【連載全18話】第6話 マセラティ・ボーラ & フォルクスワーゲン・ボーラ…なぜか車名がかぶってる!“同名異車”のクルマ特集
世界でこれまで販売されてきたクルマを見ると、同じ名前のモデルがちらほら……。今回の特集では、そんな「メーカー・ブランドは違えど名前が同じクルマ」をピックアップ。週替わりで紹介します。
マセラティ・ボーラ & フォルクスワーゲン・ボーラ
ボーラ(bora)とは「地中海東部に北方から吹き降ろす冷風」のことで、先に冠したのはマセラティ。同社はボーラより先にミストラル(フランス南東部に吹く寒冷風)やギブリ(サハラ砂漠からアフリカ北部に吹く熱風)など“風にちなんだ車名”を使っており、ボーラもその一環となる。
1971年にデビューしたボーラは、マセラティで初めてミッドシップレイアウトを採用したスーパースポーツ。ジウジアーロの手になるボディーに最高出力310PSを発生する4.7リッターV8 DOHCエンジンを縦置きでミッドマウントし、最高速280km/h、0-100km/h加速6.5秒のパフォーマンスを誇った。1973年には北米向けに4.9リッターエンジンが加わり、やがて欧州向けにも用意された。1978年までつくられ、生産台数は564台を数える。
フォルクスワーゲンもシロッコ(北アフリカの砂漠地帯から地中海地方に吹く熱風)やパサート(貿易風)、ジェッタ(ジェット気流)など風に由来するネーミングを採用しており、ボーラもそのひとつ。1998年に登場した、4代目ゴルフ(ゴルフ4)のプラットフォームを流用した4ドアセダンで、2001年にヴァリアント(5ドアワゴン)が追加された。
ゴルフ1/ゴルフ2をベースとしたノッチバックセダンであるジェッタ、ゴルフ3のノッチバック版であるヴェント(これも「ポルトガルからイタリアに吹く風」という意味)の流れを引き継ぐモデルだが、ヴェントまでとは異なり、ボーラのボディーパネルは大半が専用品。内装もゴルフより上質に仕立てられていた。2005年にフルモデルチェンジしたが、後継モデルは先祖返りしてジェッタを名乗った。初代ジェッタ以来、ゴルフベースのセダンがずっとその名を冠していた北米市場の名称に統一したためで、結果的にボーラは一代限りとなった。
[ガズー編集部]
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