『クルマはトモダチ』ハチロク40周年! ボロハチ選手権でお祝いしたい…山田弘樹連載コラム
みなさん、ゴキゲンよう!
あれは私がまだグループA+で走っていた頃ですから、12~13年くらい前の話です。
こちらは私も参加していた「グループA+」の懐かしい写真たち。N2のコストが掛かりすぎた当時、「もっとシンプルなレースがしたいよね」と、ハチロク乗りたちが集まって始めました。エンジンは4AGのみで、カムのリフト量を制限して180PSくらいまで。それでもナローボディだからすごく速くて刺激的だった。1分4秒台のハチロクで数珠つなぎ、最高だよ! ちなみに11号車が輿水さんで、それを私が譲り受けて27号車にしました。
当時コシミズ・モータースポーツ(以下kms)の輿水さんが、常連さんたちと筑波コース1000で「ボロハチ選手権」という遊びをしていました。
ルールは、ものすごくシンプル。
kmsにある“ボロハチ”で、タイムアタック。一番速いヤツが、当然エライ。でも、それだけ。
当時のハチロク乗りなんてみんな「自分が一番速い」と思ってるわけですが、クルマは仕様もそれぞれ違うわけで、白黒つかないことも多いわけです。それを一台のハチロクで乗り比べたものだから、ものすごく盛り上がりました。
意地とプライドが、バッチバチw
ちなみにボロハチはそのときどきにある、kmsで一番オンボロのハチロクです。PFRレースに出ていた、N1マシンが多かったかな。
タイヤと足周りは、レースで使い倒したお古のSタイヤと車高調。だけどメンテナンスだけは、みんなでやってました。
そんなボロハチ選手権は、これまたルールが最高でした。
アタックは自己申告制で、一番遅いヤツから走ることができます。
そして、気が済むまで走り続けてオッケー。途中でタイムが抜かれたら、必死に頼めばお代わりもできました。
さらにすごいのは、コースアウトしてもオッケー。多少ブツけても、直して走れる程度ならオッケー。
その代わり、「真剣にアタックする!」という暗黙のオキテがありました。うーん、ストロングスタイル。
当然速い人は後まわしになるから、タイヤのオイシイところもなくなります(そもそもオイシイところなんてのもないかも)。
エンジンだって多少は熱ダレするし、アタックチャンスも減るわけですが、そこが後輩たちにとっては、いいハンデになっていたわけです。
よく考えられているよなぁ。
当然kmsにも、クルマを壊されるリスクはあったはず。だからボロハチを使ったわけですが、そもそもkmsの常連さんにはN1チャンプがいたりとみんな腕自慢だったから、クルマは壊さなかったですね。ただコースアウトすると、盛大にイジられます。
たぶん輿水さんは、みんなに本気で走って欲しかったんじゃないかな。そして、もっともっとうまく、そして速くなって欲しかったんだと思います。
まぁこう書くと大げさですが、基本は何にも言わないから、ただただ喜んだり悔しがって、ワイワイ盛り上がるだけなんですけどね。
そしてこのちょっと野蛮な感じこそが、私にとってはハチロクなんです。
そんな当時を思い出すたびに私は、輿水さんに「ボロハチ選手権、またやりましょうよ!」なんて話するんですが……。
そもそもいま、その“ボロハチ”がないんですよね。
ボロくて高いハチロクは沢山あるけど、ボロくて安いハチロクは、本当にない。kmsにいたってはどんなにボロボロなハチロクだってガッツリ甦らせてしまうし、到底使えそうに見えない朽ち果てそうなボディでも、スミからスミまで再利用しますからね。
イベントをやるとしたら筑波コース1000が理想だけど、ただスポーツ走行の日に駐車場のはしっこで集まるだけでも楽しいかな? そしたらみんな勝手に走って、そのあとしゃべっていればいいもんね。
※写真はイメージです(笑)。
でもね、今年はハチロク40周年じゃないですか。
というわけで輿水さんに、イベントの余興でもう一度「ボロハチ選手権やろうよ!」と言ってみたんです。
そしたら輿水さん、しばらく考えて「やりますか!」と言ってくれたんですよ。
まーじーかー。
コース1000で「ボロハチ選手権」やったら、みんな遊びに来てくれるかな?
スパルタン過ぎて引いちゃう?(笑)。
いやもちろん自分のクルマで走るだけでもいいし、遊びに来るだけでもいい。ハチロク乗ってなくても大歓迎。
むしろハチロクが欲しくてずっと悩んでいる人たちは、輿水さんから色々話が聞けます。
あときっと、TRDカラーのN2だって展示してくれるはず!
プライベーターが自分で作り上げたハチロクで、ドリキンこと土屋圭市さんに挑んだ夢の企画「AE86 筑波N2決戦」。その後の戦いにはショップも本格参戦するようになり、2005年大会ではBRIGクールマックスCPレビンで輿水さんがポール・トゥ・フィニッシュを飾ったのでした(Best MOTORingのYOUTUBEで当時の映像が見られますよ)。このN2はもうないけれど、実は土屋さんが乗っていたTRD号がガレージにはあるんです。そしてもしイベントをやったら、これをみんなに見せてくれるかもしれません!
9月24日には富士で「FUJI 86/BRZ STYLE 2023」が開催されます。そして年末には筑波コース2000で“祭り”こと「ハチロク祭」もあるでしょう。
そんな本家や元祖のようには行かないけれど、私たちもハチロクの40周年をのんびり祝いたいな。
だからこの世界一素朴なAE86バースデーパーティに行きたい! と思ってくれたら、コメントしてください。
もし人数が集まりそうなら、本気で考えます。
みんなでハチロクの生誕40周年をお祝いしよう!
輿水さんがここ数年注目しているのは「GRヘリテージパーツ」。ハチロク乗りはみんな廃盤となった内外装を欲しがっているけど、大切なのはまずクルマがきちんと動いて車検が取れること。だからメーカーにしか作れないパーツの、しかも駆動系からその復刻が始まっています。ちなみにプロペラシャフトから始まったラインナップは、現在14品。写真は全部じゃないけど、プロペラシャフト/4.3ファイナル/TMインプットシャフト/ブレーキPバルブ/ナックルアーム。
山田弘樹
自動車雑誌の編集に携わり、2007年よりフリーランスに転身。LOTUS CUPや、スーパー耐久にもスポット参戦するなど、走れるモータージャーナリスト。自称「プロのクルマ好き」として、普段の原稿で書けない本音を綴るコラム。
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