『クルマは最高のトモダチ』クルマでジャンプ! 泥んこダートレースであれこれ初体験…山田弘樹連載コラム
みなさん突然ですが、クルマでジャンプしたこと、ありますか?
ボクは若い頃、峠で落っこちたことはあるんですが……(汗
この前生まれて初めて、ジャンプを経験してきましたッ!!
レーシング・ユーチューバーである大井師匠に「ダートの耐久レースがあるんだけど、来ない?」と誘っていただき、二つ返事で新潟県妙高市へ。
たどり着いたのはロッテアライリゾートの駐車場に設けられた特設ダートコースで、なんとNASCさん主催の「NASC OFFROAD RACE SERIES 2020 LOTTE ARAIリゾート スーパー耐久3HRレース」に、突如参加することになったのでした。
うーん、なんてフリーダムな感じッ!
そして、その現場で出会ったのが、今回の相棒「YAMAHA YXZ1000R」でした。
写真を載せるのに限りがあるので最初から泥んこ画像ですが(笑)、これがほんと、素敵なバギーだったんですよ。
オープン/市販車の2クラス制で、参加台数は20台。サイド・バイ・サイドは今回たった3台の参加だったけれど、増えたら絶対面白くなるはず。トータルバランスに優れているから、アマチュアにも扱いやすくて速いんです。
YXZ1000Rはヤマハが北米で販売するROV(レクリエーショナル・オフーハイウェイ・ビークル)で、試乗したのはMSYトレーディングさんが輸入したもの。2人乗りのピュアスポーツ仕様なため、「サイド・バイ・サイド」と言われているそうです。
そういえばこの青いヤツ、東京モーターショー(2015年)で展示されていたなぁ!
エンジンは自然吸気の水冷直列3気筒DOHCで、その排気量は998cc。トランスミッションは、5速シーケンシャル!(新型はパドル付きもあり)。 1速の次は、ニュートラル。そして3→4→5速と引きながら上げて行くタイプだから、バイクのコンポーネンツを流用した4輪バギーということですね。
駆動方式はパートタイム4WD。FRと4WDを選べますが、ダートでの速さと安定性優先して、4WDで走りました。
さて3時間の耐久レースは、オープンクラスと市販車クラスの2カテゴリー制となっており、総勢20台ものマシンがエントリー。スタートは全日本ラリー出場経験のあるクルマ大好き女子、板倉麻美ちゃんが務めました。
合図と共に20台のマシンがゲートをくぐり、ダートになだれ込む様子は大迫力。見ているだけでもかなり楽しくて、こういう雰囲気だとわかっていたら、バーベキューの用意とかしたのになぁ!って思いました。
この泥系競技の大らかさというか、緩くてワイルドな感じ、とってもいいですよ。
とはいえ自分も乗りたくて来たわけで、見ているだけのつもりは全くナシ。はやる気持ちをグッと抑えながら、「早く戻ってこないかなぁ…」とホームストレートで待っていたのですが……。
これが30分経っても、40分経っても、戻って来ない。50分たっても、55分……おいおい、これじゃオレたちが走る時間、なくなっちゃうよッ!!
確かにボクも「疲れたら戻って来ればいいよ」とは言いましたけど、30分くらい経ったら「もーだめですぅ~」なんて言いながら、戻って来ると思っていたんですよ。
でもさすがは全日本ラリースト。放っといたらいつまでも走っていそうなので、ぶんぶん手を振って呼び戻しました。
そこから大井師匠が走行し、同じく1時間ほど走ってアンカーをボクが担当。
練習走行を2周ほどしたとはいえ、初めてのダート耐久レースは、これまでのレース体験の中でもとびっきりエキサイティングでありました。
だってクルマもサイコーなら、コースもこれまた超エクストリームなんですよ。
ホームストレートを走り抜け、1コーナーを曲がると現れるのは、ビックリするほど急な下り坂!そしてこの難所をYXZ1000Rは、いともたやすく駆け下ります。
……どうして転がらないのッ!?
超ストロークフルなサスペンションは、足つきも抜群。その動きに慣れてくると、ブレーキングで積極的に向きを変えられるようになり、どんどん運転が楽しくなってきます。
カウンターを切っていないのに、常に後輪が流れている感覚。その流れをアクセルで止めて、踏み抜いて行く快感ッ!
速く走るには、ライン取りも大切です。掘れてない路面を選んだり、ときには轍(わだち)を使ってレールのように走らせたり。ダートを避けて草地をショートカットする裏ストレートではスピードが乗り、4速全開のまま滑りながらすっ飛んで行きます。
もう、脳みそから、アドレナリンがダダ漏れ!
さすがはバイク仕込みのドグミッション、クラッチペダルは付いているけれど、スタート以外使わなくても走れます。アクセルを少し緩めればギアは抜けるので、すかさずそのままシフトアップ。エンジンはなんと、1万1000回転まで回せちゃいます!
シフトダウンは同じくアクセルを緩め、シフトを押すと同時にアクセルを煽ると、回転が合ってギアが“スコッ!”っと入ります。間髪入れずシフト操作をする感じ、スーパーFJやフォーミュラ隼を思い出すなぁ。
ROVバギーとはいえ、立派なレーシングカーですよね。
真っ直ぐ走っていても横滑り。最後はホームストレートでの、ジャーンプ!
別に西部警察のような大ジャンプをしたわけではないですが、初めてクルマで宙を舞った気分は、なんとも言えない独特なものでした。
ジャンプ台に差し掛かる前、思わずアクセルを抜いて待つこと数秒……。
ふわっ……という感覚と共に一瞬世界が静かになった気がして、バネ下でアシがスッ!と伸びてからの、着地。
バウーン! バウン、バウン、ブーン……!
着地のとき首が激しく揺さぶられている様子を見た板倉女史が「赤べこみたい!」と爆笑してましたが正にその通りで、こりゃ飛び方や乗り越え方を考えないと、首もマシンも傷めるな……と思いました。
そしてマシンだけじゃなく、レースの方もこれまたエキサイティングでした。
なかにはアメリカンV8を搭載するバギーなんかも走っていて、その後ろを走ると強烈な泥のシャワー(笑)。バイザーが見えなくなって条件反射でこれを開けると、これまた猛烈に泥まみれ!
さらにこうしたモンスターマシンたちは、小さなサイド・バイ・サイドに抜かれると、恐ろしい排気音をまき散らしながら抜き返しにやってくるのです。
やめてーッ!
でも流石だなぁと思ったのは、ダートのスペシャリストにもなると相手のスペースをきちんと確保してくれることでした。またマシンも樹脂製フェンダーだから、思わず接触してしまうような場面でも、ボヨ~ン!となるだけで壊れない(笑)。
レースの方はと言うと、荒れた路面に下回りを打ったとき、マフラーが外れて緊急ピットイン。応急処置をして戻ったのですが、これと大井さんのスティントのときのパンクが響いて、総合4位となりました。
オフィシャルは気にしてなかったから、そのまま走っちゃえばよかったかな?排気漏れしたYXZ1000R、いい音してたなぁ~。
いやー初めてのダート耐久レース、最高でした。日常では体験できないスライドやジャンプをこんなにたっぷり楽しめる競技があるなんて。どうして今まで、出会えなかったの!?という感じです。
そしてまた機会があるのなら、もっとシッカリ準備をして臨みたい。お肉とか、焼きそばとか、終わったあとのビールとか、温泉とか……。違うって?
いやいやいや、ほんとあり。主催者も参加者もみんな大らかで、競技の雰囲気が最高に楽しいんですよ。いまはコロナ禍で難しい部分もありますが、後夜祭キャンプとかもセットにしたら、絶対盛り上がると思う。
走り終わるとマシンはこんな感じ(笑)。中も外も泥だらけですが、レースが終わったあとこれをみんなで洗車しながらかたづけたりメンテしたら、絶対に楽しいよ!
ちなみにこの「YXZ1000R」、北米でのお値段は19,700US$~と、性能の割にリーズナブル。しかしナンバーが付かない車両だからか残念ながらヤマハは、日本での販売を行っていません。
でもこうした人生をエキサイティングに、そして豊かにしてくれるレクリエーショナルビークルは、もっと広く知ってもらった方がいいと思いますよ。当日は一般車両を改造して走らせている方々も沢山いたけれど、ダートを走るならこうした専用マシンの方が、結局は安く済むし、当然運動性能も高くて面白い。ヤマハも、ホンダ(Talon)も、もっときちんとPRして、日本で発売して欲しいです。
ちなみにMSYトレーディングさんなら購入後は車両保管や運搬なども相談に乗ってくれるとのこと。レースも組み合わせれば年間8戦近くあるみたいだし、仲間何人かでサイド・バイ・サイドを所有して、こういうイベントに出たら最高だな。中古だったらもっと安く手に入るかな? レンタルあるのかな……。
なんて、妄想が止まらない初ダート耐久なのでした。
写真提供
■MSYトレーディング(https://msy-trading.com/information)
■クルマで遊ぼう! 大井貴之のSports Driving Labo.
(テキスト:山田弘樹)
自動車雑誌の編集に携わり、2007年よりフリーランスに転身。LOTUS CUPや、スーパー耐久にもスポット参戦するなど、走れるモータージャーナリスト。自称「プロのクルマ好き」として、普段の原稿で書けない本音を綴るコラム。
[ガズー編集部]
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