『クルマは最高のトモダチ』640馬力と18馬力の2台のミッドシップ…山田弘樹連載コラム
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ランボルギーニ ウラカンSTOのレーシングマシンのノウハウを活かしたフロントセクションは、フロントバンパーとフェンダー、そしてスポイラーが一体成形に。メンテナンス時はこれがガバッ!と外れます。
先日、富士スピードウェイでランボルギーニ ウラカンのスペシャルモデルとなる「STO」に試乗しました。これは「スーパートロフェオEVO」というワンメイクレースカーと、FIA公認車両である「ウラカンGT3 EVO」で得たテクノロジーをミックスし、公道用に仕立てたランボ最強のクラブスポーツ。だからSTO(スーパートロフェオ・オモロガータ)という名称になっています。
“スペース・トルネード・オガワ”では、ありません(笑)
ホモロゲーションというとレースのために規定台数を量産することに用いられることが普通ですが、このウラカンにはレース用の技術を公道用に公認したという意味が込められているようですね。
インプレッションはGENROQwebで執筆しています。走り屋系ジャーナリストって……(笑)。中身はまじめなので、お時間あれば読んでみてくださいね!
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ルーフにはシュノーケルが付いていて、その後ろにはシャークフィン(驚)。ストレートスピードはパナソニック看板までで270km/h(!!)に到達するという、恐ろしい速さでした。
そんなウラカンSTOは、確かに“キレッキレ”のスーパースポーツでした。
同じウラカンの「EVO」と比べて最大トルクが35Nmほどデチューンされているのは、ランボルギーニいわくサーキットでのアクセルコントロール性を重視したかったからだといいます。
それでも5.2リッター(!)のV10エンジンは6500回転まで回すと565Nmのトルクを発揮するわけで、さらにこれを8000rpmまで回し続けると、640PSのパワーが弾けます。
それが自然吸気エンジンで実現されるのですから、サウンドやバイブレーションは呆れるほど気持ちがいい。
個人的にはクラブスポーツなら、もう少しハンドルの手応え感がある方が好みですが、空力と後輪操舵の連携のおかげでゲインを高めずとも、これがグイグイよく曲がる。
……って、4125万円(!!)のクルマに好みも何もないんですけど。
インテリアは至るところがカーボンで、それを豪華にもアルカンターラで覆って反射を防いでいます。センターの液晶パネルでタイヤの内圧からブレーキ温度まで測れるのには感心しきり。トグルタイプのスイッチが沢山並んでいて、なんだか戦闘機みたいですよね。ランボのエンタメ性は、ほんと徹底してます。
しかしなぜ人は、こんなモンスターにナンバーを付けたいと思うのでしょう?
これだけのパフォーマンスを楽しむなら、もはやクローズドコースしか場所はない。だったらいっそナンバーレスでサーキット専用にする方が、面倒がないと思うんですよね。
つまりトロフェオやGT3で、よいと思うのです。
普段は快適なクルマに乗って、休みの日にぴゅーっとサーキットまで行って、思い切り楽しむ。車検も税金も掛からないし、距離や消耗品も管理しやすい。一般道でのモラルが重要になってきた現代は、クローズドコースの役割がさらに大きくなってくると思います。
今年ボクがスーパー耐久やホビーレースで走らせたBMW M2 CS Racingも、よく「これにナンバーは付かないの?」という質問を受けます。でも、ナンバーが付かないからいいんです。だからこそ無駄が省けて、本格的なレーシングトリムになる。走りがピュアになります。
もちろん「レーシングカーにナンバーを付けたい!」という気持ちも、クルマ好きだからわかります。
大好きなクルマは手元に置いておきたいし、レーサーでもなければ月に何度もサーキットへ行けるわけではなくて、ちょこっとだけ街中を流したいときもある。ガレージで愛車をデレーッと眺めていたいときも。
サーキットの近くにガレージを借りるのも面倒だし、走るたんびにメカニックさんを呼ぶのも気が引ける……。だったらドア・トゥ・サーキットで、気軽に走りに行ける方がいいということでしょう。
911GT3やケイマンGT3、そしてこのウラカンSTOも、そういうクルマなんだと思います。
日本にニュルがあれば、いいんですけどね!
かくいうボクも、かつて「Gr.A+」というAE86のレーサーを持っていて、草レースを楽しんでいました。でもレースに出てないときはほぼ走らせなかったし、乗らなくなっちゃうことが、苦痛になったこともあります。公式レースに出ていると無理矢理にでも走るけれど、草レースでいったん息切れすると、ほんと走らなくなる。
だから赤パンで気楽に走るようになったんですが、でも「あの興奮をもう一度!」と懐かしく思うことも多くて……。
それについては、またお話しましょう!
つまりレーシングカーを走らせることって、少し敷居が高いんだと思います。その面倒くさい分だけ刺激や特別感は別格なんだけど……やっぱりめんどくさい!(笑)。
そんなわがままなアナタにお勧めしたいのが、レーシングカートです!
それもたった100ccしかないマシンが、ランボルギーニ並の刺激を与えてくれます(笑)。
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さてこちらが我らのミッドシップレーシングカー、KT100SECです! 立ち位置的には入門用マシンといえる存在で、いわばカート界のハチロク!? たかがKT、されどKT、そして走らせるほどに奥深い存在なのだそうです。自分もスーパーFJをやっているときはレーシングカートで訓練しましたが、今の方が楽な気持ちで走れていて、学ぶことも多い気がします。趣味のレーシングカート、最高!
そして何よりお伝えしたいのは、そのレンタルシステムが驚くほどシンプルなこと。
ボクが通っているのは富士スピードウェイの近くにある「オートパラダイス御殿場」。コロナ禍の間は一時中断していたのですが、「ガレージ茶畑」からKT100SEC(いわゆるケーティー)を一日借りて、仲間と楽しんでます。
でもカートとクルマって、違うじゃん!
そう思うでしょ? そんなこと、ないんです。確かにブレーキはリアだけだし、サスペンションがないから、ハンドルを切れば簡単にグイグイ曲がる。滑っても修正しやすいし、クルマの運転とは、また別だと感じるのはごもっとも。
でもね、カートにはその奥の深いところに、きちんとクルマと通じるものがあるんです。特にこのAPGは荷重移動が大切なコースレイアウトで(カートコースとしては珍しいそうです)、走り込むほどにそれが、ジワジワわかってきます。
そしてボクのようなアマチュアには、KT100が本当にバッチリ! パワーなんて20馬力に満たないマシンですが、あの低い着座位置で100km/h近いスピードを体感すれば、絶対満足できます。これで物足りなかったら、才能あるよ!(笑)。
APGに行くと、いつもガレージ茶畑の杉山さんがボクたちの面倒を見てくれます。メンテナンスはもちろん、ふとしたときに走りのアドバイスがもらえて、これがボディブローのように効くのです。APGへは仲間と3人で。流し撮り職人として名をはせるフォトグラファーの池ノ平昌信さんをリーダーに、飯田裕子センパイや、色々な仕事仲間と走ります。
速さ的には4ストのレンタルカートよりも、数段本格的。かといって125ccほど速くはないし、レンタルだとタイヤのグリップもユーズドで低いから、おっさんでもギリオッケー!
当然翌日は、筋肉痛ですよ(笑)。
ともかくきちんと挙動が学べて、自分を磨き続けるには最高なマシンなんです。走るたびに発見があって、自分が成長している感じがします。
そしてそのコストは、茶畑の場合半日借りて1万4500円。一日借りても2万2500円!!
これは平日プランなので、土日祝日だと割高にはなりますが、仲間でシェアすればサーキットでクルマを走らせるよりも断然リーズナブルです。
はっきりいって、一日借りても延べだと、ひとり1時間半も走ればお腹いっぱいです。ボクは仕事仲間3人で行くことが多いのですが、少し走っては休み、考えては走ってる感じ。富士山を眺めながらの、このノンビリ感も最高です。
大勢で行けば交通費も割れるし、ボクら世代だと息子さんや娘さんと行っても楽しいでしょうね。
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オートパラダイス御殿場は富士スピードウェイのほど近くにあるカートコースで、普段走っているハイスピードコースは全長1006m。僕らが乗っているレンタルKTだと、タイヤがユーズドでもレーシングドライバーが乗って44秒くらいで一周できちゃいます。1㎞のコースを44秒って、ショートサーキットでハチロク走らせたくらいのタイムですよね。でも体感スピードは、それより遙かにレーシングです。
ガレージ茶畑は、APGの中に併設されています。ちなみにレンタルカートの料金プランは写真の通り。走りに行くときは、なるべく3日前までに連絡してください。雨の日は走行中止ですよ~。平日はすごく空いていて、走りやすいです。そしてちょくちょくロニー(クインタレッリ)さんとか、レーシングドライバーがパドックを歩いています(笑)。
ガレージ茶畑APG店 ☎0550-78-6622 http://www.garage-chabatake.com
本当にクルマの運転がうまくなりたいなら、レーシングカートはお勧め。一番の重量物は自分! という世界一小さなミドシップを、一度は体験してみて欲しいです。
(テキスト:山田弘樹)
![](/pages/contents/article/column_yamada/kouki_profile2.jpg)
自動車雑誌の編集に携わり、2007年よりフリーランスに転身。LOTUS CUPや、スーパー耐久にもスポット参戦するなど、走れるモータージャーナリスト。自称「プロのクルマ好き」として、普段の原稿で書けない本音を綴るコラム。
[ガズー編集部]
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