『クルマは最高のトモダチ』赤パンで「最強のストリートタイヤ」を徹底チェック!…山田弘樹連載コラム

5月の初旬に筑波サーキットのコース1000で赤パンを走らせてきました。
その目的は、ブリヂストンが最強を謳うストリートラジアルタイヤ「POTENZA RE-71RS」を試すため。

もっとも私はこのRE-71RSが昨年発売されたとき、やはりこの筑波コース1000でPOTENZAの試乗会に参加しています。その時の記事はGENROQwebに掲載されています。

ではなぜ今回、再びこのタイヤを履いてみたのかというと、チョイ乗りではなく最後まできっちり使い切って、その性能を評価してみたかったからです。
アマチュアにとっては一発の速さと同じくらい、ライフが大切ですから。
ボクの要望に応えてくれたブリヂストンスタッフのみなさん、ありがとう!

というわけで今回このRE71-RSを、195/50R15サイズで赤パンに履かせてみたのですが……。

3月と4月は恐ろしいくらい仕事が立て込んでしまい、まったく走りに行くことができなかったのでした。
暑くなってからタイムアタックしても、意味ないじゃん!!
ほんともう、ガックリでしたよ。

でもアマチュアって、そういうことなんですよね。普段のお仕事が、何より最優先。

ちなみに赤パンのベストタイムは、昨年12月末に出した42秒994!
タイヤは一年間使い倒したADVAN NEOVA AD08Rだから、結構立派なタイムでしょ?

ただネオバも、そろそろ世代交代の時期(時期型早くでないかなぁ)。
現役最強を謳うRE-71RSなら、さらにすごいタイムが出ちゃうんじゃない!?
いやいや、さすがに真冬と5月の気温差を考えたら、タイム更新は厳しいでしょ。

  • 今回は前泊して、主治医コシミズ・モータースポーツで赤パンをメンテ。前回自力では回せなかった車高調のネジを緩めてもらい(笑)、スプリングにプリロードを掛けてから全長調整で車高を自分好みに再調整。そしてアライメントを見てもらいました。ハチロクでここまで厳密にやる必要ないんじゃない? とは思うんですが、ダミーホイール体験してみたかったんです(笑)。こういうのも楽しみのひとつ。

なんてドキドキとワクワクが入り交じるなか、朝一番の枠で走行開始。
アウトラップでその感触を確かめて、計測1周目からアタックしました。

ウォームアップなしでいきなりアタック!?
それはこのタイヤの勝負所が、まさに1周目だと前回の試乗でわかったからです。本当に、コンマ数秒の取り分なんですけどね。

って、RE-71RSはそんなにシビアなタイヤなの?
いやいや、むしろ逆。いきなりアタックできるくらいグリップが高いんです。ゴムがすごく柔らかいんだと思います。

一番タイムが出やすいのは、まだタイヤに熱が入りきっていない状態だと予想。エンジンも冷えていて、暖まっていないのはドライバーだけ! という状況です(笑)。
そこがちょっと、アマチュアには難しいんだよなぁ。

果たしてその答えは……、

ビンゴー!
一発目のアタックで、さっくり42秒359が出ました。
じつに、0.635秒のタイムアップですよ。
一周1kmに満たないコースでこの結果は、素直にすごいと思います。

その後の周回では、インターバルを置いた6周目に42秒548、内圧調整を行ったあとの9周目に42秒677、走り方を工夫した12周目に42秒404が出ました。

一発のタイムは確かに1周目。しかしその後も、最大で0.318秒しかタイムがドロップしなかったのはエラい。そして走り方を工夫したら、0.045差まで詰めることができた。
つまりもっとこのタイヤを理解できたら、さらにタイムアップが望めそうです。
こういうの楽しいねーッ!

タイムアタックシーズンは完全に逃してしまいましたが、5月の筑波はちょい暑の素晴らしい天気でした。RE-71RSの第一印象としては、やっぱすごい。大切なのはこのタイヤで、何を得るかということだと思いました。

走っているときのフィーリングも、すごくよかったです。
昨年RE71-RSを走らせたときはステアリングの切り始めでCP(コーナリングパワー。すなわちグリップ)の立ち上がりが鈍く感じられ、なんかちょっと消化不良なイメージでした。

しかし赤パンだと、操舵初期からすごく反応が良いんです。
やっぱりキャンバー角が少ないクルマの方が、ラウンドショルダー形状が効くんでしょうね(ちなみに赤パンは2度くらい)。

そういう意味ではブリヂストンがRE-71RSを、「最強のストリートタイヤ」と呼ぶのも頷けます。ライトチューン派にはこれ、とっても嬉しいことですよ。
となると気になるのは、このグリップがどのくらい続くのか。
そして総合的なタイヤライフですよね。それは今年一年間使い続けて検証します。

ただひとつ気になったのは、結構な量のピックアップが見られたことでした。
レースファンならご存じかもしれませんが、ピックアップとは文字通り、タイヤの表面にタイヤかすがくっつくことです。
え゛~!! 市販のハイグリップラジアルで、ピックアップしちゃうのッ!?

写真左:走る前のPOTENZA RE-71RS。アウト側のブロック、ごっついですね。ショルダーが傾斜しているから、キャンバーの少ないクルマでもロール時に接地面積を広く確保することができるようです。
写真右:こちらは1枠走行した後のトレッド面。中央リブの削れ方が少し気になるけれど、内圧管理も影響しているのかな? アウト側の表情は悪くない感じです。そしてピックアップ、結構ありますね。それについては次回のレポートで!

ボクの数少ないレース経験から言うと(笑)、ピックアップは速いマシンに譲ったり、ドライビングをミスしたりして、ラインを外したときによく起こります。コース脇にちぎれ飛んだタイヤかすを、拾ってしまうんですね。
今回は走行台数も少なくて、ラインを外すようなこともなかったんだけどな。
もしかしたら自分のタイヤからも、ピックアップしてるのかもしれない。

ちなみにピックアップすると、スリックタイヤの場合はかなり走りにくくなります。タイヤの表面に余計なゴムがくっついて、グリップが落ちてしまうんですね。タイヤがデコボコするからまっすぐ走っていても、ゴロゴロ、ガタガタするし。

ただピックアップしても、走っているうちに自然と取れてしまうタイヤもあります。ゴムの特性によるんですね。
また走り方で、これを取る方法もある。

ちなみにRE-71RSは、ピックアップの量こそかなりありましたが、走行中グリップが途切れるような印象はありませんでした。
もっとも今回は都合で1枠しか走れなかったので、連続走行したらどうなるのかは確かめられていないのですが。

ひと枠走っただけで、こんなになっちゃうのかぁ……。
という気持ちと、
でも、このグリップ力は本当にすごいわ!
という気持ちが入り交じって、なかなかエキサイティングな体験となりました。

  • 自動車ライターの大谷達也センパイもこの日は走行。いい記事書けるようにと、ボクたちジャーナリストもこうやってコツコツ練習を重ねているのです。

そしてパドック(というか駐車場)でアレコレ考えていると……。
おやっ、向かいでホンダ S660のオーナーさんが、電動スクレーパーでタイヤかすを削っているじゃありませんか。
しかもタイヤは、RE-71RS!?
86レースならメカさんがタイヤかすを取っている場面を見たことあるけど、最近は趣味のスポーツ走行でもそういうことするのッ!?

聞けばやっぱりピックアップの量が多くて、これを削りながら走っているのだそうです。
大変だなぁ……。
でも、なんかちょっと面白そう(笑)。
というわけでワタクシ、さっそくアマゾンで格安の電動スクレーパーを買いました。
そして翌月、懲りずに走りに行ったのでした。

そのときの模様については、次の機会にじっくりお話します!

(写真:橋口 真、テキスト:山田弘樹)

自動車雑誌の編集に携わり、2007年よりフリーランスに転身。LOTUS CUPや、スーパー耐久にもスポット参戦するなど、走れるモータージャーナリスト。自称「プロのクルマ好き」として、普段の原稿で書けない本音を綴るコラム。


[ガズー編集部]

あわせて読みたい!『クルマは最高のトモダチ!』山田弘樹コラム

MORIZO on the Road