『クルマはトモダチ』今年はハチロク生誕40周年!…山田弘樹連載コラム

みなさん、ゴキゲンよう!
そして遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
本年も「クルマはトモダチ」、よろしくお願いします。
(※今年から「クルマはトモダチ」に変更させていただきます。引き続き“最高のトモダチ”ではありますが、語呂合わせの都合です。[編集部より])

  • トヨタ・ハチロク(スプリンタートレノ(AE86))

    ハチロク新春大集合。というか見事なまでにトレノですね。でも黄色い前期は、昔手放したのが出戻ってきた運命の一台。私の赤パンは、AT車ベースで作られたレース車が、処分されかけていたのをサルベージ。右側の白はハチゴー改で、左側の白は友達のレースエンジニアが趣味で起こした個体と、一台一台にストーリーがあります。

さて今年は幸先良く、筑波コース1000で“走り初め”をしてきました。モータージャーナリスト仲間である島下(泰久)君が音頭を取って、久しぶりの大集合です。
クルマは全てハチロク、それも全員トレノなんですが、別に深い意味はありません。世代的には、レビンの方が人気でしたしね。

でもクルマのイジり方は、みんなバラバラ。いまだ熱愛まっただ中で、趣味の時間とお小遣いを全てつぎ込んでるのもいるし(黄色いの)、15年くらい前に一度OHしたきりの4A-G(輸出用ピストン仕様)で、マイペースに走り続けてるのもいます(白いハチゴー改)。
あとはあまりの忙しさに、おニューのタイヤが賞味期限切れしてコースで白煙あげまくっていたのまで(笑)。
エンジンの仕様も、ほんとバラバラです。

ほんとはみんな同じくらいの仕様の方が、一緒に楽しめます。でもそこは、縛るものでもなく。ハチロクは自由だから、いーわけです。
そしてクルマがバラバラでも楽しめているのは、それぞれが自分なりに目標やテーマを持っているからです。

  • トヨタ・ハチロク(スプリンタートレノ(AE86))の走行シーン

    赤パンは、遂に41秒台をマーク。渾身のアタックが42秒フラットだったときは力尽きそうになったけど、そこから走りを少しだけ変えてみたら41秒893を記録しました。コース1000は、ゴールラインでタイムが見られるから嬉しいんだよねー!

そんな私も一年越しで「41秒台」という目標を掲げているわけですが、昨年の春にポテンザ RE-71RSをテストして、2回ほど走らせて42秒台前半まで突入。
「これなら41秒は入るな!」と強い手応えを得たあとは、仕事が忙しくて全く走りに行けなかったんですよね。

今回は気温が低かったこともあって、なんとかそれをクリアすることができました!
やっぱり冬場は、アマチュアのシーズンですね。

もう、これには大満足です。
ハチロクで41秒台と言ったら、一昔前ですがSタイヤを履いた「Gr.A+」で冬場に出したタイムですから。

ポテンザ RE-71RSも、一度熱が入ったあとなのに、依然として高いグリップを保ってくれていました。ベスト内圧も自分なりにわかってきたし、「次に新品着けたら、もっとタイムアップできるなぁ……」とか、色々と妄想が膨らみます。

  • トヨタ・ハチロク(スプリンタートレノ(AE86))が履くRE-71RS
  • トヨタ・ハチロク(スプリンタートレノ(AE86))が履くADVAN NEOVA AD09

「RE-71RS」(写真左)はこれでサーキットを4回走りましたが、まだまだ使える。左右非対称だからクロスローテーションもできる。どこまで使いきれるか、楽しみです。

田村号のハチゴー改が履いている「ADVAN NEOVA AD09」(写真右)も少し走らせてもらいました。 タイヤの構造が強くて、荷重でグリップを高める感じはまさしくADVAN的。コントロール性も明確で、一発出すというより運転うまくなるために履く感じ。ノーマルエンジンに足周りだけで43秒中盤。もう少し詰められそうだったから、タイムも悪くないですね。でも何よりハチロクに、キャラがばっちり合ってます。

でも、タイムアタックはこれで一区切り付いた感じかな。
これからは「目指せ40秒!」じゃなくて、楽しいハチロクにしていきたい。タイムよりも、走っているときの充実感をアップしていきたいと思います。だってハチロクのいい所って、本来そこですから。
結果的にそれでタイムも上がるかもしれないけれど、“カーン!”と突き抜ける高揚感優先です。

  • 1tを切るトヨタ・ハチロク(スプリンタートレノ(AE86))
  • 筑波サーキットの定番のモツ煮定食

帰りはコース2000で赤パンの体重測定。車重は思ったより軽く、ガソリン半分入った状態で972kgでした。前軸重量を量ったらおよそ551kg。ボンネットを軽量化したら、もっとハンドリング良くなるかな? お昼はドラサロで、定番のモツ煮定食!

しかし、トモダチとはいいものです。
当日は午前中しか走行枠がなかったので、「前泊して新年会やろう!」ということになったのですが、久々のハチロク談義はめちゃくちゃ面白かった。

みんなオジサンになったのに、20代の頃みたいに盛り上がれるんです。
「なんだかんだ言って、ファイナル(ギア)は純正4.3が一番!」
「今度タイヤを買おうと思ってるけど、何がいい?」
「またイジったんか!」
とか、話は尽きません。

そんな会話の中で私が「最近、いまいち赤パンにモチベーション落ちてんだよね」とヘコたれたら、ひとりが「ハチロクって、そんなクルマじゃん」と言ってくれました。

「今度こそ捨ててやる!って本気で思ったり、やっぱいいわぁ……の繰り返しじゃん」なんて、サラッと言ってくれるわけですよ。
あぁ、そっか。じゃあもっと気楽に行ってみようかな……って、元気になれたからタイム出たのかな?

  • トヨタ・ハチロク(スプリンタートレノ(AE86))のエンジン

みんなが一番関心を示したのは、赤パンのエキマニ(https://gazoo.com/column/yamada-kouki/22/03/15/)の横にある遮熱板。エアコンパイプへの熱を遮断する細かな配慮に、オーナーたちは「おぉ~!」っと盛り上がってた。そっ、そこ!? って思うけど、これが愛車と暮らしてるってことなんだよね。

ハチロクのいいところって、若い頃に戻れることかもしれないですね。みんな若くてお金のないときから乗っていて、もしくはもう一度乗り直して、また同じ感覚を取り戻せるというか。

いま古い国産スポーツカーは、価格が高騰してちょっと変なことになってます。妙に神格化されちゃったり、その反動でハチロクが「高級車」とか言われちゃったり。

でも少なくとも僕らは、そんな風には思ってません。
未だに運転がうまくなりたくて、ガンガン走りたくて乗るクルマなんです。
大変になっては来たけど、壊れたら直して乗る。ブツけたら、鈑金する。というか、ブツけないように頑張る!

長いこと乗り続けられてるのって、そういう修羅場をかいくぐってきたからなんですよね。
大事にはしているけど、ハチロクはいつまでたってもハチロク。ときにムカつくけどやっぱ好きで、いつまでも捨てられないクルマなんです。

黄色いトレノ、オーナー橋口君の自慢はデジパネを残していること。キーをひねったときタコメーターが、レッドゾーンま突入するように、わざわざプログラムしてもらったんだって。マニアだわ。

確かにいまはハチロクに乗ってみたくても、高くてとても買えない。でも、買う必要なんて全然ないですよ。無理してボロいの買って苦労するくらいなら、中古のトヨタ86で沢山走った方がいい。
もしオレがハチロク乗ってなかったら、そうします。

もう一度乗りたいんだよなぁ……と思うならきっと僕らの年代ですから、オトナはがんばって探してください(笑)。そう。いまの時代に乗るハチロクはね、お金持ちがサクッと買う以外は、「ハチロクじゃなきゃ絶対いや!」っていう人が買うべきです。
マニアのクルマなんですよ。
だからまともな人は、買っちゃだめ!(笑)。

本当のハチロクの良さや素朴さを、わかって欲しいなぁ。
そしたらひとりが「今年はハチロク40周年だよ。なんかやるか!」と言い出しまして。われわれも単純なので、「おぉー!」と盛り上がりました。
って、何やるの?(笑)。
小さなイベントかもしれないけれど、やったら来てくれますか? ハチロク乗ってなくても、むしろ大歓迎ですよ。

  • コシミズ・モータースポーツの輿水さん
  • トヨタ・ハチロク(スプリンタートレノ(AE86))を洗車
  • トヨタ・スターレット(KP61)
  • トヨタ・スターレット(KP61)に積まれる4A-G

写真の左上がワタクシの主治医であるコシミズ・モータースポーツの輿水さん。「今年はハチロク40周年ですよぉ!」と言われたので、鶴見さんと一緒に先輩達の世代のハチロクをたっぷり語ってもらいましょう。あとはチューニング&メンテナンスの質問コーナーなんてやれたら嬉しいよね。

走り終わったら、kmsの裏手で洗車。雑談していると輿水さんが、お宝スターレットを見せてくれました。なんとエンジンは4AGで、ゆくゆくナンバーも取得予定だとか。KP61、小さくていいなぁ! スターレットはこの他にN2仕様のレースカーと、もう一台ノーマル車を持ってるんだって。あとはハチロクが6台と……ってどんだけ好きなんですか。

(テキスト:山田弘樹)

自動車雑誌の編集に携わり、2007年よりフリーランスに転身。LOTUS CUPや、スーパー耐久にもスポット参戦するなど、走れるモータージャーナリスト。自称「プロのクルマ好き」として、普段の原稿で書けない本音を綴るコラム。


あわせて読みたい!『クルマは最高のトモダチ!』山田弘樹コラム

MORIZO on the Road