印象をうかがいました。

「とにかくタフ。スターレットについては、レース車両ということでどうしてもラフな乗り方になってしまいますが、ガタが来てるなと感じることがほとんどありません。これまでの調整と言っても、確かランプ切れくらいだったと思います。世界を代表するものづくりの技術はこうまですごいものかと感心するばかりです。マークⅡはデザインと乗り心地のよさが気に入っています」。

最後にトヨタ車への愛を語ってくれた小林さん。インタビュー後はさっそく愛車のそばへと駆け寄っていきました。

結束力が強いのも名城大学のストロングポイント。「今日は寿司に行くか!」とさっそく取材後の予定で盛り上がっていた

[ガズー編集部]