『クルマは最高のトモダチ』見つけました! リーズナブルで抜群に走りが楽しいクルマ…山田弘樹連載コラム
みなさんごきげんよう!
ここ数日は、小さくて楽しいクルマたちに触れることが多い月でした。GAZOO動画でもコメントしていますが、まずGRヤリスのFFグレードである「RS」に試乗。このクルマを初めて一般公道で走らせたのですが、これがとっても楽しかった。全開率の高いサーキットじゃなくて普通の道を走らせると、GRシャシーの良さが濃厚に満喫できました。詳しくは、GAZOO動画をチェックしてくださいね!
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GAZOO動画で初めて公道試乗したGRヤリス、そのあとレンタカーでも乗りました。一般の方々もGRヤリスには興味津々みたいで、かなり人気とのこと。幅広ボディを得たその走りはガッシリ頼もしくて、編集担当の方も「いいクルマに乗ってる感じがしますね!」と感想を述べていました。そうだよね、クルマは速さだけじゃなくて、安心感も大切だよね。
そして先日生産終了がアナウンスされた、ロータス・エリーゼ!
をGENROQ誌でレポートしました。エリーゼについても時期を見て、いつか濃ゆいお話ができたらと思うのですが、本当にこのスポーツカーは文化遺産級の名車だと思います。そしてホンダ S660も「2022年をもって生産終了」とアナウンスされ、エリーゼと共に駆け込み需要で、アッという間に完売しちゃいましたね。
人間って勝手なもので、「もう手に入らない!」と言われると、無性にそれが欲しくなるもの。はぁ……自分も買っておけば良かったなぁ!! なんてため息をついている人、多いんじゃないでしょうか?
とはいえスーパーチャージャー仕様のみとなったエリーゼは、一番低価格なモデルの「SPORT 220Ⅱ」でも新車価格が682万円!!(税込み)
ホンダS660だってスターティングプライスは203万1700円から。普通に考えたら、気軽には買えませんよね。そういう意味では今回のアナウンスが、本当に欲しかった人たちの背中を押すきっかけになっていればいいな、とボクは思います。
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1995年に発表されて、実に26年間もの間アルミ製バスタブシャシーを使い続けてきたロータス・エリーゼ。これにトヨタ製1.8リッターエンジンとスーパーチャージャーを搭載した「SPORT 220Ⅱ」を2日間タップリ試乗しました。その軽さ、操縦性の奥深さ、そして速さ。エリーゼについてもいつか、このコラムでお話したいですね。
そう考えると魅力的なスポーツカーって、やっぱり高いですよねぇ。
ボクの赤パンなんて、ハチロク相場が高騰する前に手に入れたから20万円でしたよ! ……どんがらボディだけですが(汗。
中古車市場でそういう、かつての“あすなろグルマ”に相当するクルマ選びを考えると、トヨタ86(それでも100万円くらいから)と、ロードスター(NBなら総額50万円くらいから!)が筆頭でしょうか。
そして新車で考えると、ほんと選択肢ってないよなぁ。
と、常々ボクも思っていたのですが。
これが、あったんですよ!
税込み166万1800円で買える新車で、びっくりするほど楽しい一台が!!
その名は、トヨタ ヤリス“1.5 RALLY”!!
……そんな仕様、あったっけ?
“ラリー”というのはボクが勝手に付けちゃっただけなんですが(笑)、いわゆる1.5 リッター6MTのヤリスに、ラリー用のサスペンションを組み合わせたクルマを、先日試乗したんです。そしてこれが、ビ~ックリするほど、楽しかった。
ベースとなったグレードは「X」で、その価格は154万3000円!!
タイヤは14インチ、速度計とタコメーターがアナログ、シフトノブは樹脂製。とってもシンプルだけれどその車両重量は、なんと990kg!
試乗車はこれにラリー用のロールケージ、アンダーガードセット、ラリーコンピューター、消化器etc.を装備していました。
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TOYOTA GAZOO Racingが、入門用マシンとして提案したヤリス TGRラリー仕様。要するにラリー用タイヤとサスペンション、そして安全装備とラリーコンピューターを組み込んだだけの仕様なのですが、これがほんっ……とうに痛快! 軽くて、コントロールしやすくて、気持ち良くふけるエンジンとMTがあれば、クルマは楽しい! という典型でした。
なんでもこれはTOYOTA GAZOO Racingが「TGRラリーチャレンジ」参戦可能なパッケージングを、ヤリスでミニマムに表現した提案車なのだとか。部品代と工賃込みで、ざっくり小計150万円くらい。総額300万円+ちょっとで楽しいラリー車を作ってみよう! というコンセプトを元に、フツーに売ってるラリー用パーツで制作したマシンだったのでした。
おいおい、300万円に値段上がってるじゃん!
はいはい、わかってます。
ラリーに出るならロールケージとか、そういう装備は必要。
でもボクは、このマシンに付いてるサスキットだけあれば、もうそれで十分!! と思ったんですね。
このcusco製「ヤリス ラリー用サスペンションキット」は、グラベルからターマックまでを想定した入門用の足まわりで、その内容は純正形状のショックアブソーバーとスプリングだけという、おっそろしくシンプルなもの。
車高調整機能もないし、減衰力調整機能もない。バンプラバーもダストブーツも純正を使用する潔さなのですが、走らせるとこれがメッチャいい。
ダートまで守備範囲とするサス・ストロークは本当にタップリで、フルブレーキングをドカーン! とカマしても、ジワーッ! とその荷重を支えます。
もう、「どんとこーい!!」って頼もしさ。
そして、その荷重を使って姿勢を作りながら、コーナーに飛び込んで行けるんです。
ターンインでリア足が“ケンケン”しても、なんのその。3輪が路面を捕らえながら、絶妙なバランスでスーッと曲がれる。失敗してアンダーステアを出しても、動きが穏やかだからリカバリーもしやすい。「次はもっと手前で減速して……」とか「もっとうまくブレーキをリリースして……」なんて夢中で考えながら、走れてしまうんです。
そしてこのとき、6MTでエンジンを目一杯回すと、やばいくらいに気持ちいい!
税込み11万8800円の足まわり付けるだけで、1.5リッターのヤリスが、ラリーカーになっちゃうんですよ。ほんとこのクルマ、ベースがシッカリ出来ているんですね。
試乗車は、コ・ドライバー用も含めフロント2座がバケットシートに。リアシートやカーペットは取り払われて、OKUYAMA製のロールケージがガッチリビルトイン。こうして見るとモノモノしいけれど、ラリーに出ないのならこうした出費も必要なし。そのくらいライトな気持ちで始めて、面白かったらラリー仕様にする、そんな緩いステップでもいいと思う。
今回の試乗はツインリンクもてぎの南コースで行われ、一般道を走ることはできなかったので、その乗り心地が一般的かどうかまでは、確認できませんでした。でもラリーは移動区間で一般道も走りますし、複筒式のショックアブソーバーは初期タッチも穏やかだから、日常使いもできるんじゃないかなぁ?
当日履いていた「ADVAN A036」も、ビギナーがコントロールを学べるように、コストパフォーマンスを考えて選ばれたタイヤとのことで、グリップ的にはSタイヤよりも低めとのことでした。
と、なるとぉ!
この足を付けて、ちょっとスポーティなタイヤを履かせただけで、トヨタ ヤリス“1.5 RALLY”が出来上がっちゃうワケですよ。
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試乗車に履かされていた「ADVAN A036」。ターマックとグラベルの両方を走れるラリータイヤだけあって、非常に懐が深い操縦性を持つタイヤでした。グリップレベル自体はSタイヤほど高くないというから、つまりはcuscoの足まわりにスポーツラジアルを履かせてもOKということ。
こんなクルマがあったら、毎日の仕事が楽しいだろうなぁ! どこまでも走って行っちゃうなぁ!!
なんのヘンテツもない、車高も高くて普通のヤリスが、走らせればめっちゃ気持ち良いのって、とっても今風。なんだか、ワクワクしませんか!?
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こんな風にケンケンしながらターンインしても、乗ってる本人はすごく接地感を感じながら走っています。クルマの動きを感じながら走るという意味では、ラリー仕様の足まわりでサーキットを走るというのも、アリだと思います。いやむしろ、こういうクルマでとことん走ってみたい!!
(テキスト:山田弘樹)

自動車雑誌の編集に携わり、2007年よりフリーランスに転身。LOTUS CUPや、スーパー耐久にもスポット参戦するなど、走れるモータージャーナリスト。自称「プロのクルマ好き」として、普段の原稿で書けない本音を綴るコラム。
[ガズー編集部]
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