【大学自動車部】伸び伸びとした部の雰囲気に個性豊かな部員が多く集う -明治大学(2017)-

全国の大学や専門学校などの自動車部におじゃまして、日頃の活動風景や自慢の部員をレポート。今回は、明治大学体育会自動車部を訪問。

明治大学体育会自動車部プロフィール

●部員数
17名(1年生2名、2年生9名、3年生6名)
※部員数は2016年12月現在
部員紹介ページ

●活動内容
火曜・木曜は16:30~20:00、土曜は10:00~17:00を活動日とし、部が所有する競技車両の整備などを行う。競技は全日本学生自動車連盟主催のジムカーナ、ダートトライアル、自動車運転競技(フィギュア)をメインに参戦。活動拠点は東京都杉並区、和泉キャンパス近くにあるガレージと合宿所。

●活動実績
平成28年
全日本学生自動車運転競技選手権大会 小型乗用B 3位入賞/小型貨物A 3位入賞/団体 4位入賞
全関東学生自動車運転競技大会(多摩コース)小型貨物東 優勝
平成27年
全関東学生ダートトライアル選手権大会(丸和オートランド那須) 男子団体 優勝/個人 準優勝
全日本学生ダートトライアル選手権大会(丸和オートランド那須) 個人 準優勝 など

明治大学の理念

明治大学は明治14年(1881年)創立。「権利自由、独立自治」という創立時からの理念に基づき、個人の能力を自由に、豊かに育成。昭和7年(1932年)に創部した自動車部の活動内容にも、その精神はしっかり引き継がれている。

明治大学体育会自動車部に在籍している部員は17名(2016年12月時点)。まずは普段の活動内容や部の雰囲気について部の主将、吉田 潤さん(3年生)と競技統括、車両管理担当の喜多洋行さん(3年生)に伺いました。

「活動日は、自動車部のガレージで部が所有する車両の整備などを行っています。部員はもちろん全員クルマに興味があって入部していますが、クルマ好きというだけではなく、自分で整備してみたい、運転技術を磨きたいという目標がある人ばかりです。整備は先輩が後輩に実技で教えていくのですが、本当に仲が良いというか、最低限のマナーはありますが仲間としての意識が高いので堅苦しい雰囲気はほとんどありませんね。それが明大自動車部の良さのひとつだと思います」

次期4年生になる吉田 潤さん(写真右)は部の主将、喜多洋行さん(写真左)は競技統括、車両管理担当として活躍する。2017年部の要になる二人だ

明大自動車部が活動拠点としているのは、和泉キャンパス近くにあるガレージ。おもな取り組みについて主将の吉田さんに伺いました。

「1年生は自分で学んだり先輩から教わったりして、基本的な整備から覚えていきます。2年生になると大体の作業ができるようになるので、クルマいじりはさらに楽しくなってきますね!ちなみにガレージ近くの和泉キャンパスは文系なので、部員の割合は自然と文系が多い傾向にあります」

文系の部員には、父親の影響でクルマに興味を持ち入部したという唯一の女性、周 之楹さん(2年生)も所属。そんな彼女が入部して良かったと感じたことは、整備はもちろん運転できる機会が増えたことだといいます。

自動車部といえば走りも楽しみのひとつ!入部後の予定はどうなっているのだろう?

「年に一度開催される、関東学生対抗 軽自動車6時間耐久レースに全部員で参加するんですが、新入部員はこれが初レースになります。ただ、参加するだけではなく自分たちで整備して、走って、壊したら直すという、あくまでも勝ち負けだけではないクルマの楽しさを知ってもらういい機会になります」

新入部員が初めて参加するのは軽自動車6時間耐久レース。車両は他校にも人気!?だったという、スバル・ヴィヴィオ道路公団カラー

自動車部への入部には運転免許が必要?

自動車部と聞くと運転免許の有無が気がかりだが、免許がなくてもまったく問題ない。実際吉田さんは入部当初運転免許を取得していなかったものの、出場に必要なライセンスを取得していきなりレースに参加(驚)。しかも当日は大荒れの天候だったが、走り出したらとても面白くいい経験になったようです。 ※競技はクローズドコースで行われるので運転免許の有無は関係ない

明治大学和泉キャンパス近くにある自動車部所有車両の駐車スペース。競技車両や練習用車両、部品取り車などが置かれていた
ガレージ内にはリフトやタイヤチェンジャー、溶接機などほとんどの作業を可能とする設備が設置されている。自分のクルマをガレージで整備できる環境は部員ならではのメリットで、この日もガレージに部員の個人車両が入庫されていた
競技車両は部員が製作。オールペンや外装カスタマイズ、チューニングなど、すべて部員が手掛けている

和やかな環境で日々整備技術を磨く傍、運転技術向上も目指し共通の目標をもって活動。それが全国の大学自動車部が参戦する競技への参加です。
参加している競技については、競技統括、車両管理を担当している喜多さんに伺いました。

「おもに全日本学生自動車連盟が開催しているジムカーナ、ダートトライアル、そして自動車運転競技の3カテゴリーをメインに参戦しています。その大会に向けて、部ではジムカーナ、ダートトライアル専用の競技車両を所有しています」

ジムカーナは、オンロードに並べられたパイロンを決められたコース通りにいかに早いタイムで完走するかを競う競技
ダートトライアルは、コントロールが難しいオフロードコースでのタイムを競う競技

明大自動車部の競技車両

ジムカーナ用競技車両は、ホンダ・インテグラ タイプR(DC2)。製作に関して特にこだわっているのは足まわりで、社外サスキットに変更し車高や減衰力、スプリングレートなどを何度も見直し安定感の高い走りを追求。サイドターンも常に同条件で同じ挙動になるよう、引きしろ調整や最適なブレーキパッドなどを変更しているという。

ダートトライアル用競技車両は、ホンダ・シビック(EG4)。ベースの軽量ボディにホンダ・インテグラタイプRのエンジン(B18C)やM/Tをスワップ、吸排気系や足まわりなども社外パーツに変更することで力強い走りを実現。

また、もうひとつメインで参戦している自動車運転競技、通称フィギュアと呼ばれる競技は、決められた枠内に車庫入れしたりスラロームをクリアするなど、クルマの基本操作の正確性とタイムを競う競技。車両は当日用意されたクルマを使用するため、部では専用の車両を用意していない。

駐車スペースには、競技車両以外にも1年生が整備を学んだりジムカーナやダートの練習走行用として乗っているトヨタ・ヴィッツ(写真右)や、今は部品取り車だが過去にダートトライアルで優勝を飾ったホンダ・インテグラ(写真左)なども駐車されていた

「以前練習走行用にしていたトヨタ・スターレット(EP82)がエンジンブローしてしまったので、夏にトヨタ・ヴィッツを導入しました。タコメーターを装着してタイヤ交換したくらいなので、今後まだまだいじりがいがあるクルマですね!」

練習会は、部員の予定を合わせつつジムカーナは千葉県にある浅間台スポーツランド、ダートは栃木県の丸和オートランド那須などに月に平均2~3回、シーズン中はより回数を増やし練習に励んでいるよう。大会前は選手選出のための選考会も同時に行っているようです。

部の所有車はすべてナンバー登録していないため、競技に参加する際は会場までトラックに積載して移動している
部の合宿所には過去の輝かしい戦績が数多く並べられていた

部員一丸となって大会に臨み続け、2016年もトロフィーを獲得してきた明大自動車部。最後に部の主将、吉田さんに自動車部のやりがいや苦労について伺いました。

「一番やりがいを感じたのは、2年生の時に出場したダートトライアルの大会ですね。大会1週間前の予備選で競技車が横転してしまったので、別車両を土砂降りの中テントを張って作業して……出発予定が大幅に遅れながらも出発し、寝る間もなく移動してその日は爆睡。翌日は無事大会に参戦できたんですが、結果は見事優勝!とてもやりがいを感じた瞬間でした」

チームワーク、そして実力で掴み取った勝利。そのひとつも、明大自動車部の軌跡として後輩に継がれていくはず!

そんな明大自動車部が次にトライする全日本学生自動車連盟主催の大会は、2017年3月から。オフシーズンの間にしっかり練習走行を重ね、人もクルマも大会に備えるという。来シーズンも固い団結力で、大きな成果を残してくれるに違いない。

(ライター:おふぃす たぴ)

[ガズー編集部]