『クルマは最高のトモダチ』昔のクルマは、今でも輝く!? AE86を磨いてみた…山田弘樹連載コラム
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今回は赤パンに「磨く」をお願いしたお話。プロが使うライトの下に置くと、ボンネットの色褪せ具合が丸わかりです。ちなみにいわゆる大手のコーティングだと、塗膜を削るリスクからボディの色褪せまでは磨いてくれません。荻洲さんも、お客さんとはきちんと話合ってから作業に入るのだそうです。
みなさんゴキゲンよう!
イベントや仕事で乗って行くと「きれいにしてますね!」なんて言われる赤パンですが、そこにはみなさんの“ハチロク・バイアス”が、ガッツリ掛かってます(笑)。
遠目ではきれいに見える赤パンも、実は色んなパネルがお疲れ気味。ソリッドレッドのボディは所々、朱色やピンクになっています。
だから主治医(コシミズモータースポーツ)でも、点検の度に「もういい加減塗り直さないとダメだねぇ」なんて言われているのですが……。
実はハチロクって、塗装が一番大変なんですよ。
なぜなら必ず、鈑金作業が伴うから。
かくいう赤パンも、リアフェンダーアーチ周りが、かなりヤバいことになってます。
じゃあとりあえずは、ボンネットとかリアハッチとかだけ塗ればいーんじゃない? と思うでしょ?
でもそれだと、どの部分に色を合わせるかが大変なんだ。そして結局はオールペンしたくなって、最初から全部やった方が近道だった、ということになりがち。
そもそも私がこの赤パンの箱(ボディのこと)を手に入れたのも、その前に乗っていた黒銀のモヒカン号が、錆びだらけになったから。鈑金塗装をするよりも、箱替えした方が安上がりだったからです。
ただ気付けばこの赤パンに乗ってからも、はや10年の歳月が過ぎたわけで。そりゃあアチコチ色褪せたり、壊れたりしますよね。
そんなわけで「ハァ~」とため息付いていたら、そのスターター交換を手伝ってくれた(ほぼやってくれたw)友人が、「ボディ、磨けばいいじゃないスか?」と言うのです。
いやいや無理でしょ。コシミズさんもお墨付きのボディだよ?
しかし彼自身も、某コーティングの資格を持つ磨きのプロ。
「諦めるのは、まだ早いッス!」
ということで、そんな彼が信頼を置く職人さんを、紹介してもらうことになったのでした。
そんなこんなでたどり着いたのは、横浜市都筑区にある「ライズ ヨコハマ」。
話してみると代表の荻洲重之さんは、かなりのクルマ好きで同年代。
それが高じてGT-Rを何台も乗り継ぎ、今はエアコンレス! の空冷964に乗ってる方でした。
クルマ好きって、クルマ好きを呼ぶよねぇ。
そんな荻洲さんは、赤パンを見るなり「うーん」としばし考え込んで、「かなり“キテ”ますね~」と温厚そうな笑顔で言いました。
言うなぁ~! でも、まぁ、その通り(笑)。
そして、
「イケますよ。かなり、大変だけど(笑)。今ちょっとだけ、やってみましょうか?」
と言うのでした。
もちろん、喜んで!
驚いたのは、荻洲さんが選んだ場所でした。
そこは前オーナーがブツけて、板金作業をしたと思われる箇所。
いきなり難易度の高いところで、デモンストレーションしてくれたわけです。
洗車を終えて、施行箇所のパネル周りをマスキング。タイヤも汚れないようにソックスをはかせている当たりに仕事の丁寧さを感じますね。施行箇所はご覧の通り下地の様子が浮き出ていて、これ本当に作業できるの? という感じ。
作業的にはまず洗車をして、施行箇所の周りをマスキング。
って、磨きでマスキングするんですか?
「本番は、もっと徹底的にやりますよ。磨いたあとの粉が、モールの継ぎ目なんかに入るのがボクは嫌なんです。
ひとくちにコーティングと言っても、一番大切なのはベース。ボディをきちんと磨き上げてからコーティングするから、輝くんですね。自分は鈑金からこの世界に入っているので、下地作りが一番大切だと思っています」
なるほどぉ。
コンパウンドは、ライズヨコハマのオリジナル。その番手も800番から1000番、2000番、3000番と、多いときには4工程に及びます。ちなみに荻洲さん、プロ顔負けのモデラーのようです。
トン、トン、トンとコンパウンドを置いて、そこから磨き。ちょっと作業をしただけでポリッシャーは真っ赤! こんなにハゲちゃって、下地が出てこないのかなと思うんですが、これが出てこない。
ポリッシャーは大きいモノから小さいモノへと順次切り替えて、コンパウンド掛けが終了したらようやくコーティング。
最後はタオルでサーッと拭き上げると……。
数種類のコンパウンドを使い分けて、小さなポリッシャーで気になる部分を、さらに丁寧に磨いて行きます。そしてようやくコーティング剤を塗って、タオルで拭き上げてみると~。
あのガビガビのパネルに、自分の顔が写ってました(焦。
「ここのパネルは塗装のすぐ下にパテがあって、少し大変でした。でも80~90年代のクルマって、基本的には現代のクルマよりも塗膜が厚いから、オリジナルの塗膜は磨けばきちんと復活するんですよ。特にトヨタはオーバークオリティだから、イケると思います」
まーじーかー! これ、ヤラセでもなんでもないからね。
自分の顔がこんな風に映り込むの、驚きましたよ。
おぉ~! とはいえ大事なのは、そのお値段。
ちなみにハチロククラスで磨き上げると、約10万円から。現車確認をしてひどい場合は見積もりが変わるし、逆に程度がいい場合は下がることもあるそうです。
うーん。決して安くは、ない。
でも、オールペンするよりは遙かにリーズナブルだ。
というわけでドキドキしながら、磨きをお願いすることにしました。
果たしてその結末はーーーーーーーーーー!?
かなり面白いことになったので、次号もお楽しみなのであります。
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これは次回の予告写真。わざと半分だけ磨き上げてもらったんですが、すごいでしょ? そのメリットデメリットについても深掘りするので、次回もお楽しみに!
(テキスト:山田弘樹)

自動車雑誌の編集に携わり、2007年よりフリーランスに転身。LOTUS CUPや、スーパー耐久にもスポット参戦するなど、走れるモータージャーナリスト。自称「プロのクルマ好き」として、普段の原稿で書けない本音を綴るコラム。
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