『クルマは最高のトモダチ』ちょこっと、モビリタまで行ってみよう!…山田弘樹連載コラム

前回と前々回で新旧トヨタ86/スバルBRZについて書きましたが、コメント欄でも色々な意見がもらえて嬉しかったです。
中には、「いまは30年前とは状況がまったく違う!」なんて厳しい意見もあって、確かにそうだよね、と。

あと今はFRスポーツだけじゃなくて、FFコンパクトもいいクルマが多い。今は我らが“スイスポ”を筆頭に、フィットRSやヤリス(1.5 6MT)といったクルマたちも、運転を楽しんだり学ぶ素材としては、もちろんお勧めです。
わかってますよぉ~!

というわけで今回は、さらにリーズナブルに、とっても運転がうまくなれる方法を紹介しましょう。

それは富士スピードウェイ内の交通安全センター、モビリタで行われている「ちょこっとモビリタ」という走行体験プログラム。
なんだか可愛いネーミングですが、その内容がかなり本格的なのです。

ちょこっとモビリタにはふたつのプログラムがあります。

ひとつはなんと、GRヤリスで挑戦できるタイムトライアル!
特設コースで1周の先導付き確認走行を行い、そのあと自動で3周(練習1周、計測2周)を行うというものです。

トヨタ交通安全センターの広い敷地内で行われる走行データ計測プログラム「ちょこっとモビリタ」。低μ路をFRスポーツであるトヨタ86で走って、そのデータをインストラクターが解析してくれます。

ボクが参加したのはもうひとつの「走行データ計測プログラム」。
これはもともとは安全運転技術向上のために用意されているプログラムなのですが、ドライビング技術向上の面から見てもかな~り勉強になる、楽しくて奥深い講習なんです。

ちなみにこちらはトヨタ86を使います。低ミュー路でこれを走らせて、ロギングデータを元に自分の運転を、トヨタのエンジニアさんが解析してくれるんです。

使用するのは、モビリタの中に常設される「ワインディング低μ路」。レイアウトは定常円旋回と連続するS字、そして複合コーナーとふたつのコーナーから作られる、全長460mのショートコースです。

教習車は先代トヨタ86のAT車(そのうち新型に変わるのかなぁ?)。車内だけでなく、足下にもカメラを付けて、アクセルやブレーキ操作の様子も記録しています。意外と自分の足下の操作って、見たことないでしょ?

教習車であるトヨタ86(先代型)は、なんとAT車。これは誰もが参加できるようにという配慮だと思いますが、スピンしてもエンジンがストールしないという利点もあるでしょう。

「えー、6MTじゃないの!?」なんて思う人もいるでしょうが、退屈なんてしませんよ。
低μ路を安定して走らせるのはかなり難しいので、ボクなんかはむしろ「AT車で良かったかも(汗)」と思いました。

プログラムはまず、先導走行でコースの確認とウォームアップが行われます。
続いてフリー走行では、まずVSC(車両安定装置)オンの状態で計測。その後これをオフにして、合計5周程度を走ります。

  • 管制塔内にある散水制御装置。1周430mのコースはこんな感じになってます。シンプルで簡単そうに見えるけれど、散水をコントロールすることで様々な状況が作り出せて、なかなか手強いコースになっています。

走った印象としては、とにかくスリッパリー! 雪上というよりは、氷上に近い感じなので、「ヤッホー! オレのドリフトテクニック見せてやるぜ!」なんて意気込むと、簡単にスピンします。

コースオフすると路面μがグッと上がるので、クルマは安全にコース内へと押し戻されるのですが、そうなると「あちゃー!」という感じ。気合いを入れて走るというよりは、ものすごく丁寧に走らせる印象です。

さらに最初は複合コーナーの攻略がわからなかったり、途中から路面μが変わったり!? と、やることがたっくさん。
コースはなかなか意地悪な造りになっているのですが、あまり言っちゃうと面白くないので今回はこのくらいにしておきましょう!

とにかく最初は全然うまく走れず、いつの間にか夢中になって走らせている感じでした。
計測5周というのは短く感じるかもしれないですが、1周460mの低μ路を集中して走らせるのは結構タフですよ。アイスバーンの上を2km以上、真剣に走るようなもんですから。

  • 赤いグラフが私で、黒いグラフがインストラクターのデータ。まだまだ車速が全体的に低いし、ブレーキ踏力も初期が甘かったり、荷重をうまく乗せられていなかったり。これを少しずつ修正して、黒いグラフに近づけて行くわけですね。

走行が終わると、ベストタイムのデータをベースに、解析が行われます。トヨタのエキスパート氏が走ったデータと重ね合わせると、自分の走りが素っ裸!

最初はこの差に愕然とするかと思いますが、これこそが財産ですよ。このグラフをお手本に近づけて行くことで、絶対に運転がうまくなれるとボクは思いました。

いやー、ほんといい時代になったモンですよ。昔なんて「あのコーナーはどうやって走るんですか?」なんて先輩とかに聞くと
「ちょんブレして、グワーッと踏む」とか、
「スッと切ってくんだよね」
なんて感覚的なアドバイスばかりでした。

意地悪な先輩だと「全開だよ!」なんて言っておいて、あとから「おぉー、行けたんだ」なんて言われることもありました(汗)。

  • Gセンサー比較は、一番左がインストラクターで、真ん中が1回目。一緒に行ったラリーストの板倉麻美ちゃんに「Gの軌跡がぐちゃぐちゃで東京メトロみたい」って笑われちゃいましたよ。2回目には少し修正できましたが、まだまだ滑らせ過ぎて横Gが抜け、修正蛇が多いですね。修行あるのみッ!

今ではGPSロガーも普及したけれど、車速やアクセル開度、ブレーキ踏力、ステアリングの切り方まで可視化できるロガーは、相変わらず高価です。それが「ちょこっとモビリタ」だと、1回3,300円(税込/別途富士スピードウェイ入場料)で体験できる!

なんだかテレビショッピングみたいですけど、これはお値段以上ですよ。
はっきり言って、お得な回数券かパスポートを作って欲しいくらいです!

ちなみに富士スピードウェイはライセンスがないと入場料に1,000円かかるけど、その価値は十分にあります。この時節柄ではありますが、状況が良くなったら友達と一緒に来れば、かなり楽しめるでしょう。

サーキットにはレンタルカート場もあるし、ライセンスがなくても本コースを体験走行できるプログラムもあるので、うまくスケジューリングできれば一日たっぷり遊べます。

また普段本コースやショートコースで走っているようなドライバーにこそ、このプログラムはお勧めです。腕自慢のドライバーこそ、うまく走れなくて驚くと思いますよ!

そんな「ちょこっとモビリタ」は、モビリタのホームページから予約して受講します。
現在はオリンピックの関係で9月23日まで休館となっていますが、予約受付日が決まり次第告知されるということなので、ときどきチェックしてみてくださいね!

大井師匠もコース設定のアドバイスを行っていて、この日は「クルマで遊ぼう! 大井貴之のSports Driving Labo.」の収録も行いました。その様子は動画(https://www.youtube.com/channel/UChshnsP0z2NQyY4y-3bqXcg/search?query=モビリタ)で見られるので、恥ずかしいけどチェックしてみてください(笑)。

(テキスト:山田弘樹)

自動車雑誌の編集に携わり、2007年よりフリーランスに転身。LOTUS CUPや、スーパー耐久にもスポット参戦するなど、走れるモータージャーナリスト。自称「プロのクルマ好き」として、普段の原稿で書けない本音を綴るコラム。


[ガズー編集部]

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