『クルマはトモダチ』“しっくり”くる愛車の維持は今が踏ん張りどき!?…山田弘樹連載コラム

みなさんゴキゲンよう!

とうとう発売しますね、「DSCーTRACK」を搭載したロードスター!
東京オートサロン2024では市販化を前提に、2リッターエンジンを搭載した「マツダスピリットレーシングRSコンセプト」も発表されました。
ロードスターの大幅改良モデルについては、ちょうどこの記事を書いている時期に試乗会なので、楽しみにしていてください。

さらにスズキ スイフトも、とうとうフルモデルチェンジです。となると気になるのは、“スポーツ”の登場ですよねー。教えてもらえないだろうけど、色々質問してこよッ。

また買える、買えないは抜きにして、ここ数年はシビック タイプRのフルモデルチェンジや日産GT-R MY24の登場、アルピーヌA110の最終進化系「R」やポルシェ911やケイマン/ボクスターのGT系モデルといった、魅力的なスポーツカーたちが続々登場しています。
そしてなんと言っても、進化型GRヤリス! 最高です。いま、めっちゃ欲しいクルマナンバーワン。

  • ホンダ・シビックタイプR
  • トヨタ・GRヤリス

4WDで走りを楽しむなら、進化型GRヤリスでしょ! その感動的な走りについては、こちらを(URL入れてください)。そして今買うべきスポーツカーのもう一台は、「シビック タイプR」。この2台は、S耐でもライバルだ。進化型GRヤリスの価格はまだ発表されていないけど(1月現在)、シビック タイプRの税込み499万7300円という価格は、リアルな夢の上限だと思う。

  • トヨタ・86とヤリス
  • スズキ・スイフト

「ガンガン走って、ウデ磨け!」のリーダーは、やっぱり「GR86/トヨタ86」。走り倒して、ブツけても壊しても、直して乗り続けて。そうした初代ハチロクの志は、ここに受け継がれると思う。写真はトヨタ86の後期型だけど、自分が若かったら前期を買う。FWDなら1.5ヤリスの6MTも、ホントお勧めなんだけどな。そしてスイスポ!

だがしかーし!

長年連れ添った愛車を持つみなさん、“ここ”が踏ん張り時であります。電動化がますます加速し、ピュアエンジンの未来が行く先不透明な現在、スポーツカーを買うなら「今でしょ!」と言われ続けておりますが、それなら踏ん張るのも「今でしょ!」とワタシは言いたいッ。

わかるんですよ!
「もう消耗パーツの交換で、苦労しないクルマに乗りたいなぁ」とか、「そろそろ最新のスポーツカーに乗ってみたいなぁ」という気持ち。
私だって「いま赤パン手放せば、新車でNDロードスターの超熟モデル、買えるよな」って思います。NR-A買って、ロードスター・パーティレースに出たいなぁ。

でもいま愛車を手放したら、きっともう“おかわり”はできないんです。長年乗り続けて、酸いも甘いも知り尽くしたクルマをもう一度買い直すのって、なかなかシンドイ。

でもオマエ、AE86を4台乗り継いでるじゃんって?
それはね、ハチロクが大好きで、より条件がよい個体へとステップアップして行ったから。つまりクルマそのものとしては、ハチロクにずーっと乗り続けたことになるわけです。

ただそれでさえ、厳密に言うとアカンのですよ。
なぜなら二代目モヒカン号から赤パンに乗り替えたとき、な~んかいつまでも、シックリ来なかったんです。
そして今でも、モヒカン号が一番良かったと思っています。

きっとボディのヤレ具合や、内装のニオイなんかも含めて、モヒカン号が好きだったんだと思います。ただ若い頃の自分は、そこに気付けなかった。錆びのないボディに目がくらんで、赤パンに乗り替えてしまったんです。

その後エンジンを憧れの5.5AGにしたり、フルタップ車高調を付けたにもかかわらず、“あの感じ”は戻ってこなかった。
赤パンは赤パンで、大好きなんですけどね。

  • トヨタ・スプリンタートレノ AE86 赤パン
  • トヨタ・スプラインタートレノと筑波サーキット

赤パン(86年式と思われるスプリンター トレノ)は勢い勇んで買ったは良いけれど、その後は「エンジン壊れたらどうしよう」とか「何か直すたびにすごくお金が掛かりそう」と、すごく不安になった。何か直すたびにすごくお金が掛かるのは、正しかった(汗)。でも基本は頑丈だから、神経質にならなければ直す必要がないところも多かった(笑)。一番大切なのは、気の合う主治医に出会うこと。最近もっぱら、筑波コース1000を走るためのトレーニングマシンになっていて、しかもあまり走らせてない(汗)。やりたいことは色々あるんですよ。ただ古いクルマを2台、奥さんの入れると3台メンテするのは大変。

  • DSCーTRACKを搭載するマツダ・ロードスター(ND)

    だから新車で、走りが楽しくて、維持費が適度なロードスターを見ると、いつも心がグラグラします。NDは最高傑作だし、ガソリンエンジンの最終版かもしれないし……。何より歳を取っても続けられるパーティレースに憧れますね。あとはこのNDで、M2 1028みたいなクラブレーサーを作ってみたい!

クルマにも、人と同じで相性があるんだと思います。
たとえ中古で手に入れても、“しっくり”来るヤツってあるんですよ。だからしっくり来ないヤツも、当然ある。

当然新車から乗り続ければ、自分の操作のクセや、生活のニオイを付けて行くことができます。サーキットをバンバン走るとボディはヤレて来るけど、そのねじれ方にすら慣れ親しむようになる。
しっかりメンテしていればエンジンも良く回るようになるし、自分に合ったシフトフィールが醸成される。
機械の振動・振幅周波数が、自分のリズムに合ってくるというか。ただこれって、長い時間を経ていないと、得られないものだと思うんですよね。
新車を買うと、それをイチからやり直さなければいけないワケですよ? 大変だー。

  • ポルシェ911 カレラ(type993)

    最初は何年持っていられるかな……と心配ばかりしていた95年式の911カレラも、アチコチ直しながらはや6年。長持ちの秘訣は、たぶん尖ったモデルじゃないから。普通に使えるから仕事にもこれで行くし、そうすると仕事も楽しくなる。そしてやっぱり、しっくり来るからです。(c)GENROQ

ちなみに私の95年式 ポルシェ911 カレラ(type993)も、そんな一台です。清水ダイブして、気がつけば丸6年!
手に入れたばかりの頃は、良いところもダメなところも含めて全てが新鮮で、何をするのも冒険のようで楽しかったワケですが、さすがに今ではそうした“新婚さん気分”もなくなりました。
しかし代わりに、気がつくとその“しっくり感”が、出ていたんですよ。赤パンでは得られなかったのに(汗。

そりゃあ、ポルシェだからだろ!
とツッコまれそうですが、ポルシェだってピンと来ない個体は沢山あるんです。
私の993は、決して完璧なわけではありません。30年近く前のクルマですし、探せば色々アラが出てきます。事実、現在GENROQ誌で連載中の「ロングターム レポート」では、毎月何かを直しています。何も直さなかったとき、ないんじゃないかな?

致命的なところで言うと、きっとフロントガラスの枠周りなんかは、サビて腐食してるはず。エンジンだって、将来的にはオーバーホールが必要でしょう。
そんな993でも手放せないのは、この個体にしっくり来ちゃったからでしょう。そこだけは、“当たり”だったと思います。

そしてそういう“しっくりグルマ”は、大切にした方がいい。
もしアナタが長年連れ添ってきたクルマを持っていて、なんとなーく新しいクルマに乗り替えたい誘惑に駆られていたら、ちょっとこの“しっくり”について考えてみてください。

というわけで奥さんに、10年連れ添っているセブ(Citroën DS3)から「GRヤリスにしない?」なんて、簡単には言えません(笑)。

あぁ……GRヤリス欲しいなぁ!

  • ポルシェ911GT3 RS

    昨年試乗して一番ぶったまげたのはBMW 3.0CSLと、最新型の「911GT3 RS」。とうとうポルシェも、DRS(ドラッグ・リダクション・システム)を使うようになったのかぁ! と半ば呆れました。とても買える代物ではないけれど、乗るとやっぱりドキドキします。

  • フォルクスワーゲン・ゴルフR(4世代目)

    ゴルフRは4世代目になって、遂にドリフトもできるようになった(笑)。ただこれはクローズドコースでしか許されないモードなので、じっくり試せてません。Audi RS3と同じシステムだから、たぶんそんなに派手なモードではないはず。為替の影響もあるとはいえ20周年記念モデルの792.8万円は驚き。それでも即完売というのもビックリ。

  • フィアット・アバルト500e
  • マツダ・MX-30 Rotary-EV

最近乗ったEVで興味深かったのは、フィアット「アバルト500e」とマツダ「MX-30 Rotary-EV」。どちらもしっかりと個性があって、EVの可能性を独自のやり方で広げてくれていた。でもEVって、長く乗ったら愛着わくのかな? そんなところも触れて行きたい。

  • アルピーヌ・A110 R

    メガーヌRSにも使われる1.8直列4気筒ターボと7速EDCを横置きミッドシップしたアルピーヌA110は、スーパースポーツにひけを取らない走りの楽しさでハンドリング革命を起こした。登場時は一番安価な「ピュア」で790万円だった価格も、いまやベースモデルで940万円にまで値上がりしてしまったが、次期型がEVになることを考えるとこれも「手に入れておけ案件」か。いや、無理!(笑)。ユーズドカーで狙いたいところ。

山田弘樹

 

自動車雑誌の編集に携わり、2007年よりフリーランスに転身。LOTUS CUPや、スーパー耐久にもスポット参戦するなど、走れるモータージャーナリスト。自称「プロのクルマ好き」として、普段の原稿で書けない本音を綴るコラム。


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