『クルマは最高のトモダチ』AE86に新エキマニ装着! でも一筋縄じゃ、行かないぜ…山田弘樹連載コラム
いーーーー、ヤッホォオオオオーーーーーーーーッ!
遂に、待望の赤パン用エキゾースト・マニホールドが、完成しましたッ!
「やまだクン、できたよ!」のLINEと共に、グワッとひねりの効いた集合管の画像と、それをブリッピングする動画が、“ペンポーン♪”と、携帯に送られてきたのでした。
やっぱりエンジン・チューニングって、燃えるねッ!
こんなにワクワクしたの、久しぶり!!
私にとって長らく赤パンは「あって当たり前の存在」で、ドキドキするとかそういうの無かったんですけど、なんだか20代の頃に戻ったような気持ちになりました。
そしてこれが、パワーハウスGTD製AE86 エキゾースト・マニホールドです。
プライマリーパイプ径φ42.7mm、セカンダリーはφ60mmの、4-1(フォー・イン・ワン)タイプ。ノーマルエンジンだとちょっと低速域が犠牲になる高回転仕様ですが、これは赤パンのエンジンが5AGクランクを使った5.5AG(1796cc)であり、トルクが太くなっていることを踏まえての選択でした。
さてその第一印象はというと、吹け上がりが軽くなった感じ?
抜けもいいのか今までよりも4連スロットルの吸気音が、大きくなった気がします。そう、赤パンのエンジンはAE111用20バルブがベースなんですよ。
ということで満面の笑みを浮かべながらガレージ・トータルを後にして、試運転がてら家路へと着いたわけですが……。
なんだか、しっくり来ない。
低速域からグッとトルクが盛り上がり、勢いそのまま高回転までカーン! と伸びて行くのを期待したんだけど、アクセル開度に対して、トルクがついてこないんです。
パーシャルから徐々に踏み込んで行くと、グーッと伸びて行く。パンチもあるし、結構速い。
だけどガバッと踏むと、ついてこない。
赤パンのエンジンって、こんなモンだったかな? 最近仕事でパワーのあるクルマばかり乗ってたから、感覚鈍った?
いやいや、そんなことはない。このエンジンはもっとパワフルで、気持ちよいですよ。やっぱり中間域で、パンチがない。
とりあえず燃料が来ていないと怖いので、全開にはせずトルクが着いてくるように走りながら、この日は無事に帰宅しました。
プライマリー径φ42.7mm、集合パイプ径φ60mmの「N2仕様」を、AE111エンジンの形やエアコン配管の取り回しに合わせてワンオフ制作してくれた4-1エキゾーストマニホールド(価格:15万円+税)。その性能を確かめる前に課題ができてしまったのが残念だけど、必ずそのパワー&レスポンスを引き出してやるぞ!
そしてこの症状は、次第に深刻になって行きました。
ちなみに翌日は、千葉市で行われたGAZOO.comの「愛車広場 出張撮影会」にゲスト出演。 本当は大事をとって赤パンで行くのは止めようかとも思ったのですが、参加者のみなさんに赤パンと、できたばかりのエキマニをお見せしたくて、慎重に千葉を目指しました。
イベント自体は、大盛況のもとに終了。とても楽しい時間を、みなさんと過ごすことができました。
エキマニを付けてから、赤パンで愛車広場のイベントに参加。当日は会場をインタビューしながら練り歩いて、沢山のオーナーさんとお話することができました。そのストーリーはどれも信じられないくらい魅力的で、クルマへの愛をビシビシ感じました! 愛車広場 出張撮影会、すごく朗らかでいいイベントでした。
問題は、その帰り道。渋滞にはまるとエンジンが“ストン”。
おや? とすぐにかけ直しましたが、クランキングがいつもよりかなり長く、アクセルをうまく入れて行かないと、再び“ストン”。
長年の経験からして、これはあまりよろしくない感じ。
案の定渋滞でノロノロ走る領域だとアイドリングが安定せず、ストールさせないよう常にアクセルを少し入れながら、回転を保たねばなりませんでした。
そして高速道路に乗ると、昨日よりもレスポンスが鈍い。
燃調が狂ったキャブ車みたいな感じで、エキマニの性能を楽しむどころじゃない感じ。
吹けが悪くなったのは、急激に燃料が濃くなったからだと思います。実はこの症状、以前もごく希にあったんですが、エキマニを太くしただけで、どうしてその症状がひどくなったんだろう?
ちなみに赤パンの制御は紆余曲折がありまして、現在はノーマルCPUをベースに書き換えたものを使っています。
主治医であるコシミズ(モータースポーツ)さんに聞いてみると、即答で「フルコン制御にしたほうがいい」と言われました。
フルコンピューターかーッ!
せっかくのエキマニを、もっといえば5.5AGをきちんと動かすためには、やっぱり覚悟しないとダメなのか。
やっぱ一筋縄じゃ、行かないなぁ。足して行くだけじゃ、よくならないのがチューニング。まさに“調律”なんですよね。
しかし、お金掛かるな(汗。
じつはオルタの発電量も怪しいし、リアフェンダーからの錆びはスクスクと、順調に育っているし。赤パンを手に入れて、ちょうど11年。メンテを怠っていたわけではないのですが、ここにきて問題が、一気に噴出してきた感じです。これって“旧車あるある”だけど、いきなりくると、やっぱりくじけるよね~。
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イベントの前日、少しでもきれいにしようとガソリンスタンドで洗車しました。パッと見きれいだとは言われますが、ボンネットやリアハッチは色あせてるし、リアフェンダーからも錆びがモリモリ。塗り直してあげたいけれど、ハチロクはオールペンだけでは済まない(板金が必要になる)のが悩みどころ。
でも愛車広場で出会った女の子との話を思い出したら、そんな気持ちがちょっと晴れました。
通勤にもトレノを使っている彼女は、アチコチ壊れるたびにやっぱりお母さんから「新しいクルマにすれば?」とチクチク言われるそうです(笑)。でもそのたびにディーラーから部品を買って、余裕があれば予備の部品もストックして(!!)、淡々と乗り続けている。仲間とサーキットへ行けば、自分なりに走りも楽しむ。
「もうハチロクが恋人だね!」というと「頼もしいお兄ちゃん、って感じなんです!」と、とても嬉しそうに話してくれたんです。
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イニシャルDを読んで、藤原拓海ではなくトレノを好きになった彼女。「本当はパンダが欲しかったけど…」と言うけれど、僕たちの世代には黒銀も人気だったよ。彼女と話したおかげで、なんだかハチロク乗りの気持ちに戻れた感じ。またどこかで会おうぜ!
それは実にたわいもない立ち話だったんですが、そんな彼女の楽しそうな様子に、私は元気をもらいました。
早く直さなきゃ! どうしよう……と焦っていたけれど、すぐにできないなら、ゆっくりやればいいんです。
一番大切なのは、好きであること。
楽しくなければ、意味がないんですよね。
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ギネス認定はまだしていないけれど、おそらく世界一速いトゥクトゥク(笑)。なんとトラストのターボチューンが施されている1台でした。
(テキスト:山田弘樹)

自動車雑誌の編集に携わり、2007年よりフリーランスに転身。LOTUS CUPや、スーパー耐久にもスポット参戦するなど、走れるモータージャーナリスト。自称「プロのクルマ好き」として、普段の原稿で書けない本音を綴るコラム。
[GAZOO編集部]
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