『クルマは最高のトモダチ』まさかの展開!? メディア対抗レースで味わったクルマの醍醐味…山田弘樹連載コラム
先日、GAZOO動画の「愛車自慢」コーナーに出演しました(笑)。
モータージャーナリストが評論・評価ではなく、ただひたすらに我が子の可愛さを語るというシンプルなコーナー。
第一弾は大乗フェラーリ教の教祖さまである清水草一さんが登場、フェラーリ328と348について、うっとりとその魅力を語っておられます。
そしてワタクシは、赤パンをリクエストされました。フェラーリとはかなりの格差なんですけど……大丈夫?(笑)。
ともあれ撮影は無事に?終了しましたので、ぜひ「動く赤パン」を見てあげてください。ワタシのへっぽこっぷりはとっても恥ずかしいのですが、勘弁してね!
さて先日、「メディア対抗ロードスター4時間耐久レース」(今年は2.5時間に短縮)に出場しました。これは年に一回自動車メディアが、筑波サーキットに集まって行う大運動会です。普段は偉そうなことを言ってるジャーナリストや編集者が、化けの皮を剥がされるという、実に恐ろしいイベントです(笑)。
正直今年はコロナ禍の影響から、中止もやむなしと思っていました。
しかしマツダは開催を決断。事前及び当日の体温チェックを行い、Zoomによるブリーフィングなど様々な対策を講じながら、無事にイベントを運営しました。
また、Youtubeでのライブ配信を行うなど新しい試みもあって、ひとつ進化した“4耐”ができたのではないかと思っています。
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- 写真は左から作戦参謀の三宅 徹君、丸山 浩さん、神谷編集長。右側はモータージャーナリストの岡崎五朗さん、わたくし山田弘樹、ピットレポートとチームサポートをしてくれたWith Meの“小鳥ちゃん”こと小鳥遊レイラ(たかなし・れいら)ちゃん。
こうした関係からメディアの数もかなり絞られた4耐でしたが、ボクは幸運にも「ahead」(アヘッド)チームから出走することができました。
ちなみにチームメイトは神谷朋公編集長、モータージャーナリストの岡崎五朗さん、2輪ジャーナリストの丸山 浩さん。陽気なバイク乗り(とっても巨漢)と、4輪・2輪界の大先輩という、実に面白い組み合わせでした。
さてさて、ひさびさのレースは……緊張しました!
初めてのチームで、コロナ禍からミーティングもできないままレースを迎え、現場で作戦を考え、予選まで任されてしまったので、ほんとイッパイいっぱいだったんです。キャパ小さッ!
予選はポールを狙うシショー(大井貴之さん)に、自分を含めた3台がついて行く状況。そこでポジション取りを失敗したボクは、前車に完全に追いついてしまいタイムロス。途中まで3番手でしたが、結局は6番手に沈みました。
ちなみに今年から装着タイヤのPOTENZA Adrenalinが「003」から「004」へと代替わりしたそうで。例年ならば「おいしい所は一発だけ」と言われていたので、失敗したあとボクは早々に予選を辞めてしまったのですが、最後まで走り続けた大先輩たちは終盤にタイムを出しており、さすがだなぁ……と思いました。
でも、一番素晴らしかったのはポールシッターの梅田 剛選手。正に一発で1分11秒050の圧倒的なタイムを叩き出し、パーティーレース日本一の腕前を見せつけました。
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- 今年は2.5時間に短縮されたメディア対抗ロードスター耐久レース。スタートは必ず編集長もしくはそれに準ずる責任者が走るルールになっていて、これもこのレースの見所のひとつ。aheadチームは“トラ”こと、神谷編集長が走りました。第一スティントは、各媒体のプライドが静かにぶつかり合います(笑)。
肝心な決勝レースはというと、これがかなりの盛り上がりを見せました。
ボクたちのハイライトは第2スティントで、セーフティカーが導入されたタイミングを見逃さなかったゴローさんが、まだろくに走ってもいなかったのにピットインを提案。セーフティカーが解除される前にドライバー交代を終えることができ、大幅にタイムを稼ぐことができたんです。
そして第3スティントを担当したボクは、トップに浮上。そのままアンカーの丸山選手にバトンを渡すことができたのですが……。
ラスト2周でドラマは起こりました。
ガソリン残量を考えてペースを落としていた♯45 ahead号を、怒濤の追い上げで♯27 TIPO/DAYTONAロードスターが抜き去りトップに浮上。さらに後ろからは、♯813 J-waveポテンザロードスターが猛追。
「振り切れないの!?」
と尋ねると作戦参謀は
「絶対にガソリンがギリギリ」
と譲らない。
もうピットは、初めての表彰台にどうしていいかわからなくなったチーム全員が、大混乱の大フィーバーでした(笑)。
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- ソフトなサスペンション、決してハイグリップじゃないタイヤ。それでもきっちりモータースポーツしてくれるロードスターって、ほんと素晴らしい。白地にレッドストライプのahead号、かっこいいでしょ!?
そして迎えたファイナルラップ。このまま逃げ切れば2位表彰台、みんなでマシンを出迎えようとした正にそのとき。
三宅参謀の「止まった!?」という無情の叫びが、ピットに響き渡りました。
まるで冷や水をかけられたかのような、一瞬の静寂ーーーーー。
最終ラップの1コーナーで、ガソリンが尽きてしまったのです。
こうしてボクとaheadの夏は、終わりました(笑)。
予選担当が決まったときの、得も言われぬ緊張感。
走り出すまでみぞおちの辺りが、ずっと“きゅーっ”となってる感じ。
走り出してからの、地に足が付かなくなるようなリアリティ。
それは小学生のときの「明日は運動会」という感じにかなり似ています。
それはまるで、徒競走に出るときのような気持ちです。
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- ほんとに最後の最後で止まってしまったahead号。三宅作戦参謀も「あと350ccあればゴールできたはず……」と悔しさを滲ませていました。来年リベンジ!
でも違うのは、どんな結果であっても、仲間がいるとメッチャ楽しいこと。
悔しかったけどねッ!!
こんなことが大人になっても体験できるモータースポーツって、すごくないですか?
スーパーGTやS耐だけがレースじゃない。
ロードスターって、やっぱり偉大なクルマですよね。
(テキスト:山田弘樹 写真協力:ahead 撮影:長谷川 徹)

自動車雑誌の編集に携わり、2007年よりフリーランスに転身。LOTUS CUPや、スーパー耐久にもスポット参戦するなど、走れるモータージャーナリスト。自称「プロのクルマ好き」として、普段の原稿で書けない本音を綴るコラム。
[ガズー編集部]
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