【大学自動車部】クルマと真摯に向き合う-高崎経済大学-

全国の大学や専門学校などの自動車部におじゃまして、日頃の活動風景や自慢の部員をレポート。今回は、高崎経済大学体育会自動車部を訪問。

高崎経済大学体育会自動車部プロフィール

●部員数
14名 ※部員数は2016年7月現在
部員紹介ページ

●部車
スズキ・アルト

●活動内容
毎週月曜日と金曜日、授業終了後の17時40分から全員がガレージに集合し部会を行っている。5月から12月のあいだは一ヶ月に2回、宝台樹スキー場の駐車場でジムカーナ練習に取り組んでいる。

●活動実績
平成27年度 第54回関東甲信越学生自動車競技会 総合第3位
平成27年度 ヒーローチャレンジ2015第2戦 NA2クラス 準優勝
平成27年度 ヒーローチャレンジ2015第3戦 NA2クラス 準優勝
平成27年度 ヒーローチャレンジ2016第2戦 NANクラス 準優勝

自然と部員が集まる部室

戦後の学制改革時の1949年、群馬県下にあった高等教育機関は群馬大学として統合されました。経済学部の新設と誘致を図ったものの、戦後の経済事情等から叶わなかった高崎市が、独自に創設したのが高崎市立短期大学です。これを淵源として、現在も全国から数多くの学生が集う高崎経済大学。この体育会に所属する自動車部を取材させてもらいました。

正門から回り込んだ敷地の反対側、少し奥まったところに自動車部のガレージはありました。
ガレージの中は車両1台が楽に収まる整備スペースの他、所狭しと工具類や予備の部品、タイヤ等が置かれています。ガレージ前の広場では、部員が思い思いに各個人のクルマを整備したり洗車したりと、自由に活動している様子でした。

整備スペースにはジャッキアップなしで下回りを点検・整備する事が可能な地下ピットも設けられており、オイル交換や点検などを実施しやすい環境となっている

早速、主将の須藤涼太さんに普段の活動についてお話を伺ってみました。
「月曜日と金曜日の授業後は部会を行っていて、現役部員全員が集まって話し合いの場を持っていますが、それ以外の時間は自由に部室を使えます。大学の敷地内にガレージがあるので、毎日誰かしらは部室に居ますね。特にレースなどのイベントの後は、部車の点検・増し締めなどを1年生に教えたりしています。」

整備をする須藤さん(写真手前)。部室では難しい重整備は、お世話になっている近隣のショップで場所を貸してもらって教えてもらいながら自分達で整備しているという

個人車の整備などで気軽にガレージを利用できるという点は、クルマを持つ学生にとって非常に魅力的ではないでしょうか。とは言え、ただ好き勝手に活動しているという訳では決してなく、週2回の部会への出席が義務とされているそうです。幹部から部員に向けての事務連絡のほか、大会に出場する代表者を決めるなど部内の意思疎通を図る重要な場になっています。

部会の様子。この日は次のイベントに向けての日程や方針について話し合いがなされていたが、部員全員が真剣な面持ちで参加していた

レースを中心に幅広く活動中!

高崎経済大学体育会自動車部には、全員で共有している部車が1台あります。それが、耐久レース仕様のスズキ・アルトです。
栃木県のヒーローしのいサーキットで開催されている「ヒーローチャレンジ」という軽自動車による耐久レースへの参戦をメインに、ジムカーナ練習では個人車を持っていない部員の練習車両としても活用されています。

レースにジムカーナに大活躍のアルト。ロールバーやバケットシート等の安全装備のほか、足回りや吸排気系などがレギュレーションの範囲内で改造が施されている

そんなアルトで2016年7月に参戦したレースでは、優勝まであと約1秒届かず惜しくも2位でチェッカーを受けたとの事。 「部として3年前から参戦を初めて、今年は勝ちを狙えるところまで来ていると感じていました。去年、先輩方がこのレースで初めて表彰台に立つ事が出来たので、それを上回る為にも今年こそ優勝が欲しい!そう思っていただけに、悔しい結果でした。」
そう語る須藤さんは、そのレースでアンカードライバーを務めていたそうです。耐久レースなので最後まで無理せず完走を目指した甲斐があっての好成績ではありますが、僅差で優勝を逃した事に悔しさを滲ませていました。

そして主将の須藤さんと共に部を引っ張っているのが、幹事長を務める清水大輔さんです。
「僕は2年生になってから入部したのですが、もともと1年生の頃からクルマは好きで持っていて、あちこち走り回っていました。今でも、すり減らしたタイヤの本数は誰にも負けないくらい練習しています。もっともっと上手くなりたいですし、部を盛り上げたいと思っています。」

愛車のアルテッツアでドリフトを中心に腕を磨いている清水さん。活動中、声を張り上げて周囲を鼓舞する姿が印象的だった

月2回のジムカーナ練習を中心に各自がウデを磨き、前述のレースやジムカーナの大会に出場して日頃の成果を発揮している彼らですが、サーキットでの走行会主催を計画するなど精力的に活動の幅を広げています。
そうした一連の流れは、もっと部活を楽しくしたい、という想いが根底に有るように感じました。

部活を通してクルマをより楽しむ

部車のアルトでジムカーナの練習会に参加できる上に、1年生でもやる気がある人はレースにも出場する事も可能との事ですが、それでもやはり自分のクルマを持つ部員が大半を占めています。
その背景として、先輩から失敗談や経験談を教えてもらえる上に、自分のクルマを自分で整備できるなどクルマを所有しやすい環境が整っている事が大きな要因と思われます。

ジムカーナ走行をする須藤さんのロードスター。先輩から譲り受けたクルマとの事で、大切に扱いつつ練習を重ねている

個人車を持つメリットとしては、やはり練習の密度が格段に濃くなる事が挙げられます。スキー場の駐車場での練習は、身内だけで丸一日走りこむとの事なので実力を付けるには最適です。ジムカーナはクラッシュのリスクが低く、思い切って走る事が出来るため個人車での走行もしやすいようです。
上達した先に何を目指すか、どんなクルマに乗るかは各個人の自由なので、ドレスアップやドリフトなど部員たちは思い思いのスタイルでカーライフを楽しんでいます。

スキー場でのジムカーナ練習会の一コマ。タイム計測の結果に一喜一憂しながら、互いに切磋琢磨して腕を磨いている

基本的には和気あいあいと楽しく活動している彼らですが、引き締めるべき部分はしっかりとしています。
「自動車を扱う部活ですから、危険が付いて回ります。せっかく部活としてやっているので、やるからには真剣に取り組むべきだと思っています。」と主将の須藤さんは話してくれました。
自由に楽しく活動しながらも真面目な姿勢で努力する彼らは、見かけたら思わず応援したくなるチームだと言えるでしょう。

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road