【大学自動車部】38人のチーム力で好調をキープ–法政大学
全国の大学や専門学校などの自動車部におじゃまして、日頃の活動風景や自慢の部員をレポート。今回は法政大学を訪問。
法政大学自動車部プロフィール
部員数
38名(1年生12人、2年生11人、3年生10人、4年生5人)
※部員数は2017年5月現在
部員紹介ページ
部車
ホンダ・インテグラタイプR(男子ジムカーナ用)
ホンダ・シビック(女子ジムカーナ用)
ホンダ・シビック(男女兼用ダート用)
ホンダ・シビック(練習用)
スバル・ヴィヴィオ(軽自動車耐久レース用)
活動内容
活動日は水、木、金の週3日で、17時から21時までが活動時間となっています。活動場所は市ヶ谷キャンパスで、多摩キャンパスや小金井キャンパスに通学する部員も市ヶ谷キャンパスに通っています。
活動実績
平成28年度 全関東学生ダートトライアル選手権大会 11位(男子)/2位(女子)
平成28年度 全日本学生ダートトライアル選手権大会 15位(男子)/3位(女子)
平成28年度 全日本学生ジムカーナ選手権大会 10位(男子)/3位(女子)
平成28年度 全日本学生自動車運転競技選手権大会 6位(男子)/8位(女子)
平成29年度 全関東学生自動車競技選手権大会 5位(男子)/1位(女子)
平成29年度 全関東学生ジムカーナ選手権大会 3位(男子)/1位(女子)
※上記は団体戦のみ
1880年に設立された東京法学社を前身とする法政大学。当初は法学部と経済学部のみでしたが、文学部、工学部、社会学部と学部は増え続け、現在は15学部を要する総合大学へと変貌を遂げています。キャンパスは東京都千代田区にある市ヶ谷キャンパスの他、東京都町田市にある多摩キャンパス、東京都小金井市にある小金井キャンパスの3か所。市ヶ谷キャンパスは市ヶ谷エリアに点在する複数の校舎の総称で、自動車部の活動拠点は富士見坂校舎にあります。
市ヶ谷キャンパスにそびえるボアソナードタワー(地上27F、地下4F)。キャンパスのシンボルです
先輩たちの努力が実を結び、大会成績が上向きに
お話を伺ったのは主将の池田匠(いけだたくみ)さんと運行責任者の荒川昂平(あらかわこうへい)さん。どちらも4年生です。まずは自動車部の活動内容について伺ってみました。
「活動日は毎週水、木、金曜日で、活動場所は市ヶ谷キャンパスです。部車の整備と修理、レース前はその準備が主な活動内容です」と池田さん。
取材当日は全関東のジムカーナが終わって間もないということもあり、駐車場でホンダ・シビック(女子ジムカーナ用)の整備が行われていました
自動車部が参加する大会は主に全日本学生自動車連盟(全日本)と全日本学生自動車連盟・関東支部(全関東)が主催するフィギュア、ジムカーナ、ダートトライアルの3競技。一時期は部員と予算が減り、成績が停滞していた時期もありましたが、ここ3~4年は一気に向上しています。その理由は停滞していた時期の上級生たちが、下級生のために練習をおさえ活動費を貯めていたから。当時の先輩たちの努力が実を結びつつあるのです。
今年の5月14日に行われた全関東のジムカーナ大会では3位(男子団体)と1位(女子団体)という成績
全関東のジムカーナでの部車(ホンダ・インテグラタイプR)の走り。ボディカラーには法政大学のスクールカラーであるオレンジと紺(法政ブルー)があしらわれています
2016年の全日本ダートトライアルでの部車(ホンダ・シビック)の走り。1.8リッターのB18Cエンジンに換装されています。ジムカーナ同様、躍進が期待されています
自動車部の特色を伺いました
「主将のワンマンではなく、みんなで部をまわしているところが特徴です」と池田さん。部員数は38人と非常に多いため、全員が役職を持ち、それぞれの仕事をこなすことで部活動が成立しています。また、部員のキャラクターもさまざまで、自動車部の雰囲気はあまり「クルマ、クルマ」していないとか。個人車の傾向もバラバラで、スポーツカーからコンパクトカーまで多岐に亘ります。女子部員の人数が多いこと(5名)も影響しているようです。
ただ、大会前の選手決めは実力主義を徹底していて、上級生だからといって選手になれるわけではありません(下級生も然り)。ジムカーナ場などで1人2回ずつ計測し、速い順に3人選ばれるのがルール。4年生の選手は荒川さんだけで、あとの2人の選手は3年生です
主将の池田さん(右)と運行責任者の荒川さん(左)。「大会で結果がついてきたのは選手の活躍だけではなく、部員全員の働きがあったから。後輩たちもやめずについてきてくれています」(池田さん)
制約の多い都心のキャンパス
市ヶ谷といえば都心のど真ん中。そこに自動車部の活動拠点があることに意外性を感じますが、ビックリするのが専用のガレージや部室を持たないこと。作業できるスペースは富士見坂校舎前の駐車場で、あとはタイヤや工具などを保管する倉庫と部車を保管する地下駐車場があるだけ。他のキャンパスに自動車部関連の施設があるわけではなく、他大学の自動車部と比べ、不利な環境であることは間違いありません。しかし、めげないのが自動車部。必要なパーツや工具はマンパワーを活かして倉庫から持ち出し、駐車場でミッション交換を行うたくましさ。決して広いとはいえない倉庫も、スペースを有効利用し、大量の収納を可能にしているのです。
富士見坂校舎の駐車場。3台分が自動車部のスペースで、作業スペースとして使うことができます。左に見えるのは倉庫がわりにしている日産・キャラバン
倉庫内部の様子。タイヤが屋根に届きそうなぐらい高く積み上げられています
倉庫の棚には優勝や上位入賞トロフィーが誇らしげに並んでいます
他大学からも一目置かれる女子部員の活躍
先述の通り自動車部には5人の女性部員が在籍しています。筆者が知る限り、この人数は最多。しかも、去年から今年の大会にかけて、破竹の快進撃を続けているのです。昨年はジムカーナとダートトライアルで常にトップ3に入る健闘を見せ、今年に入ってからは全関東学生自動車競技選手権大会(フィギュア)と全関東ジムカーナで優勝。しかも、どちらの大会も久保田凛さん(3年)が個人戦で優勝するという文句なしの成績を収めているのです。
全関東ジムカーナでの表彰式の様子。右が久保田さん
写真は女子ジムカーナ用のホンダ・シビック(EK4型)。全関東ジムカーナでは久保田さんの優勝に加え、稲垣優美(前列右)さんも3位に入っています
「今年の3月に卒業した2つ上の先輩がいるのですが、その先輩の走りに憧れ、追いかけてきました。私の代に女子3人が入部したのですが、入部した動機はみんなバラバラ。私が入部したのは親がクルマ好きだったからです。今年は全関東ジムカーナで個人も団体も優勝でき、ちょっと自信がつきました」と久保田さん。
先輩に憧れた久保田さんをはじめとする部員が成績を残し、久保田さんたちに憧れる新入生が入部してくる。自動車部には女子の活躍という面においても良い流れができており、他の大学からもマークされる存在になっています。
安全な部活動のため……。運行責任者という重責
主将の池田さんと共にインタビューに応じていただいた荒川さん。4年生唯一の選手であり、運行責任者という役職についているのは先述の通りですが、運行責任者とはどんな仕事なのでしょうか?
「大会や練習の際の往復の安全管理を行う役職です。部員の数が多いので、個人車で移動する時は5~6台で移動することもあり、事故のリスクも増えます。万が一事故を起こしたら即廃部なので、レンタカー屋さんにあるようなチェックシートを配布。移動中もどこを通ったか記録させ、きちんと管理しています」と荒川さん。
選手と運行責任者という性格の異なる役職を兼任する荒川さん。しかし、どちらも大学の看板を背負っていることに変わりはなく、どちらかをおろそかにすれば部活の存在する危うくなってしまいます。自動車部の躍進はこうした地道な活動に支えられているのです。
大学が所有する4トントラックを運転できるのは荒川さんのみ(中型免許が必要のため)
自動車部の好調を支えるのは38人全員のチーム力。部活動中に手持ちぶさたにしている部員は1人もいないのです。設備のハンデを吹き飛ばし、強豪校とガチで戦う法政大学自動車部に注目です!
(フリーライター:ゴリ奥野)
[ガズー編集部]
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