[S耐向上委員会Vol.17]塚田利郎選手「レースの認知を上げるため『汗と青春のレース』が見たい」

  • 75号車 Team Noah 塚田利郎選手

    75号車 Team Noah 塚田利郎選手

スーパー耐久をもっと盛り上げるために、いろいろな方がお持ちの想いやアイデアをお届けするGAZOO.comのコンテンツ「S耐向上委員会」。
第17弾はST-TCRクラス、75号車 Team Noahの塚田利郎選手です。

熊本の有名なお菓子屋さん「風雅」の代表取締役社長を務める塚田選手。もともとクルマが好きで、23歳のころからサーキット走行を楽しんでいたといいます。

公認レースへの参戦は30代になってからで、まずはオートポリスのツーリングカーレースにN1車両のシビックで参戦し、2年目にチャンピオンを獲得、FJ1600への参戦経験もあるそうです。

そしてスーパー耐久参戦へのきっかけとなったのは、風雅のお菓子を扱っているデパートの担当バイヤーがデパマン石渡選手※で、その縁で富士スピードウェイの耐久レースに3年ほど参戦、その時に知り合った人の繋がりでスーパー耐久に参戦する運びとなったそうです。

※デパマン石渡選手は、デパートに勤めていることから付けたエントリー名で、ヴィッツレースのシリーズチャンピオンを獲得、スーパー耐久にも参戦経験がある実力派のサラリーマンドライバーです。

2013年のオートポリスでのスポット参戦に始まり、2018年からは清瀧雄二代表が立ち上げたTeam NoahからTCRクラスに参戦しています。
そんなジェントルマンドライバーである塚田選手に、スーパー耐久への想いやレースがより盛り上がるためのアイデアを伺いました。

スーパー耐久は、最高峰のレースと交流の場であることが魅力

ジェントルマンドライバーの最高峰といえばスーパー耐久ですよね。特に24時間レースというシンボリックなレースもあって、自分としてはレースキャリアで最高のレースだと思っています。

スーパー耐久に参戦を始めてちょうど10シーズン目を迎えましたが、いろんな仲間やライバルなど人との縁ができて、単純にレースを楽しむだけじゃなくて交流の場としての楽しみもあるレースですね。

仲間と一緒に真剣味もありながらみんなでわいわいもできる、その両方をあわせ持ったレースなのでやりがいもあって楽しんでいます。

2018年から参戦しているTCR車両にはすごく思い入れがあるんです。参戦初年度にいきなり富士24時間で勝利を挙げることができて、それはスーパー耐久でのアウディRS3 LMSの初優勝でもありました。
最近台数が減ってきたのは寂しいですが……。

TCR車両の気に入っているところはFFのちゃんとしたレーシングカーだということなんです。動きも機敏だし、パドルシフトでギアをチェンジした時のメカニカルな感じとかドグミッションのキーンとした感じとか、レーシングカーに乗ってる!っていうことをすごく実感できる楽しいクルマなんです。世界選手権にもつながるクルマですしね。

高校の部活でレースの青春ストーリーを見てみたい

  • 75号車 Team Noah HONDA CIVIC TCR(スーパー耐久ST-TCRクラス)

    75号車 Team Noah HONDA CIVIC TCR(スーパー耐久ST-TCRクラス)

社会的なレースの認知を上げていくことは、スーパー耐久に限らずモータースポーツ全体の問題だと思います。
かつては星野一義さんとか長谷見昌弘さんとか関谷正徳さんとか、また他の競技でもスターと言われる人たちがいて大きな収入があって、それに子供たちが憧れてスポーツにのめり込んで行くわけじゃないですか。

そうした大きな収入を得られるようにするには、たくさんのメディアに取り上げられることが必要で、ダイジェストでもいいので地上波のテレビで放送してもらえたらなと思います。そうすると番組へのスポンサーも必要ですし、当然スポンサーへのメリットが必要なので、そこでレースがどういう価値を作っていけるのかという課題をみんなで考えたいですよね。
もちろん、自動車メーカーがスポンサーをしてくれたらうれしいですしね。

僕としては、今回オートポリスさんにチームノアの応援チケットを用意していただいたので、それをいろいろなところで買っていただいて、知り合いを集めて、少しでもスーパー耐久を広げるための草の根運動をやったりしています。

あとは、野球だったり、サッカーだったりの競技人口が多いスポーツに倣うと、レーシングカートを高校の部活としてやってもらえないかなと思います。
統一したフォーマットで、甲子園みたいな汗と青春のレースができてくれたら、世の中のモータースポーツに対しての認識も変わるかもしれないですね。

そういった競える場というのができると、それを目標にして、中学生、小学生と自然に年齢層も下がっていきますし、子供たちがやるとそれを取り巻く大人たちが夢中になりそうですしね。そうするとマーケットも広がる可能性もあるかなと思います。
今は、eスポーツがそれに近いのかもしれないです。

あとは、スーパー耐久を題材とした青春漫画とかあるといいですよね。青春モノだと弱虫ペダルとかクルマ関係だと頭文字Dとか漫画から人気が出ることもあると思います。

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いかがでしたでしょうか。甲子園のような高校日本一を決めるレースがあったら、すごく面白いですよね! もちろんケガなどの危険性もあるので、ジムカーナのようなタイム競技でもいいかもしれません。
2003年から続く学生フォーミュラなども含め、学生時代からモータースポーツが身近な環境を作ることは、レースの社会的な認知を上げ、ひいてはクルマに興味のある人を増やすための有効な手段かもしれないですね。

(文:GAZOO編集部 山崎 写真:折原弘之、GAZOO編集部)

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