[S耐向上委員会Vol.26] 冨林勇佑選手「ドライバー個人戦のスプリントレースもやってみたい」
スーパー耐久をもっと盛り上げるために、いろいろな方がお持ちの想いやアイデアをお届けするGAZOO.comのコンテンツ「S耐向上委員会」。
第26弾はST-3クラスに参戦する39号車 TRACYSPORTS with DELTAの冨林勇佑選手です。
自動車メーカーに勤務するお父さまが趣味程度というもののレースに社員ドライバーとして参加、お母さまもそのマネージャーだったりともともとサーキットに馴染みのあるご家庭で育った冨林選手。物心ついた時からクルマ好き、レース好きだったといいます。
5歳の時にグランツーリスモ3を誕生日に買ってもらい、お父さまと対戦して遊んでいたことが、後の2016年グランツーリスモ世界大会優勝につながりました。
その後カートやサーキット走行を経て、2018年にはスポット参戦したロードスターのパーティレースで初レース初優勝、2019年にはパーティレースの東日本のNDシリーズでチャンピオンも獲得しています。
同年スーパー耐久にもスポット参戦を果たすところから、スーパー耐久シリーズST-3クラスのチャンピオンやSUPER GT GT300クラスに参戦するなど、今急成長中のドライバーです。
ゲームの中で鍛え上げた感覚がリアルのサーキットでの通用することを体現する冨林選手に、スーパー耐久をもっと盛り上げるアイデアについて伺いました。
抜くことも抜かれることもいい勉強になるレース
スーパー耐久はチーム戦だと思います。特に僕が所属しているトレーシースポーツは3台のマシンを走らせていて、ドライバーも含め携わっていただいている方が多い現場の中で、チーム全員が力を合わせて戦っているレースというイメージですね。
観ている方からしたら、多種多様なクルマが走っていて、デミオが好きな人からスーパーカーが好きな人まで、いろいろな人が楽しめるレースなんじゃないかなと思います。
そして、僕にとってはすごく勉強になるレースです。
ST-3クラスは速いクルマと遅い車のちょうど中間くらいの速さですが、SUPER GTで言えば、ST-5クラスを抜く時はGT500クラスのイメージだったり、ST-Xクラスと一緒に走っている時はGT300クラスの目線にもなれるクラスだと思います。
またサーキット上でいろいろなドライバーの方の意図を感じとることもできたりして、抜かすことも抜かされることもすごく勉強になりますし、実際に他のレースでも役に立っていると思います。
ドライバー個人にフィーチャーしたスプリントレースもやってみたい
先ほども言いましたが、ドライバーもたくさんいてチーム全員で戦っているのがス―パー耐久のいいところなんですが、僕としてはドライバーとしての個人がフィーチャーされる機会があるといいなと思っています。
例えば、1シーズンに1回くらいはAドライバーだけ、Bドライバーだけ、Cドライバーだけみたいなスプリントのレースがあったら楽しいんじゃないかと思います。これがスーパー耐久らしいかと言えばそうではないかもしれませんけど。
レース中も実況などでは紹介していただいていると思いますが、実際に今どのドライバーが乗っているのかとか、どのドライバーがどれくらいの速いのかなど、分かりにくいんじゃないかなと思います。
また耐久レースですので、僕らのST-3クラスはずっと全開で走っていますが、クラスによっては最後まで走り切るためにクルマを温存しながら走らないといけないので、スプリントのガチンコレースだと、いつもと違う結果になるかもしれないですよね。
僕たちドライバーとしてはフルプッシュできたら楽しいので、そういったお祭り要素のあるレースも1年に1回くらいあってもいいんじゃないかと思います。
以前あった富士スプリントカップ(※)は観ていて楽しかったですし、F1で行われている予選レースみたいなものでもいいかもしれないですね。
スーパー耐久の性能調整は素晴らしいので、そういったレースも可能なんじゃないかと思います。
あとは、僕も子供の頃からピットウォークとかに参加していましたが、大人の人が多くてドライバーの近くに行きたくても行けないということもありましたし、その分キッズウォークが大好きでした。
ですので、キッズウォークとかそういったお子さん向けの企画もやってもらえると、僕も子供が好きなので、たくさん触れ合うことができて楽しいなと思います。
※富士スプリントカップは2010年~2013年に開催。フォーミュラ・ニッポンとSUPER GTが一堂に会し、出身地で東西に分かれて争うなど年に1度のお祭り的な雰囲気のレース。特にSUPER GTはスタンディングスタートでGT500クラスとGT300クラスが別々にレースを行ったりと、クラス別のガチンコレースが楽しめました。
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いかがだったでしょうか。
もちろんレーシングドライバーはそんなに簡単になれるものではなく、どんなスポーツよりも気力、体力、集中力を長い時間、ハイレベルで発揮し続けなければいけない過酷なスポーツであり、高い知力も求められます。
ただ、冨林選手は2019年から本格的にレースを始め、実質3年でSUPER GTのシートをつかむまで急成長を遂げました。子供の頃からカートやジュニアフォーミュラで技術を磨きステップアップするという流れではない、ドライバーにも多様化の波が押し寄せていくきっかけになるのかもしれません。
(文:GAZOO編集部 山崎 写真:折原弘之、GAZOO編集部)
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