『クルマはトモダチ』開発者の本気がヒシヒシ!“軽”じゃない「ビジョン コペン」…山田弘樹連載コラム

みなさん、ゴキゲンよう!
ジャパンモビリティショー2023には、もう行きましたか?

モビリティショーと銘打つだけあり、会場にはクルマだけでなくバイクやさまざまな移動手段と、それを取り巻くライフスタイルの提案がされていました。
西館展示棟(1F)「Tokyo Future Tour」エリアで上映された、未来の東京をクルーズするバーチャルムービーなんか、かなり楽しかったです。ゴジラが街を破壊しまくってるのに、ナレーションの声が落ち着き払っているのはちょっと苦笑いでしたけど。

さてそんな風に「クルマの展示だけじゃないショー」へとリニューアルしたジャパンモビリティショーですが、だからこそ私はそこにあるクルマたちが、とっても光って見えました。

  • ダイハツ・ビジョン コペン(ジャパンモビリティショー2023)

    全長4mを切る、1t切りのボディに16インチタイヤを装着したFRのオープン2シータースポーツカー! コペンはセカンドカー需要が高いせいもあって、ユーザーも後輪駆動やサイズアップには肯定的な意見が多いのだとか。NDロードスター以外の選択肢が増えるのはよいことだし、伸びやかでプレーンなデザインだと思う。

そんな中でもひときわ熱かったのは、「ビジョン コペン」ですね。
これ、現状はまったくのコンセプトカーですが、開発陣の意気込みは本気です。
そのボディサイズは全長3835×全幅1695×全高1265mm、ホイルベースは2415mmと、現行モデル(全長3395×全幅1475×全高1280mm ホイルベース2230mm)に対してはかなり大きめ。
そう、これは「軽じゃないコペン」なんです。

サイズ的には、NDロードスターよりもさらに小さいAセグメント。
そしてなんとこのコペン、フロントエンジン・リアドライブなんですよ。

  • ダイハツ・初代コペン(ジャパンモビリティショー2023)

    Vision COPENのモチーフは、初代コペン。このなんとも憎めない(○∀○)顔こそが、コペンのアイデンティティですよね。でもワイドボディになるなら、やっぱりGR顔も欲しいな。

フロントコンパートメントに想定したエンジンは、1.3リッターのガソリンユニット。ダイハツも環境性能向上の立場からカーボンニュートラル燃料の採用を謳っていますが、その実どんなエンジンにするかはまだ未定。

開発の相原泰祐さんいわく「あくまで走りを追求したライトウェイトスポーツカーであるということ。そしてバッテリーEVではないというところまでしか決まっていないんですよ」とのことでした。

そして大切なのはここからで、「たとえば搭載するエンジンの形式や排気量についても、みなさんの意見が聞きたいんです!」というのです。

ちなみに相原さんは、自らもラリーに参戦する大のクルマ好き。だからそのトランスミッションについても、「マニュアルシフトを搭載したいですよね!」と言ってました。

  • ダイハツ・ビジョン コペン開発の相原泰祐さん(ジャパンモビリティショー2023)

    コペンの“C”ポーズを決める車両開発部の相原さん。昨年はDーSPORT RACINGのコペンGRスポーツでWRC第13戦ラリー・ジャパンを戦い、クラス優勝を果たしたラリーストでもあります。もし会場で見かけたら、色々話を聞きまくってください。クルマ好き同士盛り上がるはずですよ。

となーるとぉー!?
ダイハツって、縦置きトランスミッションないよね?
つまりはトヨタの素材を使って……ということは、GR86のコンポーネンツ!?
とひとりで盛り上がっていたら、
「ダイハツも商用車だと、縦置きトランスミッションはあるんですよ(笑)。実は後輪駆動車を、ずっと作り続けているんです」
と言われちゃいました。
そうか、グランマックスだ、ハイゼットにアトレーだ!

でもね、相原さん(とダイハツの開発陣)が目指してるのは、小さくてもガッツリ走れるスポーツカーじゃないかと思うわけですよ。
NDロードスターが“ひらり感”を大切にするスポーツカーだとしたら、ビジョン・コペンは剛性感溢れるキャラクターにしたいと考えている。

だってリヤフェンダー、ばっちり張り出してます。
それって後ろ側には、太いタイヤを履くってことでしょ?
だったら高トルクのエンジン、積めるでしょ。駆動系だってそれに耐えられるものが必要なのでは?

  • ダイハツ・ビジョン コペンのヘッドライト(ジャパンモビリティショー2023)
  • ダイハツ・ビジョン コペンのリヤフェンダーの盛り上がり(ジャパンモビリティショー2023)

ヘッドライトとテールライトはコペンの“C”がモチーフ。そして注目して欲しいのは、フェンダーの盛り上がりだそうです。確かに、これだけカワイイ顔してボディがワイルドなのはそのギャップが面白い。

とアオるのは、これくらいにして。
現実的なところではFRレイアウトを採用すると、後々のEV化もしやすいのだそうです。車体が小さくてもモーターはリヤデフ直前に置けばOKですし、エンジンコンパートメントにはコントロールユニットが入れられる。するとトランクスペースがきちんと取れる。
フロアにはバッテリースペースが必要だから、実際はちょっと着座位置が高くなっちゃうのかな?
あっ、トヨタはリチウムイオンバッテリーを薄型化したスポーツカーコンセプト「FT-Se」を今回展示してたぞ(笑)。

  • ダイハツ・ビジョン コペンのフロントフェンダーの造形(ジャパンモビリティショー2023)
  • ダイハツ・ビジョン コペンは16インチのブリヂストン「POTENZA」(ジャパンモビリティショー2023)

注目して欲しいのはフロントフェンダーの造形。タイヤをバンパー方向に寄せてオーバーハングを抑え、Aピラーまでの距離が長くと慣れているのは、エンジンがフロントミドシップされていることを表現したいから。ちなみに16インチのタイヤはブリヂストンの「POTENZA」。銘柄は書いてないけど、このトレッドパターン見たことあるぞ。ということは、かなり現実味のあるパッケージングということか!?

と、様々な妄想が楽しいビジョン コペン。
でもこのクルマで一番大切なのは、「みんなの声」です。
果たしてコペンが、「軽自動車枠」じゃなくなってもいいの?
ちなみにこのアンケートは、7割以上の人が肯定的だったそうです。

「本当に駆動方式はFRでいいの?」
「デザインはこのままでいい?」
開発陣はクルマ好きたちの声を、沢山聞きたいのだそうです。
このコラムにも目を通してくれるそうなので、ドシドシ意見を書いてください。

かくいう私はというと。
エンジンはやっぱりGRカローラの1.6直列3気筒!
1t切りの車重に、300馬力でヨロシクッ!!
と言いたいところですが、速くするために重くなるならパワーはほどほどで構いません。NAでもターボでもどちらでもいいけれど、とにかくスカッ! と回って欲しい。現実的なところで言うと税金も安いしヤリスの1.5直列3気筒を、レブリミットなんて低くて構わないから、最後まできっちり回るエンジンに仕上げて欲しいです。
エミッションは大変だと思いますが、どうぞよろしく。
あとはなんとかフロントサスペンションは、ダブルウィッシュボーンにして欲しいですね。やっぱり操舵感が違いますから。

  • ダイハツ・ビジョン コペンのハンドルとインパネ(ジャパンモビリティショー2023)
  • ダイハツ・ビジョン コペンの前席(ジャパンモビリティショー2023)
  • ダイハツ・ビジョン コペンのバケットタイプのシート(ジャパンモビリティショー2023)
  • ダイハツ・ビジョン コペンの足元は2ペダル(ジャパンモビリティショー2023)

メーターとナビパネルをオフセット連結させた今風のダッシュ処理。シートは薄手なバケットタイプを2座搭載。ドアパネルはノブがポルシェみたいなベルト式でシンプルかつスポーティ。ただ今回のなかで、一番ショー的要素が強いのはこのインテリア。トランスミッションはATで、足下は2ペダル。ここに3つ目のペダルを追加するのも、みんな次第!

というわけでビジョン コペン、みなさんぜひ見に行ってください。現場ではダイハツのスタッフがアンケートを取るみたいだし、このコラムのコメント欄にもドシドシ、意見を書き込んでください。
私たちクルマ好きの声で、新しいFRスポーツを誕生させよう!

山田弘樹

自動車雑誌の編集に携わり、2007年よりフリーランスに転身。LOTUS CUPや、スーパー耐久にもスポット参戦するなど、走れるモータージャーナリスト。自称「プロのクルマ好き」として、普段の原稿で書けない本音を綴るコラム。


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